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サイボウズ株式会社 福岡オフィス|プロジェクトケーススタディ

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

サイボウズは2021年5月、福岡の営業拠点と開発拠点を統合した新オフィスを博多駅直結の新築オフィスビルに開設した。ポストコロナを見越したオフィスづくりを意識し、100坪の地方拠点には珍しく、ABW(Activity Based Working)を導入しているのが特徴。その狙いは一体何なのか。同社の働き方やオフィスの考え方、拠点展開の戦略と併せて取材した。

先進的なチームワークを実践するIT企業がポストコロナを見越して作った、多様な働き方を実現する最新地方拠点。

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

コロナ前から在宅勤務が定着 働き方の先進企業が考えるオフィスとは

グループウェアやチームワーク強化メソッドなど、チーム・コラボレーションを支援するツールを開発・販売するサイボウズ。クラウド サービスを開始した2011年以降、同社の連結売上高は3.5倍以上に成長。それに伴い、東京の事業拠点である東京オフィスの移転(2015年)をはじめ、全国各地の拠点でも増床や移転を行い、体制強化を図ってきた。

そこに直撃したのが、新型コロナウイルス感染症の流行である。世の中でリモートワークが広がり、オフィス縮小に動く企業もある中、サイボウズは今年5月、福岡オフィスの増床移転を敢行。同社の躍進を支える2大柱である営業部門と開発部門を統合し、2月に竣工したばかりの博多駅直結のオフィスビル「博多深見パークビルディング」に居を構えたのである。

このコロナ禍において“、攻め”のオフィス移転を行ったのはなぜなのか。その背景には、オフィスづくりに対するサイボウズ独自の考え方があった。

同社は、在宅勤務を含む多様な働き方を早くから推進してきたこともあり、コロナ禍に至る前から出社率の全社平均は7割程度だったという。すでに2010年には在宅勤務制度を導入し、2018年からは、「いつ、どこで、どれだけ働くか」を社員が自由に決められる「働き方宣言制度」を実施している。これらの制度設計に加えて、多様な働き方をサポートするツールと、チームワークを重視するサイボウズの風土も、同社のワークスタイル変革に寄与してきたという。「当社は、インターネット環境さえあれば働く場所を選ばないグループウェア製品を販売しています。製品が提案する働き方を社員自らが実践してきたことが、在宅勤務の広がりにつながっているのかもしれません」と話すのは、同社人事本部総務部、部長の伊藤優香氏。

だからといって、会社としては在宅勤務を推進しているわけではなく、出社を求めているわけでもない。ワークスタイル変革は、あくまで社員の働き方の選択肢を増やし、社員が自由に選択できる環境を整えることが目的だという。その選択肢の一つが、オフィスというわけだ。「私たちにとってオフィスは、チームワークのHub(ハブ)としての位置づけです。社員だけでなく、ユーザーやパートナー企業の方々にも来ていただきやすいオフィスをつくることで、活発なリアルコミュニケーションを通してチームワークの強化を図っていければと考えています」(伊藤氏)。

従来からのこうした考え方が、コロナ禍での“攻め”のオフィスづくりに結実したと言えるだろう。では、福岡オフィスの移転を詳しく紹介する前に、それにつながる最近の移転事例から見ていくことにする。

チームワークのBig Hub「東京オフィス」 移転の議論はボトムアップで始まった

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

「Big Hub for Teamwork」をコンセプトに、国内の中心拠点である東京オフィスが水道橋から日本橋に移転したのは、2015年7月のことだ。当時はまだサイボウズ社内でも出社が一般的であり、急成長による座席不足を解消するための移転だった。

実はこの移転は、社員のボトムアップによる問題提起が発端だったという。「当社には、オフィス移転に限らず、社員が自ら問題提起して議論・解決できる文化があります。また、リラックスした雰囲気での意見交換を推奨する目的で、飲食代を補助する『仕事Bar (バー)』という制度もあります」と、同社人事本部総務部の世永愛氏は語る。

東京オフィスの座席不足に関しても、まずは有志が制度を活用して集まり、移転、増床、サテライトオフィスの設置などの解決策を話し合ったのが最初だった。議論の結果、「皆が一緒に働けるオフィスがいい」という結論に達し、本部長会で移転が起案され決まったという。その後、部署横断によるプロジェクトチームが発足し、新オフィスのコンセプトを議論。そのコンセプトに基づき、人事本部が中心となって物件選定、デザイン設計、家具選定などを進めていった。

経営会議で大きな議論になったのは、物件選定だったという。「現在入居する東京日本橋タワーは移転前のビルと比較してグレードが高く、『会社の身の丈に余るのでは』という意見もありましたが、Hubとしてのアクセスの良さや、大手企業から中小企業までが集まる街の多様性に加え、クラウドサービス事業者に求められるセキュリティや防災に優れたビルであることが決め手となりました。当社では、会議での議事録はすべて社員に公開され、疑問のある人には質問責任が、疑問に対しては説明責任があります。全社で公明正大な議論を重ねながら、皆が納得できる形で進めていきました」(伊藤氏)。

完成した東京オフィスは、チームワークの中心拠点に相応しいものとなった。執務フロアはオープンなレイアウトを基本とし、部署を問わず利用できるフリーアドレスや気軽なミーティングスペースなどが設けられている。また、顧客やパートナー企業が活用できるスペースを広く設けているのも特徴だ。「公園」をイメージしてデザインされているエントランスには、多様性を表す多種多様な動物のぬいぐるみが配置されているほか、リラックスした雰囲気で商談できるカフェブースや、訪問客が打ち合わせの合間に仕事ができるスペースもある。「移転前はこちらからお客様先に出向くのがあたり前でしたが、このオフィスになってからはお客様の方から来社いただけるようになり、コロナ前は月間2,000~3,000人もの方が来社されていました」(伊藤氏)。

社員の多様な働き方を推進する 一環としての地方拠点戦略

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

同社は東京以外にも、大阪、松山、福岡、名古屋、仙台、横浜、広島、札幌にオフィスがある。実はこれらの地方拠点の立ち上げも、トップダウンではなく、ボトムアップが基本なのだという。一体、どういうことなのだろうか。

「先述のとおり、当社では社員が自分の働き方を自由に選択することができます。仮にトップダウンで拠点を作ったとしても、そこに行きたい人がいなければ、実現しません。従って、『××に行きたい』という社員がいてはじめて、拠点立ち上げの議論がスタートします。これは営業拠点でも開発拠点でも同様です」(伊藤氏)。社員からの拠点開設の要望に対して、現地の商圏規模や人材採用の可能性を調査・検討し、投資に見合うと判断されれば実行に移されるという。

直近の事例を紹介すると、東北地域のHub拠点である仙台オフィスの移転が、 2020年1月に実施された。これも現地社員の要望から始まったという。それまではレンタルオフィスを借りていたが、人員増への対応と、東北地域における販売・サポート体制を一層強化するため、居を構えることにしたのだ。

現地社員が選んだのは、一般的なオフィスフロアへの移転ではなく、路面店を出すことだった。「本社の総務としては、オフィスビルのほうが何かと楽なのですが(笑)、『仙台にサイボウズが根差していくために、人目につきやすい路面店を構えたい』というのが現地の強い要望でした。現地社員によると、仙台には様々な企業が拠点を構え、短期間で撤退したケースもあったようで、『サイボウズは違う、我々の本気を見せたい』という彼らの熱い想いが拠点作りに込められています」(伊藤氏)。

「来社してもらうオフィス」という考え方は、地方拠点でも踏襲されている。仙台オフィスでも、製品説明会などを行えるセミナールームを設けて集客に努めている。それ以外に、仙台オフィスならではのこだわりとしては、社名をカタカナ表記した看板を大きく掲げたことだ。「通常、社名はアルファベット表記ですが、『サイボウズを知らない地元の人たちに社名を覚えてもらいたい』という現地の要望を聞き入れ、カタカナ表記を採用しました。総務としては現場の意向を尊重し、最大限支援するというスタンスです」(伊藤氏)。

ポストコロナを見据えた 福岡オフィスのABW導入

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

そして、未だコロナの収束が見通せない今年5月に実施されたのが、福岡オフィスの移転である。サイボウズの拠点作りの考え方を踏襲しながらも、これまでとの大きな違いは、ポストコロナを見据えたオフィスづくりへの挑戦として、本社主導で進められたことだ。

移転のそもそもの理由は、外部のシェアオフィスを借りていた開発部隊を、営業部隊がメインだった福岡オフィスに統合することだった。コロナ前から移転先を探していたものの、当時の福岡のオフィス需給は逼迫しており、希望する規模の空き物件を見つけるのは非常に困難だった。そこで新築に狙いを定めたところ、2020年3月にCBREから紹介されたのが、博多駅直結の博多深見パークビルディングだったのだ。

その年の6月、早速オフィスづくりの議論が社内で始まった。当時、同社社員の出社率は10%台。在宅勤務を余儀なくされた状態で、コロナ後のオフィスをどのように想定し、設計していったのだろうか。

「コロナが落ち着いた後の日本や、オフィスの状況がどうなるかなど誰にも分かりませんでした。ですからイメージで進めるしかなかったのですが、誰もが感染症を気にせず出社できる状況を想定し、コロナが流行る前の出社率をベースに、今後想定されるオフィスの使い方を現地社員にヒアリングしながら考えていきました」(世永氏)。

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

その結果、導入されたのがABW(Activity Based Working)である。これは、社員がその日の気分や業務内容によって座る場所を自由に選べる環境のことだ。固定席を減らすことで、オフィス面積を有効活用できる利点もある。福岡オフィスの場合、出入り口に近いハイカウンターのタッチダウンスペースや、ファミレスのようなソファ席、靴を脱いでくつろぎながら仕事ができるビーズクッションの席、防音の一人用ブース、リクライニング機能とパーティションの付いた集中席などが設けられている。

単なるフリーアドレスではなく、多様な働き方のできる環境を提供するABWは、オフィス面積の小さな地方拠点に導入するのは難しいようにも思える。所属人数16名の福岡オフィスが、あえてABWを導入した理由は何だったのか。

「コロナ禍で在宅勤務がより一層定着し、出社する頻度が減っているからこそ、出社した日には気分よく働いてもらえる環境を作っていくことが大切だと考えました。福岡オフィスで初めて導入した防音の一人用ブースは、電話やWebミーティングの際に、大人数の会議室を一人で専有するのは気が引けるという人に人気があります。コロナ以降、東京オフィスにも導入しています」(世永氏)。

サイボウズ株式会社 福岡オフィス

もう一つ、ポストコロナのオフィスの象徴として設置したのが、配信スタジオである。「コロナ禍でリアルでのセミナー開催が難しくなり、オンライン配信に移行しています。今後は当社が発信するセミナーに限らず、パートナー企業様が配信するセミナーでも活用いただけるよう、地方拠点では初めて常設の配信スタジオを作りました」(世永氏)。

福岡オフィスは2021年5月6日に業務開始。まだしばらくは在宅勤務が中心になりそうだが、だからこそ、多様な働き方の選択肢の一つとして快適なオフィス環境を提供しようとする同社の試みには、参考になる点が多い。ポストコロナのオフィスのあり方を模索している企業には、一つのモデルケースを示してくれそうだ。

プロジェクト概要

企業名 サイボウズ株式会社
施設 福岡オフィス
所在地 福岡県福岡市博多区博多駅前4-14-1博多深見パークビルディング12F
稼働開始日 2021年5月6日
人員 約16人
規模 約115坪
CBRE業務 拠点統合に伴う物件紹介・仲介

この記事に関するCBREのニュースリリースを下記よりご覧いただけます。

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上記内容は BZ空間誌 2021年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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