オフィス需要はさらに拡大、新築・既存ともに空室消化が進む。
グレードA空室率再び低下
シービーアールイー(株)の調査によると、2015年6月期の東京グレードAビルの空室率は4.8%と、前期(同年3月期)から0.3ポイントの低下となった。今期竣工したグレードAビルは、「東京日本橋タワー」「テラススクエア」など4棟。このうち、貸床面積4万坪の超大型物件である「東京日本橋タワー」が一部空室を抱えたまま竣工したため、「八重洲・日本橋」エリアのグレードAビルの空室率は、前期から大幅に上昇した。一方、「品川・田町」エリアのグレードAビルでは、前期に竣工した「品川シーズンテラス」に統合や拡張移転等の動きがあり、空室が消化されたため、空室率は大幅に低下した。
オフィス需要の拡大で、既存ビルを中心に空室消化が進み、新築ビルも竣工前に高稼働が見込まれるケースが増加している。しかし、全体的には竣工前に満室になる物件は少なく、今期のように、竣工後の顕在空室が、一時的に空室率に影響を与える状況は今後も続いていくものと考えられる。
全グレードでタイトな市況
東京23区全体の全グレードの空室率は、対前期比0.2ポイント低下の3.7%、主要5区では対前期比0.1ポイント低下の3.4%となった。引き続きタイトな市況となっており、大型空室の確保が難しくなっている。前出の「東京日本橋タワー」でも、既存ビルに大型空室が少ないことに加え、新築ランドマークビルに対する注目が高まっていることから、空室消化は順調に進むものと考えられる。
一方で、新築ビルや既存のグレードAビルにテナントが移転した後の二次空室物件では、競争力や収益力を高めるために、設備や共用部のリニューアルを実施し、ビルスペック向上を図るケースが見受けられる。リニューアル等で競争力を上げた二次空室物件を狙うテナントの引き合いも多く、賃料上昇の局面にあっても、オフィス需要は旺盛である。
全般的に、来期以降に竣工を迎える新築物件への引き合いも増えており、前述の通り竣工前から高稼働が見込まれている物件もある。企業の拠点戦略において最適な経営判断をするためには、潜在的な二次空室や今後に控えた新規供給等について、継続的な情報収集が一層重要になってくるものと思われる。
ビル営業統括部 岡田憲良
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 25,000~46,000 円/坪 | 大型ビルの竣工により、空室率は一時的に若干上昇。立地・ビルスペックで優良な物件から空室消化が進んでいる。 | |
主要3区中小規模ビル | 15,000~25,000 円/坪 | 中規模でグレードの高い物件が減少。駅からの距離や築年数で劣る物件は引き続き苦戦。 | |
周辺7区大規模ビル | 17,000~34,000 円/坪 | 大型空室の消化に伴い、空室率は引き続き低下傾向。賃料は若干の上昇。 | |
周辺7区中小規模ビル | 14,000~22,000 円/坪 | 全体的に空室は少なくなってきているが、競争力の低い物件は空室が長期化している。 | |
23区内大規模ビル | 11,000~17,000 円/坪 | 大口の解約が発生している物件もあり、企業の統合ニーズの受け皿となるケースも増えてきている。 | |
23区内中小規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | 好立地、築浅等の一部の物件で空室消化が進んでいるが、立地や視認性が弱い物件については苦戦している状況。 | |
立川 | 10,000~17,000 円/坪 | 優良物件の空室消化が進む一方で、競争力の低い物件は空室が長期化し、二極化の状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。