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イメーション株式会社

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / エントランス

記録メディアの製造・販売を行うイメーション株式会社は、過去2年間のうちに2度、オフィス移転を実施した。

1度目は、TDK子会社との事業統合を機に行ったオフィス統合移転、そして2度目は、執務環境改善を目的としたオフィス移転だ。一般的には、このような短期間のうちに移転を繰り返すのは、移転に伴うコスト負担や作業負担、得意先への影響を考えるとあまり得策ではない。しかし、事業統合を進め、さらに加速度的に事業拡大を図った同社にとって、その時々の状況に応じて2段階でオフィス環境を整えていくことは、良い結果をもたらすこととなった。その経緯を検証する。

事業統合によるオフィス統合 両社の社員が納得する立地選び

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / サインボード

発端は2007年4月、同社がTDKブランドの記録メディア販売事業を展開するTDK子会社を買収したことがきっかけだった。当時、同社は用賀に、買収したTDK子会社は本郷にそれぞれオフィスを構えていた。事業統合を進めるにあたり、まずはオフィスを統合することになった。

とはいえ、かたや外資系企業である同社と、かたや日本の伝統的な上場企業の子会社。企業文化のまったく異なる2社のオフィス統合には、拠点立地選定からオフィス構築まで、客観的で一貫した専門家のサポートが必要だとして、以前から取引のあったシービー・リチャードエリス(以下CBRE)にビル仲介とPM業務を委託。両社の担当者にCBREが加わり、移転プロジェクトチームを発足させた。

このオフィス統合移転の第一の目的は、まずは両社が一丸となって事業統合を推進できる"器"を見つけることだった。「事業統合が成功するかどうかも不透明な状態のなか、オフィス移転に莫大な投資をしにくい状況にありました。ですから、オフィス戦略を考えるというよりは、まずは両社が一つの建物でうまくやっていくための"新居"を探す意味合いが強かったのです」と同社側の移転プロジェクトチームの吉田謙三氏は振り返る。

そこで重要視されたのが、実際にそのオフィスで働くことになる両社の社員が、ともに納得する立地選びだった。事業統合による環境の変化に加え、通勤の便にも大きな影響が出るとなればモチベーション低下にもつながりかねない。そこで、両社社員の住居地が広範囲に及ぶことを考慮して、両社の既存オフィスが立地する用賀と本郷の中間地点である表参道を選定。駅周辺のエリア内のいくつかの候補物件のなかから、最終的に南青山4丁目のビルに決定した。

どのようなオフィスにするのかについては、両社の間には多少の意見の相違もあったようだ。「たとえば、TDKは日本の伝統企業らしく役職によって机の大きさや椅子が異なっていましたし、一方で外資系のイメーションは、実利主義で効率主義。合理的でありさえすればその他の点は気にしないような風土がありました」と吉田氏。「お互いが希望するオフィスのイメージがなかなかつかめず、多少遠慮していた部分もあった」という手探り状態のなか、時には議論が深夜まで及ぶこともあったという。こうして双方のさまざまな意思や思いを結集し、事業統合の舞台となる新しいオフィスが完成した。

社内からオフィス環境改善要望 2度目の移転を検討

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / 来客ブース

2008年5月、同ビルで業務開始。成否が懸念された事業統合は、予想以上に順調に進んだという。そのような折、社内で次の移転話が持ち上がる。というのも、前回のオフィス移転はとりあえずの新居探しの意味合いが強かったため、しっかりと時間をかけオフィス戦略を練り上げたというものではなかった。実際に統合オフィスでの業務が順調に進んでいくと、オフィス環境の問題点が次第にクローズアップされるようになったという。

一方で、こうした問題点さえクリアすれば、事業統合はますます加速するだろうとの社内のコンセンサスも生まれていった。2008年秋のリーマン・ショックの影響で賃料相場が下降していたこともあり、「不動産市況が借り手に有利なうちに移転してはどうか」という声が役員から出始めたのである。

当時、各部署から寄せられたオフィスの問題点は、大きく分けて三つ。一つは、オフィス機能が3フロアに分散していたことで、フロアが異なる部門間でのコミュニケーション不足が生じていたこと。しかも、各階をつなぐエレベータは建物内に1基しかなく、階段は内階段ではなく外階段があるだけ。雨の日には、社内にもかかわらず傘を差して上下階を移動しなければならず、コミュニケーション不足に拍車をかけていた。また、商品の搬入や配送を担うテクニカルセンターが、池尻大橋の賃貸ビルで別途運営されていたことも、本社の営業部隊との連携を不便にしていた。以上のような理由から、主要な部門をワンフロアに集約し、さらに池尻大橋のテクニカルセンターも統合できるオフィスの要望が強かったのである。

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / オフィススペース

もう一つは、この3フロアが、1階、地下1階、地下2階という3階層であったため、快適な執務環境を構築する上で制約が多かったこと。商品管理部門やコールセンターが地下フロアに位置し、そこでのスタッフは、窓のない空間での執務を余儀なくされていた。また1階フロアにしても、決して明るく開放的とは言い難いものであった。

三つ目の問題点としては、当時のオフィスは表参道エリアでも住宅街に立地しているため、場所がわかりにくく、クライアントや一般消費者へのアピールが不十分だということである。事業統合前の同社は法人向けビジネスが中心だったため、企業イメージの向上についてはさほど注力しておらず、統合後のオフィスも、その点への訴求力は希薄な印象が否めなかった。一般消費者向けのTDKブランドを擁する今、一般的に認知されやすく、アクセスしやすい場所での"外向き"のオフィスを望む声も多かったのである。

部署間の物理的な融合によるコミュニケーション向上が狙い

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / プレゼンルーム前

社内で高まるオフィス環境の改善要望を受け、賃貸借契約期間の終了となる2010年3月末に向けて、2度目のオフィス移転が検討されることになった。前回同様、ビル仲介とあわせてPMをCBREに委託した。

立地については、表参道エリア以外の選択肢は当初から存在しなかったという。なぜなら、前回の移転における表参道への決定プロセスを鑑み、他エリアへの移転は得策ではないと考えたからだ。「当社にとって表参道とは、統合前の2社が一つにまとまるために選んだ場所。実際に同じ建物で仕事をするようになり、少しずつ社員の気持ちが一つにまとまり始めた矢先に、別のエリアへ移転するのはマイナスになると考えました」(吉田氏)。

選定条件として、コストも重要なポイントだった。新オフィスの賃料は、既存オフィスと池尻大橋のテクニカルセンターの両方の賃料の合計金額を上限とした。主要部門をワンフロアに収容できる広さと、世間にアピールできる立地を条件とすると、コスト要件を満たす物件を探すのは容易なことではない。CBREが提案した20-30の物件を検討した結果、2009年9月、青山通りに面した「青山オーバルビル」への移転を正式に決定したのである。

懸案だったフロア統合については、事業関連機能を11階のワンフロアに集約。また、品質管理部門とコールセンターおよび池尻大橋のテクニカルセンターを9階に集約した。これまでの地下フロアから、見晴らしの良い11階と9階に移動したことで、執務環境の改善にもつながった。11階と9階の2フロアに分かれたことについては、「中核となる事業部隊は11階にまとめられ、9階の機能はまた異なるため、この部分は分かれても問題ないと考えました。仮にすべてをワンフロアに統合しようとすると、相当大型のビルへの入居が必要で、賃料も跳ね上がります。賃料とのバランスを考えると、機能別のフロア分散は適切な対応だったと思います」と吉田氏は話す。

各部門から要望の吸い上げ 問題の明確化でスムーズな意思決定

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / リフレッシュルーム

2度目のオフィス移転は、手探り状態だった前回とは違って改善すべき課題が明確だったため、社内横断的なプロジェクトチームを立ち上げる必要はないと判断。各部門の担当者に改善点を挙げてもらい、それらを吉田氏ら担当チームがCBREと共に協議しながら進めていく形をとった。

オフィスフロアは楕円型の形状が特徴だ。ユニークな形ではあるが、円形部分には余剰スペースが生まれやすい。そこで、フロア全体を中央の長方形の部分と両側の円形部分に分割。中央の広い長方形部分を執務空間にして机を並べ、両側の円形部分については、空間の広がりを生かしたプレゼンルームや社員用リフレッシュルームを配置したり、応接室やドリンクスペースといった比較的狭い空間を効率的に配置した。

新しいオフィスづくりのポイントは、「来客が増えるオフィス」。既存オフィスに比べて会議室や来客用スペースを広く確保するとともに、受付まわりは同社商品を陳列したデモルームを新設し、来客が何度も訪れたくなるようなオフィスを目指した。プレゼンルーム、会議室、来客用スペースなどの"外向き"のスペースは受付に向かって左側に集約し、右側に配置したリフレッシュルームや執務空間などオフィスワーカー向けのスペースへの動線と切り分けた。これまでは来客用スペースの中を宅配便の台車が通り抜けることもあったが、来客用と社員用の動線を分けることで問題は解消された。

こうしたレイアウトの決定において、通常は部門間の意見調整に難航するものだが、2度目のオフィス移転のため改善点が明確だったこともあり議論はスムーズに進んだようだ。「CBREの担当者の方も前回の移転での問題点を把握しており、随時適切な提案をいただけたのでやりやすかったです」(吉田氏)。

2度目の移転で統合オフィスが完成 社内コンセンサスの重視が成功の鍵

オフィス移転プロジェクト事例 /イメーション株式会社 / 応接室

順調に進んだ2度目の移転プロジェクトにも、問題が一つ浮上した。既存オフィスが住宅街に立地していたため、近隣への配慮から引越トラックを長時間とめておくことができないなど、搬出時間に制限が生じる点である。もちろん、そのような環境において夜中に突貫工事的に作業することもできず、ビルオーナーからは「夜8時までには作業を終わらせてほしい」との要望があった。

事前の計画では2月のある土日にまとめて引越作業を行う予定だったが、2週に分けて実施することにした。1週間の間が空くとなると、どの部分を先に移動させるかが問題となったが、使用頻度の低い資料や書類、機器類をあらかじめ整理・選別。加えて、業務に直接支障のない机の間仕切りなどを先行して移動。

前回の引越から間が短く、また、社員の新オフィスへの期待感から引越への意欲も高く、荷造りの手際や選別の判断は極めて的確に行われた。これが結果的には引越をスムーズにしたという。さらに、机間のローパーティションや電話線、LANケーブルの設置を先に済ませておくことでレイアウトが明確になり、あとは机を所定の場所にはめ込んでいくだけでよかった。引越作業は、予定より6時間も早い午後3時頃には終了した。

2度のオフィス移転を終えて、ようやく統合オフィスが完成したと吉田氏は言う。1度目の移転で、まず2社の連携する部門が机を並べて仕事をする環境が整えられ、そこで問題点や改善点の洗い出しが行われた。そして、全社員が具体的な改善方法を理解し、さらに移転の経験の記憶が新しいうちにすぐに2度目の移転を決行し、もうワンステップ上の、部門間の横のつながりとなるコミュニケーション密度の向上が図られた。社員が事業統合に対して前向きな姿勢で臨み、統合の段階に合わせたオフィスづくりに一丸となって取り組んだ帰結。それが可能だったのは、社員のコンセンサスを一番大切にし、社員の要望を丁寧に吸い上げていった移転プロジェクトチームの努力の結果だといえる。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2010年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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