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Marketing-Robotics株式会社| 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2020年11月20日

営業マン一人ひとりにデジタルマーケティングを提供するためにMAツール「マーケロボ」を開発・販売するMarketing-Roboticsの代表、田中亮大氏。2016年に前進のインサイドセールスのBPO事業を専門とする会社を創業した時は、オフィスを持たず、社員全員がリモートワークの経営スタイルであった。当時としては時代に先駆けたワークスタイルだったが、2018年からは一転、オフィスを借りるようになった。今は「オフィス派」を自認する田中氏に、その変遷と戦略をうかがった。
代表取締役 田中 亮大 氏

4年前のベンチャー起業時から、
「完全リモート経営」を掲げて創業。
現在はチームの生産性向上のため
対面を重視したオフィスづくりに邁進。

Marketing-Robotics株式会社
代表取締役
田中 亮大

Marketing-Robotics株式会社

インサイドセールスBPO事業で創業。オフィスを持たず完全リモート経営

Marketing-Robotics株式会社

現在は、MA(マーケティングオートメーション)ツール「マーケロボ」の開発・販売を行うMarketing-Roboticsという会社を経営していますが、元々は「タクセル」という会社で創業しました。まずは、そこからお話したいと思います。

前職はオンライン商談システムのベルフェイスを設立し、販売会社の社長を務めていました。その事業を引き継ぐ形で2016年に創業したのが、タクセルです。この会社名は、ダジャレみたいなもので、企業がインサイドセールスを外注できるという意味で、「託せる」。それから、タクセルで働く人にとっては、在宅でセールスができるという意味で、在宅の「宅」ともかけています。当時は、文系の仕事で在宅ワークができる求人はなかったので、エンジニアやプログラマーでなくても在宅ワークができるのは従業員に喜ばれましたし、毎月、主婦の方を筆頭に応募が殺到していました。

独立のきっかけは、自分に子どもが生まれて、自分の働き方を変えたいと思ったことです。20代の頃は会社に寝泊まりする生活で、それはそれで楽しかったのですが、人生のフェーズが変わってもこの働き方を続けるわけにはいかないだろうと。また、次に新しいことを始めるなら、ベルフェイスのような最先端のSaaS(サース)から離れて、社会性のある事業をやりたいという思いもありました。

タクセルの事業自体は在宅でできるため、独立後はオフィスを持たず、組織経営もすべてリモートで行いました。先輩経営者に「オフィスは持ちません」と伝えたら、全員に反対されましたけど(笑)。会社登記も自宅、執務スペースも自宅の一室です。常時20人くらいいた社員の採用もすべてWeb面談で行い、対面では一度も会っていません。社員が住む場所も、北海道や沖縄、栃木などバラバラでしたから、会議や打ち合わせは基本的にZoomを活用しました。社員が一堂に会することもありませんでしたね。

リモートワークのデメリットを実感。第二の創業から“オフィス派”に

Marketing-Robotics株式会社

独立して1年が経った時、社会性を求めてタクセルを創業したものの、一方で、企業としての成長性も必要ではないかと思うようになりました。タクセルでは、対前年比110%の実績でも「すごいね」という評価です。ただ、元々スタートアップに身を置いていた自分とすれば、対前年比200%や300%は当たり前。そっちが恋しくなってしまって(笑)、社会性と事業の成長を両立できる新たな事業を作ることにしたのです。タクセルの事業は別会社に譲渡し、2018年3月に終えました。

働いていてくれた方々も譲渡先に移籍してもらったり、転職先を斡旋し、ピボットと言えば聞こえはいいですが、シンプルに完全にゼロから再スタートを切りました。3~4ヶ月かけて次のビジネスプランを考えていた時、元部下が持ち込んできたのがMAツールでした。そして2018年4月に、現在のMAツール「マーケロボ」(当時の名称はKAIGAN)をリリースしました。これは営業マンのために開発されたMAツールであるため、見込顧客の行動を可視化したり、興味度合を計測したりすることができ、お客様に必要な情報やサービスを最適なタイミングや方法で提供することが可能になります。

新事業を立ち上げたタイミングで、オフィスを持つことにしました。1年間リモートで会社を経営してきた結果、僕自身、分かったことがあります。個人としての生産性を上げるなら、リモートワークは大賛成です。家族と過ごす時間が増えてリフレッシュできますし、観光地に行って仕事をするワーケーションのようなスタイルは、素晴らしく生産性が上がると思います。

ただし、組織としての生産性が上がるかと言ったら大いに疑問です。対面で会うことなく、コミュニケーションで五感を使わず、どうやってチームビルディングができるでしょうか。ラグビーの日本代表が強くなったのは、合宿の回数を増やしたからだと言われています。個人練習ばかりやって、本番だけ集まっても勝てないということです。ビジネスはスポーツよりも阿吽の呼吸が必要ですから、物理的な距離を排除してチームの生産性を高めようとしても無理があります。今はコロナ禍でリモートワークが進んでいますが、状況が収まれば、オフィスで人と会う重要性はさらに増すのではと思っているほどです。絶対にオフィス、絶対にリモートという「0か100か」の発想ではなく、二律背反の在り方を融合する必要があると考えています。

人員増に合わせオフィス移転。土地勘やストーリーを重視

田中 亮大

最初の事業を終えるタイミングで、渋谷のシェアオフィスの一区画(2坪)を借りました。次の事業プランを考えるために自分の時間が欲しかったのです。そして何より、1年間、家庭と仕事場を同一箇所で過ごした結果、分けた方が仕事も夫婦仲にも効果的だと学びました(笑)。ここを選んだのは家から少し離れた場所で、かつ自転車で通える範囲の場所だったから。前職が渋谷にあり当時は自分も渋谷に住んでいたので、馴染みがある場所であることも渋谷を選んだ理由です。

2018年6月、新事業を始めると同時に五反田のシェアオフィスに移りました。当初は僕も含めて2人でしたが、「半年で10人に増やす」という採用計画に沿って、9坪のスペースを借りました。その後も、人が増えるのに合わせて、WeWork新橋、WeWorkアークヒルズサウス(六本木)、現在の日本橋とオフィスの場所を変え、スペースも広げていきました。途中でWeWorkに入居したのは、WeWorkの世界にあえて染まってみるためです。何事も経験せずに批評できませんからね。場所を選ぶ際は、基本的に馴染みがあって、土地勘のある場所を選んでいます。それともう一つ、僕は自分の経験や勘だけではなく、風水や地政学も加味して意思決定しています。政治家やさかのぼれば戦国大名なども取り入れてきた指標であり、今後も参考にしていきます。

今いる日本橋には今年4月に移ってきたばかりですが、今回の移転ではストーリーを重視しました。オフィスがある宇津共栄ビルは、100年以上の歴史を持つ宇津商事という化学品専門商社がオーナーです。引っ越してきた当初、僕らの民間のお客様は地方の中小企業で、設立年数の長いお客様が多かったんです。日本の中小企業には、こうした100年企業が結構多く、僕らは「中小企業」のことを「サステナブルカンパニー」と勝手に呼んでいます。宇津共栄ビルに入居することで、サステナブルカンパニーをサポートする自分たちのビジネスを体現できると考えました。

Marketing-Robotics株式会社

「こんなオフィスで働きたい」と「この会社で働きたい」は違う

Marketing-Robotics株式会社

現在のオフィスは、以前のWeWorkアークヒルズサウスと比べると、新しさや機能の面ではグレードダウンと言えるのかもしれません。WeWorkにオフィスがあったほうが、採用にも有利だと思われるかもしれません。僕もそう思っていましたし、実際、採用もできました。でも、「こんなオフィスで働きたい」というのと、「マーケロボで働きたい」というのは、別なんですね。オフィスが素敵すぎると、逆に僕らの思いに共感して「一緒に働きたい」と思ってくれる人の気持ちを薄めてしまうことが分かったのです。ですから今回の移転では、僕らが大事にしていることが伝わるオフィスにしたいと思いました。

僕自身は、快適なオフィスを作りたいとは思っていません。体育会系だからかもしれませんが、オフィスがフィールドと同じ「戦う場所」だとしたら、オフィス自体は快適で楽しくて遊園地のような場所でなくていい。フィールドでピクニックを始めたら、いい仕事はできないでしょう。ただし、フィールドの隣の合宿所や休憩所は、快適であってほしい。そんなメリハリの利いたオフィスを作っていきたいですね。また、これからはリモートワークを取り入れていく会社が間違いなく増えていくでしょうから、その中でもリモートとオフィス、そしてオフィス空間の中においても、メリハリを利かせ「一緒に働きたい」というニーズに応えられる会社でありたいと思っています。

Marketing-Robotics株式会社

上記の記事の内容は BZ空間誌 2020年秋季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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