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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2021年6月29日

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、デンマークで創業したITベンチャーの日本法人で、2011年に設立された。急成長する会社にとって、その成長に合わせたオフィススペースの確保が課題だが、同社はどのような戦略を採ったのか。さらに、ポストコロナのオフィスづくりについても訊いた。
代表取締役会長 豊田 信夫 氏

テレワークが中心となるポストコロナも、
顧客との重要な接点としてオフィスは残る。
銀座本社の発信力を生かしながら
「社員ファースト」の場を模索していく。

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社
代表取締役会長
豊田 信夫

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社

若者3人がガレージで起業した、デンマーク生まれのITベンチャー

Unity Technologies(ユニティ・テクノロジーズ)は、2005年、デンマークの首都コペンハーゲンで、当時大学生と高校生だった3人の若者が、親の家のガレージで始めたゲームエンジンの会社です。どこかで聞いたような話かもしれませんが(笑)、本当の話です。彼らのうち、プログラミングに長けた一人の高校生が作ったゲーム開発のための基本ソフトを、「より多くの人に使って欲しい」と無償で配布したところ、世界で100万人以上に使われるソフトへと成長しました。それが、リアルタイム3Dコンテンツを作成・運用するためのプラットフォーム「Unity」です。のちに彼らは、投資を受けたシリコンバレーのベンチャーキャピタルから誘われて、本社をサンフランシスコに移しました。ただし、開発拠点は今でもコペンハーゲンにあります。

日本では2011年から事業をスタートしました。日本の市場性を見込んで会社を作ることになった時、ユニティ本社から誘われて私が日本法人の代表に就き、大前広樹という天才エンジニアと二人で始めたのです。ただし、私は家族のいるアメリカに住み続けることを選びました。ですから、ひと月の半分は東京、残りの半分は自宅のあるテキサス州ダラスで仕事をする、いわゆるテレワークを条件に日本での代表就任を引き受けたのです。

というのも、私はユニティに入社する前はセガのアメリカ法人に在籍し、月曜から金曜までは本社のあるサンフランシスコ、土日はダラスで過ごすという生活を15年近くも続けていました。今は日本でもコロナ禍の影響でテレワークが一般的になりましたが、「遠隔地で仕事をする」というスタイルはそれ以前からありました。私にとってのテレワークは、「働く場所と住む場所、それぞれにとってより良い形をつくっていく」手段です。その代わり相当の時間を移動に費やしていて、ざっと数えてみたら、人生のうち2年間くらいは飛行機の中で過ごしていたことになります(笑)。

レンタルオフィスで7年間、アメーバのように拡張を繰り返す

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社

日本での最初のオフィスは、赤坂アークヒルズにあるレンタルオフィスでした。二人で始める会社とはいえ、物理的なスペースは必要だと考えたからです。そこには4~5人まで入居可能でしたが、1年経たないうちに社員が5人に増えたため、隣の部屋との壁を抜いて2部屋分のスペースを使うことになりました。こうしたワークスペースの増減にも柔軟に対応できるのがレンタルオフィスの良さですが、ただ、原状回復義務があるため、壁を壊すにも復帰させるにも意外にコストがかかり、懐が痛みました。

それからの7年間は、社員が増えるたびに、アメーバのごとく隣の部屋を確保してワークスペースを広げ、ついには50人まで収容できる大きな部屋になりました。そこで限界がやって来ます。その次は少し離れた場所にしか空き部屋がなく、まとまったスペースを借りるため、CBREさんにもご協力いただいて、都内の賃貸物件を探し始めたのです。そして2019年、このGINZA SIXの8階(約900㎡)に引っ越してきました。

割高なランニングコストと壁の原状回復に費用がかかるにもかかわらず、なぜ長年に渡ってレンタルオフィスでの拡張を繰り返したのか。それはひとえに、急成長する会社の規模を事前に予測するのが難しかったからです。私が最も恐れたのは、賃貸物件を借りたものの、社員が急増してすぐにスペース不足に陥ることです。ベンチャー企業ならよくある話だと思いますが、ユニティ本社でも同じような経験をしています。今から3~4年前に、サンフランシスコの一等地に300人が働けるオフィスを借りたのですが、内装を終え、さて入居する段となった時には、すでに社員は300人を超えていました。会社というのは、思ったより早く成長したり、逆に思ったより伸びなかったりします。それに対応するのは非常に難しいわけです。

テレワーク中心のポストコロナもオフィスレスにしない理由とは

GINZA SIXのこのオフィスには、現在78席分のデスクがあります。実は、新型コロナウイルスの感染が広がる前に、フリーアドレスと在宅勤務を導入していました。というのも、2019年末の時点で、1年後(2020年末)に社員が90人に増えると予想され、席数不足が明らかになったからです。大型モニターを使用するエンジニアを除いてフリーアドレスに移行し、従来の脇机の代わりに個人用ロッカーを設置しました。また、在宅勤務の希望者を募り、手を挙げた10人ほどが週1~2日の出社へと切り替わりました。「これで2020年は乗り切れるだろう」と思った矢先、今度は新型コロナの感染拡大です。当社は社員の安全を最優先させるため、他社に先駆けて全社員を在宅勤務にしましたが、社員を第一に考える姿勢は、福祉国家であるデンマークの会社ならではかもしれません。今も原則として在宅勤務が続いていて、オフィスには人がほとんどいない状態です。

ポストコロナも、おそらく在宅勤務が基本になるでしょう。そうすれば、この先社員が増えても、席は十分に足りると思います。また、新宿、渋谷、品川などに5~10人が仕事のできるサテライトオフィスを設けて、営業拠点にすることも考えています。

コロナ禍をきっかけにテレワークに移行し、オフィスを解約する企業もあるようですが、当社はオフィスレスにする考えはありません。なぜなら、私たちは過去に講演会や講習会など顧客向けイベントを年間で100回ほど実施していて、それがとても好評なのです。社内の仕切りを外せば100人くらい収容できるスペースができるので、コロナ禍が収まれば、またお客様をお迎えしてイベントを実施する予定です。

先端IT企業も注目する銀座という立地の発信力

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社

お客様に来社いただくことを考えると、銀座という立地を選んでよかったと思っています。実は当初、ファッションブランドが軒を連ねる銀座に、我々のようなIT企業は場違いではないかと思い、躊躇していました。ただ、移転計画時に三つあった候補物件のうち社員の一押しがGINZA SIXだったことや、駅まで地下でつながっていて雨に濡れないことなどから、ここに決めました。実際に移ってみると、銀座は日本の中心地でアクセスもいいですし、お客様にも「帰りに買い物もできるし、行ってみようかな」と思ってもらえるようです。それに、名刺の住所に「銀座」と書かれていると、見栄えもいいんです。会社のブランディングにもなりますね。

もちろん、新しいオフィスをつくるうえで、社員が心地よく働ける環境にも配慮しています。例えば、立って仕事ができる昇降デスクは、腰痛のある社員の要望で取り入れたものですし、デスクや椅子にもかなり投資しています。また、今後はオフィス環境だけでなく、在宅勤務の環境も重要になってきます。例えば社員から聞いた悩みに、次のようなものがありました。ワンルームマンションに住む共働き夫婦が、在宅勤務でビデオ会議を行うとそれぞれの会話が聞こえてしまうので、2部屋ある家に引っ越したいと。言われてみればもっともな悩みです。これから在宅勤務が奨励されるなら、会社からは離れるけれども、同じ家賃でより大きな家へ引っ越したい、というニーズは出てくるでしょう。在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた働き方が中心になっていけば、物理的な受け皿となるオフィスのあり方も変化していくはず。今後も社員の声を聞きながら、ユニティらしい「社員ファースト」のオフィスのあり方を探っていきたいと思います。

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上記の記事の内容は BZ空間誌 2021年夏季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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