横浜主要エリアで空室率が低下。まとまった面積の確保が困難に。
空室率は3期連続低下
シービーアールイー(株)の調査によると、2015年6月期の横浜市の空室率は5.2%と、対前期(同年3月期)比1.2ポイント低下し、昨年9月期の8.1%から3期連続の低下となった。
サブマーケット別に見ると、「横浜駅周辺」は対前期比0.5ポイント低下し、4.6%となった。駅周辺の物件では、まとまった面積を確保しづらい状況が続いているが、100坪以下で空室消化した物件が複数あり、空室率の低下につながった。しかしながら、今後は大型空室が顕在化するため、空室率は上昇に転じることも予想される。
「みなとみらい」は、昨年から続いているビル内での増床移転が多く見られ、対前期比1.7ポイント低下の5.7%となった。以前は500坪以上の大型面積でも確保は容易であったが、現在では300坪程度でも、まとまった空室を確保することが難しい状況になっている。
「新横浜」でも空室率は低下している。特に、ワンフロア200坪以上のリニューアル物件で、周辺からの移転や他エリアからの移転が決まり、空室消化につながった。しかしながら、100坪程度の空き区画を抱えている物件は多く、長期フリーレントを付与することでテナントを誘致している物件も見受けられる。新横浜駅では路線の増設計画があるため、今後のエリア市況改善に期待したい。
「川崎」の空室率は前期より上昇したが、大型物件・駅前物件は引き続き品薄の状況である。また、駅から離れた中規模物件にも引き合いが集まりつつあり、賃料は上昇傾向にある。
みなとみらいの市況
みなとみらいでは、2014年の大型供給を最後に、2017年まで新規供給が予定されていないことから、物件の品薄感が続くものと予想される。しかし、テナント動向を見ると、内部増床移転が多く、新規入居が少ないことから、企業の賃料負担能力が一様に上がっているわけでもないことが考えられる。また、空室率は数年前の最低値までには低下していないため、オーナーサイドは、賃料の値上げや増額改定については、周辺のマーケット状況を見ながら慎重に対応していくものと思われる。
みなとみらいでは、2016年以降、大手企業の本社移転や、研究所、専門学校等の施設が竣工する予定であり、エリアが一層活性化することに期待したい。
横浜支店 佐藤亮子
- 現在募集中の横浜市の賃貸オフィス
- 現在募集中の川崎市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
横浜大規模ビル | 14,000~21,000 円/坪 | 駅前物件を中心に空室消化は依然堅調。 | |
横浜中小規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | 中規模で比較的グレードの高い物件の空室が減少。 | |
関内大規模ビル | 8,000~13,000 円/坪 | 立地改善、企業イメージ向上目的等の移転により、空室率の低下が進む。 | |
関内中小規模ビル | 8,000~9,000 円/坪 | エリア内の移転が少なく、苦戦が続く。 | |
新横浜大規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | 企業イメージ向上目的に伴う、エリア外からの移転や館内増床等により、空室率は低下。 | |
新横浜中小規模ビル | 8,000~10,000 円/坪 | 引き合いはあるものの競合が多く、空室率低下までには至ってい ない。 | |
川崎大規模ビル | 14,000~17,000 円/坪 | 空室は少なく、1区画に対し数件の引き合いがあり、賃料は上昇傾向。 | |
川崎中小規模ビル | 8,000~15,000 円/坪 | 大型物件の空室消化に伴い、中規模ビルの空室率も低下。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。