空室率の低下傾向は続くが、一部エリアでは需要に一服感も。
市況に停滞感も
シービーアールイー(株)の調査によると、2015年6月期の「さいたま」エリアの空室率は4.3%と、対前期(同年3月期)比0.9ポイント低下した。これは今期、「明治安田生命さいたま新都心ビル」(ランド・アクシス・タワー)が満室となったことが大きな要因と考えられる。
さいたま市中心部では、200坪を超える空室を確保することが引き続き困難な状況となっている。一方、50~100坪の中規模の空室は比較的在庫が多く、需要に偏りが見られる。
「千葉」エリアでは、千葉駅徒歩5分圏内のエリアの物件では、引き続き100坪以上のまとまった空室を確保しづらい状況であるが、昨年に旺盛だった需要は一服感を見せている。また、「船橋」エリアについても同様の傾向であった。
「柏」エリアにおいては、今期、新規出店等の動きが見受けられた。これは、千葉県内でのオフィス景況感の改善が、「千葉」「船橋」エリアから「柏」エリアに波及したものと思われる。
北関東・信越主要都市の今期の市況動向を見ると、「宇都宮」「高崎」エリアでは、空室率は横ばい傾向で推移。「新潟」「水戸」エリアでは空室が減少している。
エリアによって多少濃淡はあるものの、全体的にマーケットの動きは停滞傾向であった。これは、昨年多く見られた拡張移転やオフィス環境改善目的といった積極的な移転動向に一服感が出てきたことや、6月に株主総会を控える企業が多いことによる季節的要因が重なったものと考えられる。
賃料水準の動向
賃料については、空室率が低水準で推移している「さいたま」エリアや「船橋」エリアにおいて上昇傾向が見られるが、その他のエリアでは、ほぼ横ばいとなっている。ただし、どのエリアでも、テナントサイドの物件選択肢は少なくなっており、募集賃料からの交渉幅は小さくなってきている。
今後の動向としては、「宇都宮」エリアや「つくば」エリアで、2016年に新築ビルの供給が予定されているが、年内はオフィスマーケットに影響を与えるような目立った供給はない。景気の回復傾向が続くなか、企業の設備投資は堅調さを維持しているため、年度内は引き続き空室率の低下傾向が続くものと思われる。
ビル営業統括部 川名雄巳
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
千葉市 | 8,500~13,000 円/坪 | 新規出店、拡張等の前向きな需要が増加。千葉駅近隣で、築浅の大型物件を中心に稼働率が上昇してきているが、賃料上昇には至らず。 | |
茨城 | 7,500~11,000 円/坪 | 水戸では築浅で駐車場が確保できる物件が需要の受け皿に。つくばでは来年2月に新規供給予定。全体的に前向きな需要が増えつつある。 | |
さいたま市 | 15,000~20,000 円/坪 | 「ランド・アクシス・タワー」が満室稼働となり空室率はさらに低下。中心部では200坪超の確保が困難に。中規模の空室は在庫も 多く需要に偏りが見られる。 | |
栃木 | 8,000~10,000 円/坪 | 2016年春、地元企業が宇都宮では8年ぶりとなるワンフロア200坪超のビルを新築することを発表。テナント需要の喚起が予想される。 | |
群馬 | 7,000~10,000 円/坪 | 高崎では駅周辺の中大型ビルで空室消化が進み、満室になる物件も出てきた一方、駅から離れた物件は空室が長期化。前橋では小 規模な需要が少々見られるが、空室率は高止まりしている。 | |
長野 | 8,000~11,000 円/坪 | 長野駅周辺で小規模な事務所の解約が散見され、空室率はやや上昇。北陸新幹線開業に関連する目立った動きはいまだ見られない。 | |
新潟 | 8,000~10,000 円/坪 | 万代や古町で100坪前後の成約があり空室率は若干低下。空室は多いが、新規出店や拡張移転等、前向きな需要が増えてきている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。