大学の旧校舎を一棟借りし、新本社を構築。
DXソリューションの先進技術を導入し、ESG経営と新たな働き方を実践。
NECネッツエスアイ株式会社
本社オフィス「芝浦ビジネスベース」
SIから施工・サービスまで幅広い事業で価値を提供し、企業や社会のコミュニケーションを支えるNECネッツエスアイ株式会社。近年はDXソリューションの開発や提供に取り組む一方、自社でもそれらの技術を活用し、分散型ワークを推進してきた。2022年に3カ年中期経営計画「Shift up 2024」を発表し、その中で2030年に向け、DXや次世代ネットワークの技術を活かしたイノベーションにより、持続可能で豊かに響きあう社会をめざすことを掲げる同社が、 2023年3月に本社を飯田橋の高層ビルから、芝浦工業大学の旧校舎を1棟借りし移転した。今回、その本社移転の経緯や戦略をレポートする。
コロナ禍前から計画されていた 新本社「芝浦ビジネスベース」
1953年にNECから分離独立し、通信インフラの設置工事を行う会社として設立されたNECネッツエスアイ株式会社。電話機や交換機の設置に始まり、社会課題の変化やコミュニケーション技術の進化とともに、その事業領域は拡大。携帯電話の5G基地局や海底ケーブルの設置、さらには小惑星探査機や人工衛星との通信も支えるなど、活躍の舞台はいまや海底から宇宙にまで広がっている。
コロナ禍で急速に普及したウェブ会議システム「Zoom」も、それ以前の2017年から国内販売店第1号として企業の導入をサポートし、その実績は22,000社を突破。昨年2022年に策定した3カ年の中期経営計画「Shift up 2024」では、 2030年に実現すべき社会像を「持続可能で豊かに響きあう社会」と定め、「DX × 次世代ネットワーク」の具現化と、新たな社会価値の創造に取り組んでいくという。
そのNECネッツエスアイが、コロナ禍前から計画を進め、今年3月に完了したのが、飯田橋旧本社から、芝浦工業大学の旧校舎をリノベーションした新本社「芝浦ビジネスベース」への移転である。同社は2015年よりテレワークを試行導入し、2017年に全社員を対象として制度化。同年には総務省より「テレワーク先駆者百選」に認定されるなど、いち早く働き方改革に取り組んできた。柔軟な働き方を導入する一方、オフィスも目的別に分散させ、2019年10月には、従業員たちの自宅から30分圏内の首都圏7ヶ所に、サテライトオフィス「アクティビティベース」を開設。2020年2月には日本橋に、国内外の顧客やパートナーとの共創により、新しいビジネスを創出する場として「イノベーションベース」を、続いて新川崎に、新技術の実証や人材育成を目的とする「テクニカルベース」を開設した。そのさなか、誰も想像し得なかったコロナ禍に突入し、人々の働き方はもとより、不要不急の外出の自粛が要請されるなど、暮らしや社会は大きく変化することになる。つまり、新本社「芝浦ビジネスベース」への移転は、分散型ワークや働き方改革に向けた同社の取り組みの一つであり、コロナ禍という大きな社会の変化をまたいで遂行されたのである。
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