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株式会社エクサウィザーズ| 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2021年4月13日

「AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する」という壮大なミッションを掲げて2017年に誕生したばかりのベンチャー「エクサウィザーズ」。大手企業をメイン顧客として、わずかな期間に約250名体制を作り上げた同社のオフィス戦略、そしてアフターコロナに目指す理想の執務環境とはいかなるものかを訊いた。
取締役 兼 事業統括部長 大植 択真 氏

オフィスはAIプロダクトの実験ラボであり、
お客さま向けのショールームでもある。
デジタルとリアルが融合したワークプレイス
こそがアフターコロナを勝ち抜く
AIベンチャーのあるべき姿。

株式会社エクサウィザーズ
取締役 兼 事業統括部長
大植 択真

株式会社エクサウィザーズ

ベンチャー2社の合併が生んだAI分野のトップランナー

エクサウィザーズは2017年、「AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する」ことをミッションとするベンチャー企業として、2社の合併により誕生しました。その母体の一つは、2004年より静岡大学発のベンチャーとして浜松に拠点を置き、介護領域におけるAIの利活用を目指したデジタルセンセーション㈱。もう1社は2016年より多様な領域に対するAIソリューションおよびプラットフォームを提供する㈱エクサインテリジェンスです。社名の由来は、10の18乗である「エクサ」と、魔法使いや達人を意味する「ウィザード」を合わせ、多くの達人が集う場であるという自負、そして合併した両社の名を残して、エクサ with DS(デジタルセンセーション)から名付けた造語でもあります。

エクサウィザーズが創業した2017年10月には、両社とも約15名ずつの計30名体制となり、創業当時より順調に業績を伸ばしています。これはディー・エヌ・エーの会長を務めた春田(現当社会長)や、リクルートでAI研究所を立ち上げた石山(同社長)の経営力や人的ネットワークに加え、AI活用を検討する企業が増えており、マーケットの需要も高まっていた時期であったことが大きいと思っています。さらに、一般的にAIベンチャーはエンジニア先行で技術提供から始まることが多いのですが、当社には当時から課題理解・整理に長けたコンサルティング会社出身のメンバーがいたため、より上流の経営課題から仕事に入っていけました。AIという強力なツールを駆使しながら、社会課題を解決するすべに長けたウィザードが集まっているからこその成長と言えるでしょう。

約2年で250名体制を築きリンクトインランキング2年連続1位

株式会社エクサウィザーズ

企業の成長を支える採用活動ですが、この点もありがたいことに成功してきたと言えます。創業当初はリファラル採用が中心で、既存のメンバーが一緒に情熱を持って働ける人を連れてきていました。その後、元リクルートでエンジニア採用に長けた半田が入社してからは、エージェントやダイレクトリクルーティングも含めた採用アプローチが幅・深さ共に増し、2018年・2019年には、それぞれ100名ほどが入社し、現在は総勢約250名(2020年11月末現在)ほどになっています。これにより、おかげさまでリンクトインが発表したトップスタートアップ企業ランキングで2年連続1位に選ばれました。

ベンチャーはビジョンに人が集まると言われますが、AIによる社会課題の解決という大きなビジョンに共感したメンバーが数多くいます。また、経営陣が面談にも積極的に顔を出しており、人が資本というスタンスが評価された結果と思っています。

顧客や優秀な人材確保のためにベンチャーには珍しい多拠点展開

2018年にオフィスを構えたのは、東京、浜松町のVORT浜松町Ⅰというビルでした。浜松町を選んだのは、顧客である大手企業が東京駅周辺に多いことに加えて、地方への出張が多いことから新幹線へのアクセスがいいこと。海外への出張もあるので、羽田空港へのアクセスも重要でした。またベンチャー企業にも借りやすい賃料相場も魅力的でした。

創業以前にデジタルセンセーションがあった静岡の拠点は、現在は浜松オフィスとして活用しています。その他、当社にはベンチャー企業には珍しく、京都・名古屋、そして海外にもいくつかの拠点があります。その理由の一つは、それぞれの拠点に重要な大型顧客がいること。課題解決のためには、近くにいて頻繁にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要だと考えているからです。さらに優秀な人材を獲得するには、各地の働きやすい場所に拠点があることが良いのは言うまでもないでしょう。ですから、ベンチャーながらも魅力的なエリアでは拠点をどんどん展開しています。今後は海外拠点もさらに増えていくでしょう。

最初の本社オフィスはすぐに人員が増え、サテライトオフィスも含めて100名ほどという体制になりました。それでも社内はギチギチの状態で、会議室が二つしかありませんでした。その後まもなく、さらに人員が増えたため、2019年5月に同じ浜松町の、現本社である住友浜松町ビルに移転したのですが、ここでもすでに1度増床しています。選択肢は3~4件あった中でこのビルに決めたのは、前述の理由で浜松町を中心に東京―品川近辺を探した結果、駅から5分ほどでその他条件もマッチしたのが決め手でした。

ベンチャーですのでコストも考えて、オフィスづくりに過度な装飾はしていません。もちろん、お客さまに失礼がないようにお迎えできるようにしていますが、おかげさまで気軽にご訪問いただき、お客さまからも雰囲気のよいオフィスと言っていただけています。メンバーができるだけコミュニケーションが取れるよう、固定席なし衝立なしのオープンなオフィスにし、コーポレートカラーである濃いブルーをオフィス内に意識的に取り入れたり、会社のクレド(基本理念)を各所に掲げ、社内に浸透させる工夫をしています。

また、当社は、AIサービスを提供する会社なので、社内での実証実験を数多く実施しています。例えばエッジAIカメラ「ミルキューブ」を設置して、対人平均距離や混雑率をトラッキングし、実際にデータを取りAIに学習させています。つまりオフィスをAIサービスのラボのように位置づけて、新サービスを作る時に気軽にプロトタイピングできる環境を作っているのです。また、近隣のビルにロボット開発を行う分室を設けています。

さらに、社内のメンバーに対しては、オフィスの満足度調査も含めたサーベイを定期的に取っています。会社の設備・環境などについての意見をモニタリングして、従業員視点で感じる課題や不満を吸い出し、会社としてスピーディに対応するようにしています。

リアルとデジタルが融合したラボ&ショールームの体現が目標

株式会社エクサウィザーズ

現在のコロナ禍においては、基本的に社員にはリモート業務を推奨していますが、必要に応じて各チーム毎に週1日程度の出社を検討・実施することとしています。「来る」「来ない」は部署内の判断に任せており、出社率は10%以下ではないでしょうか。アフターコロナとなっても、自由度や効率性に優れたテレワークは残ると思いますが、メンバーのクリエイティビティを引き出すためにも、オフィスの位置づけは重要になってきます。いかにリアルな空間とデジタルを使いこなすかが、当社だけでなく他社も含めてポイントになってくると考えています。

特に社会課題解決という大きな目標を掲げる当社にとっては、新たなアイディアが最も重要ですから、多様性のある人たちをどんどん採用して、社内のコミュニケーションやトランザクティブメモリ(集合知)を活性化し、クリエイティビティ創出につながるオフィスを目指したいと思っています。

アフターコロナのオフィスとしてイメージしているのは、当社のプロダクトが最も利用されるようなリアル空間です。例えばサービスの一つであるHRテックで従業員のデータを収集し、健康管理のアドバイスを個別に提供する、先ほど申し上げたAIカメラで従業員の行動解析が行われているなど、我々が自社サービスを使いこなして常にサービス改善にフィードバックがかかるような環境を作りたい。また、オフィスを徹底的にAI化する、例えば来客にAIが受付対応し、会議内容もAIが自動で認識してくれる、顧客の要望を聞いてくれるなどを想定しています。要はラボのように、実際に見て手に触れてわかる感動を、オフィスが担う。リアルにしかない付加価値を追求するのがオフィスの役目と位置づけ、私たちのオフィスはAIサービスのショールーム兼仕事場として、当社が示す未来像が体現されている「場」にしたいと思っています。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2021年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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