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敷金・保証金における償却の仕訳・会計処理の方法とは?

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2020年8月5日

オフィスを賃借する場合に敷金や保証金等の名称で賃貸人に金銭を支払うことがよくあります(以下「敷金等」といいます)が、この敷金等についてはその内容によって会計処理の方法が異なります。
そこで会計処理の誤りに伴う無駄な税金を支払わないようにするために、敷金等として支払った金額の会計処理の方法をご説明します。

1.敷金等を支払った際の処理

敷金等のうち契約終了時に返還される金額は、経費ではなく賃貸人への預け金なので差入保証金として資産に計上します。
敷金等のうち契約終了時に返還されない金額(償却部分)は、税法上の繰延資産となり、原則として長期前払費用として資産計上しなければなりません。

敷金等を支払った場合の仕訳

(1)長期前払費用の計上時期

敷金等の償却部分を長期前払費用として計上する時期について、例えば退去時に償却するような契約内容であっても契約当初から返還を受けられないことが確定しているのであれば敷金等の差入時(契約時)に長期前払費用として計上します。

【契約締結時に長期前払費用計上するケース】

以下のような約定がある場合には、契約締結時に敷金等の20%相当額を長期前払費用に計上します。

第○○条
賃貸借契約を終了する場合又は賃借人の都合により賃貸借契約を解除する場合は、敷金等のうち20%に相当する金額は、賃借人に対し返還を要しないものとする。

また、賃貸借期間の経過により返還される金額に異動があるような場合には、返還されないことが確定した段階で長期前払費用として計上します。

【返還されないことが確定した段階で長期前払費用計上するケース】

以下のような約定がある場合には、契約締結時・1年経過時・3年経過時にそれぞれ敷金等の10%相当額・5%相当額・5%相当額を長期前払費用に計上します。

第○○条
敷金等について、契約後1年以内に賃貸借契約を終了する場合には10%を償却し、1年を超え3年以内に終了する場合には15%を償却し、3年を超える場合には20%を償却するものとする。

(2)長期前払費用の償却

敷金等のうち返還を要しない長期前払費用として計上した金額は月割償却により費用に計上することになります。この場合の償却期間は原則として5年ですが、賃貸借期間が5年未満で契約の更新に際して更新料等を支払う必要がある場合には賃貸借期間が償却期間になります。

長期前払費用の償却

なお、長期前払費用の金額が、賃借建物の建築費の大部分に相当するような場合や、借家権として転売できるような場合には償却期間は上記と異なります。

(3)長期前払費用の金額が少額の場合

長期前払費用の金額が20万円未満である場合には、一時の経費とすることができます。
この場合における20万円未満かどうかの判定は、敷金償却の金額だけでするのではなく、その契約において支出した「建物の賃借するために支払った権利金等の費用」(礼金・敷金償却等)の合計額で判定します。

2.契約期間の中途又は更新に際して一部返還を受けた際の処理

契約期間の中途又は更新に際して賃料の値下げや経済状況の変化により預けている敷金等が一般的な金額に比較して高額になっているような場合に敷金等の一部の返還を受けることがあります。この返還額は将来返還されるべき金額として資産計上していた金額であり、返還を受けたとしても収益・費用には該当しません。

敷金等の一部の返還を受けた場合の仕訳

3.契約の終了に伴い返還を受けた際の処理

契約の終了に伴い賃貸人に差し入れていた敷金等の返還を受けた場合には、返還を受けた金額に相当する敷金等を減額します。資産計上されていた敷金等と実際に返還を受けた金額が同額の場合には収益も費用も発生しません。

契約終了時の仕訳(1)

また、契約において原状回復を賃借人が行うようなケースで、賃貸人が賃借人に代わって原状回復をした場合に敷金から差引く形で賃貸人から請求された修繕費の借主負担額は修繕費として経費に計上することになります。

契約終了時の仕訳(2)

著者プロフィール

加藤 智彰(かとう ともあき)氏
EXIAパートナーズ株式会社/東京IT会計事務所

1983年11月18日東京生まれ
2007年3月中央大学商学部 卒業
2007年9月KPMG税理士法人 入所
2013年12月税理士法人プログレス 入所
2014年9月税理士登録
2015年1月東京IT会計事務所 開設
2017年10月EXIAパートナーズ株式会社 設立 同社代表取締役就任

※免責事項
本稿の内容について、契約の内容や事実関係によって結論が異なってくる場合がありますので、実際の事案では、必ず専門家に相談することが必要です。
なお、本稿に記載されている事項については令和2年7月に施行されている税制及び同時点で一般的に妥当と認識されている事由に基づき執筆しており、今後税制その他の事由に変更があった場合には記述内容が変わることがあります。
執筆者及び当社は本稿の説明についていかなる責任も負うものではありません。

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