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アディッシュ株式会社 | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2020年11月12日

SNSの投稿を24時間体制でモニタリングし、ネット上の誹謗中傷やトラブルを防ぐサービスを提供するアディッシュ。オペレーターとシステムの両輪でモニタリングするため、人手が必要なビジネスである。事業成長に大規模採用と本社及び地方拠点のオフィス拡張を重ねてきた同社の江戸浩樹社長に、オフィスづくりのこだわりや、拠点の立地についての考え方をうかがった。
代表取締役 江戸 浩樹 氏

社内ベンチャーが独立して起業。
度重なる本社・拠点のオフィス拡張と
大量採用で事業を成長させ、
今年3月、東証マザーズ上場を達成。

アディッシュ株式会社
代表取締役
江戸 浩樹

ZVC Japan株式会社(Zoom)

社内新規事業からスタートしたSNS投稿のモニタリング事業

ZVC Japan株式会社(Zoom)

新卒で入社したガイアックス(アディッシュ設立当時の親会社)で、2007年、社内ベンチャーとしてコミュニティサイトの投稿を監視するモニタリング事業を立ち上げました。2014年10月、この事業を含めて自分で立ち上げた3事業を分社化する形で設立したのがアディッシュです。

私は元々、様々なコミュニティサイトの企画開発に携わっていましたが、SNSにまつわるトラブルや犯罪が増えるにつれ、これらの問題を解決できないかと考えるようになりました。企業のコミュニケーションツールとしてSNSの活用が増えていくことは予想されていましたので、コミュニティサイトを健全な場に保つサービスがあれば、社会的にも意義があるだろうと考えて、モニタリング事業を始めたという経緯です。

具体的には、企業が管理するサイトを24時間365日監視して、リスクの有無を判断して報告しています。費用をランニングでいただくストック型ビジネスのため、企業に導入されれば継続的に収益を生み出せる利点がある一方、業務には人手がかかり、ある程度人員を抱えなければ成り立たないビジネスでもあります。もちろんITツール等による効率化も進めていますが、リスクの有無を最終的に判断するのはオペレーションスタッフです。現在、東京本社のほか、福岡、仙台、沖縄、フィリピンの拠点に合計770名程のスタッフを擁し、全拠点で24時間のモニタリング体制を敷いています。

間借りの家賃に親会社の手心は一切なし。IPOを目指すための自立経営の覚悟

ZVC Japan株式会社(Zoom)

ガイアックスには、事業リーダーが申請すれば事業を子会社化できるカーブアウト制度があり、私もそれを活用して独立しました。事業の立ち上げ当初は2人でしたが、会社設立時には五反田本社はおよそ70名、すでに福岡と仙台にも拠点がありました。かといって、当時はまだサービスの知名度が低く、利益が出ていたわけではありません。これは他のベンチャーも同じだと思いますが、外部資金も入れながらビジネスを大きくしていかなければ、いつ潰れてもおかしくない状況でした。

独立後も、ガイアックスが入居する五反田のビルでオフィスをシェアしていましたが、間借りするスペース分の家賃はしっかりと支払うようにしたため、経営的にはかなりの負担でした。しかも、当社の業務の特殊性から、運用ルームは厳重なセキュリティ対策を施す必要があり、そのためのコストもかかります。家賃はガイアックスと交渉して決めましたが、こちらの経営事情がどうであっても、手心は一切ありませんでした(笑)。ただ、親会社から独立してやっていくのなら、それは当然のことです。私たちは将来IPOを目指すと決めていましたから、自分たちで経営していく覚悟はありました。

私たちが成長するには、採用以上に業務を増やしていかなければなりません。幸運にも大きな契約をいただく機会もあり、そのたびに一気に100人程度を採用し、拠点も含めたオフィスを拡張してきました。1年半に一度くらいの割合で、何かしらの拡張あるいは移転を行ってきています。2017年にはガイアックスが永田町に移転したため、空いたスペースを自分たちが使用できることになりました。このとき本社のフロア専有面積を4倍に拡張できたのも幸運でした。拡張に伴う大規模な人材確保にはいつも苦労しますが、そうしたハードルを何度も乗り越えながら、私たちは成長を続けてきました。そうして今年3月、念願の東証マザーズへの上場を果たしたのです。

堅実に長く働いてくれる人材を求めて、福岡と仙台に拠点を設立

ZVC Japan株式会社(Zoom)

東京以外に拠点を作ったのは、福岡が最初です。事業を始めて6年目の2012年に、大規模なチームを立ち上げることになり、採用の観点からも「東京の他にも拠点があったほうがいい」と考え、拠点設立を検討し始めました。ある程度の人数が集まりやすく、かつIT系サービスに関心を持ちそうな若い人たちが多く、また東京からのアクセスの良い場所として候補に挙がったのが福岡と仙台でした。当時のスタッフに福岡出身者が複数いたことや、100人規模のオフィス物件が充実していたことから、福岡に決めました。ただ、その直後に仙台にも拠点を作りました。

大阪や名古屋のような経済の中心地を選ばなかったのは、大都市圏とは異なるキャラクターの場所がいいと思ったからです。当社の業務はIT系サービスとはいえ、日々の細かな対応が必要な仕事です。新しいことを追い求めるタイプの人よりも、毎日コツコツと仕事に取り組み、継続して働いてくれる人に来てほしいという思いもあります。福岡や仙台なら、求める人材が集まりやすいのではと考えました。また、アルバイトの方の採用も多いので、賃金の面も考慮しています。私たちが福岡に拠点を作ってからというもの、IT系やWeb系の会社で福岡に会社を作るケースが増えた気がします。

執務室には一部フリーアドレス導入。開放感とフラットな雰囲気を重視

東京本社は今も五反田にあり、およそ300名が勤務しています。ビルの8階に執務室、6階に執務室と会議室、2階に休憩スペースがあります。フロアは分かれていますが、それぞれ機能が異なるので、それほど不便は感じていません。

オフィスのつくりでこだわっているのは、室内が一目で見渡せる開放感と、フラットな雰囲気です。仕切りはなるべく設けないようにしています。ただし、運用ルームのセキュリティ強化のために仕切りを設けています。エンジニアや管理部門のメンバーは固定席ですが、その他はフリーアドレス。私専用のデスクもありません。一方で、集中スペースや立ち作業ができるスペースを設けて、状況に合わせて働く場所を選べるようにしています。

これまではセキュリティ確保の面から、全社一律の制度としてはリモートワークを推進してきませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大してからは、密を作らないようリモートワークを導入しています。そのためにセキュリティ要件を改めて見直したほか、自宅作業に対応するためバーチャルデスクトップを導入し、パソコンにデータを残さないようにするなど、リモートにおける情報管理体制の強化を図りました。7月現在、社会情勢をみながら出社可能な比率を定め、リモートワークと出社をバランスよく取り入れていきたいと思っています。

今後も事業規模の拡大に伴い、本社・拠点ともにオフィスを拡張していくことになると思います。本社オフィスに関して言えば、今はリモートワークが中心なのでスペースに余裕はありますが、コロナ禍の前はかなり逼迫していたので、近い将来、拡張の必要性は出てくるでしょう。本社を東京のどのエリアに置くかは、私自身は特にこだわりはありません。移転するにしても、山手線の南側、つまり新宿から東京の間のどこかの駅の近くにオフィスを構えると思います。働き方に関しては、コロナ禍が収まった後も、ある程度のリモートワークを取り入れていくことになるでしょう。リモートと出社を組み合わせた働き方だけでなく、完全リモートで場所の制限なく働けるような働き方にもチャレンジしていきたいと考えています。

また、今後力を入れていきたいのが、海外展開です。現時点での海外拠点の役割は、オフショア開発と、多言語のオペレーターが常駐するセンター機能がメインですが、将来的には市場開拓を目指した拠点づくりも行っていく予定です。まだ具体的に決まってはいませんが、アメリカや、ヨーロッパ圏ならドイツ、アジア圏ならシンガポールや中国などへの進出を検討していきたいと考えています。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2020年秋季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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