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株式会社ハロネット| 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2021年7月13日

人材紹介業からスタートし、時代の変化に合わせて自らの事業体も進化させ、今はウェブ事業をメインに展開するハロネットグループ。東京のみならず、大阪、名古屋、福岡、沖縄にも拠点を持つ。次々と新しいビジネスに挑戦するベンチャーにとって、オフィスとはどのようなものなのか。これまでのオフィスの変遷と空間づくりのこだわりを訊いた。
代表取締役社長 住田 悦郎 氏

オフィスは会社の顔であり、
新たな事業を生み出す土壌でもある。
ベンチャーとしての挑戦が続く限り、
オフィスの重要性はなくならない。

株式会社ハロネット
代表取締役社長
住田 悦郎

株式会社ハロネット

「型にはまらない」がコンセプト。 時代の変化に合わせて事業体も進化する

ハロネットは、中小規模の店舗や企業のウェブサイト制作をメインで行っている会社です。ただ単にホームページを作るだけでなく、クライアントにとってウェブで何ができるかを考え、その裏側のシステム構築も合わせた提案ができることが当社の強みです。子会社に、大手企業のシステム開発を請け負うスタイル・フリーと、企業のデジタルトランスフォーメーションを中心にコンサルティングを行うバークリーコンサルティングがあり、3社が同じオフィスに同居しています。

創業は2007年、仲間と3人でスタイル・フリーを立ち上げたのが最初です。社名に込めたのは、「型にはまらず、いろんなビジネスを自由にやっていこうよ」という想い。時代のニーズに応じた事業を展開しながらも、一つの事業にこだわらず、新しいことにどんどん挑戦していく。これが創業当初からの我々のビジネスのやり方です。当時は好景気でどの企業も人手不足だったので、まずは人材紹介業を始めました。ただ、バブルはいつか弾けます。人材紹介業に代わる別の柱を探しているとき、中小企業向けのウェブサイト制作にニーズがありそうだと感じ、社内にウェブ事業部門を立ち上げました。それが、現在のハロネットの原型です。

創業当時は、新宿にある知人の会社に間借りしていた3坪のスペースがオフィスでした。まったく知らない会社と隣り合わせの環境では仕事がしにくく、また、社員を採用したいと思っても、間借り3坪の会社には誰も入社してもらえませんでした。そこで創業から1年半経った頃、新宿3丁目にある雑居ビルに30坪ほどのオフィスを借りました。新宿を選んだのは、人材紹介の求職者が来社しやすいアクセスの良さが理由です。そこから自分たちの採用活動にも力を入れ、社員が10人ほどに増加。ただ、この雑居ビルは、古いしトイレも狭いし、隣に入居する会社のゴミ袋が廊下に置いてあったり、エアコンの効きが悪いしと、お世辞にもいいオフィス環境とは言えませんでしたね。

このオフィスに移ってすぐ、リーマンショックが発生。大打撃を受けた人材紹介業からは撤退し、ウェブ事業を本格的に始めることにしたのです。人材紹介のスタイル・フリーの一部門としてではなく、ウェブ制作会社として再出発するため、2009年、ハロネットを分社化しました。

採用活動とイメージアップのため “おしゃれなオフィス”路線に転向

株式会社ハロネット

その2年後、我々にとっての転機が訪れます。リーマンショックから立ち直りつつあるなか、今度は東日本大震災が起こり、2週間ほど営業活動ができず売上が激減したのです。窮地に陥ったことで、「ここで勝負をかけないとダメだ」とかえって社員の結束が固まりました。当社では、この時期、一気に10人の中途採用を行い、社員を20人に増やし、それに伴いオフィスが手狭になったため、移転候補の中から社員投票で選ばれた渋谷区南平台のオフィスビルに引っ越したのです。広さは70坪ほどでした。

この頃から、当社のオフィスは“おしゃれ路線”へと転向します。当時、「ウェブデザインで勝負するのだから」という意気込みから、「ド派手に行こうぜ」というスローガンを掲げていました。新しいオフィスの内装をかなり派手にしたところ、入社希望者も増え、採用もうまくいくようになりましたね。

また、スタイル・フリーの社内にIT事業部を設け、それまで外注していたシステム開発を内製化したのをきっかけに、大塚に30坪ほどのラボを新設しました。「自分たちが自由に仕事ができる場所がほしい」というデザイナーの要望に応えたものですが、最初は4人だったデザイナーもIT事業の急成長で人数が増え、2年ほどでラボは一杯になりました。一方、渋谷の南平台のオフィスも手狭になったため、2014年、渋谷の別の場所に借りた140坪のオフィスに移転し、大塚のラボを吸収しました。この時、社員は50人くらいです。

内装は、それまでのオフィスとは対照的に、シックで落ち着いた感じにしました。すでにスタイル・フリーよりも成長したハロネットが同社を子会社化しており、会社規模も大きくなったことで、会社のイメージをもう少し落ち着かせたいと考えるようになったからです。ただ、このオフィスも数年で一杯になり、新宿2丁目に借り増したラボにデザイナーとエンジニアを再度転出させたり、バークリーコンサルティングの先駆けとなるコンサルタントたちを渋谷に借りたオフィスに移したりと、結局3拠点体制となっていました。

ワンフロア450坪を自社で専有。ドラマ撮影にも使われる空間を意識

現在の西新宿のオフィス(住友不動産新宿セントラルパークタワー)に移転したのは、2019年10月です。拠点が分散していると、社内で打ち合わせをするにも移動しなければならず、何かと不便でした。拠点を一つにできるワンフロア400坪程のビルを探しましたが、東京で該当するビルはなかなか見つかりませんでした。そこで幸運にも見つけたのが、当時建設中だったこのビルです。ワンフロア450坪は自分たちの身の丈に合わないかとも思ったのですが、余剰空間に休憩スペースを新設することにして、思い切って借りました。現在、このオフィスには150名ほどが在籍しています。

自社でワンフロアを使用することにこだわったのは、トイレなども自分たちだけで使えた方が、社員にとっては気が楽だろうと思ったからです。150人の社員、しかも会社も違っていたりしたら、それぞれ全員の顔を覚えてはいないでしょう。たとえ知らない相手でも、ワンフロアで同じ会社の人だと分かるだけでコミュニケーションはしやすいと思います。

フロアは、3社のシナジーを高めるため、真ん中に共有スペースを設けてミーティングができるようにしました。また、オフィスづくりで意識したのは、ドラマやCMの撮影にも使われるような高質な空間です。「うちのオフィスはドラマ撮影にも使われているんだよ」と社員が話題にしてくれたら、会社のブランディングにもつながります。

ここまで東京本社の話が中心でしたが、実は創業2年目から地方へも進出し、現在は大阪、名古屋、福岡、沖縄にも拠点があります。地方も含めた社員数は約400人です。現地の顧客を獲得するにも、現地で人を採用するにも、そこに拠点が必要です。そのような考えのもと、全国展開を進めています。

新しい事業を生み出すにはスピーディーなコミュニケーションが不可欠

株式会社ハロネット

アフターコロナの働き方としては、テレワークでうまくいく部分はテレワークを活用していきますが、かといってオフィスをなくすことは考えていません。一つには、採用活動とそこで働く社員のためです。オフィスは働く人の意識や価値観に大きな影響を与えます。例えば、ロードサイドの家具センターで廉価な家具を購入しても、それを機に生活を変える人はいません。一方、高級な家具を買う人は、「この家具を置くなら、住まいもこんな風に変えたい」と、生き方に対する価値観をも変えてしまうことがあるのではないでしょうか。オフィスもこれと同じで、快適で働きやすいオフィスなら、そこで働く人の意識や価値観も洗練されるということはあると思います。入社希望者のテンションも上がるでしょう。だからこそ、私はオフィスづくりにこだわってきたし、これからもそうするつもりです。

もう一つは、我々のようなベンチャーにこそオフィスは必要だからです。冒頭でもお話ししたように、時代の変化に合わせていろんな新しいことに挑戦していくのが当社の文化です。新しい事業を生み出していくには、人をどんどん採用し、社員同士がスピーディーにコミュニケーションを取れる環境、すなわちオフィスは必須だと考えています。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2021年夏季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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