今年竣工のグレードAビルは9割以上内定。 新型コロナウイルスの影響でオフィスに新たな動きか。
賃料はおおむね横ばいで推移
当社調査による2020年3月期の東京オールグレードビルの空室率は0.6%、グレードAにおいても0.9%と、引き続き低水準で推移している。また、賃料水準も、概ね横ばいで推移している。
その背景として、今年、東京においては、20万坪弱のグレードAビルの竣工が予定されているが、内定率は90%を超えていることが挙げられる。二次空室にも、内部増床を含め、一定の賃借希望が集まっており、外部募集となっても複数の引き合いが重なるなど、引き続き堅調な動きを示している要因と考えられる。
緊急事態宣言発令後のオフィス市場
今般の新コロナウイルスの経済への影響により、不動産市場では、少し変化が見られそうである。東京では、4月の緊急事態宣言発令前後から、内見のキャンセルや申し込みの撤回、新設・移転の意思決定時期を先送りする企業が、散見され始めている。すでに移転を決めている企業においても、移転先の内装工事、移転元の原状回復工事における部材納入の遅れによる工事の遅延から、スケジュールやコストを再調整せざるを得ないケースも出てきている。
また、国土交通省は、賃貸ビルオーナーに対し、賃料徴収の猶予を働きかけた。来店客の減少により直接的に影響を受けている飲食・小売店舗等においては、オーナー側へ固定賃料減免を要請するケースも一部で見受けられる。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、その対策のため経済活動の停滞が長期化、企業業績に大きく影響を及ぼす事態となれば、解約や使用面積の減床による空室の増加、ひいては賃料の下落の可能性も考えられる。より割安な物件への移転や縮小移転、拠点分散化による固定費削減を模索する事例も見え始めており、こういった動きが進む可能性は大いにありそうだ。
一方、企業の働き方も、改めて再考される機会になると考えられる。業種によるハードルもあり、在宅勤務をうまく活用している企業ばかりではない。リモートワークがさらに進めば、Web会議システム等のITツールの導入も一層進むだろう。コワーキングスペースの活用、または住宅が集積する郊外でのサテライトオフィス構築による拠点分散化等、よりフレキシブルな働き方が加速し、オフィスの在り方が、見直される可能性も出てくると思われる。
作成日:2020年4月末 ビル営業本部 鳥田 佑介
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 35,000円~50,000円/坪 | 高価格帯物件においては一部苦戦も見られるが、新築物件を中心に全体的に引き合いもあり順調である。 | |
主要3区中小規模ビル | 25,000円~30,000円/坪 | 空室は少なく、好立地、築浅物件において引き合いは多い。新規募集時に引き合いが依然集中している。 | |
周辺7区大規模ビル | 28,000円~40,000円/坪 | 山手線西側の空室率は引き続き低水準だが、館内増床の勢いは収まった印象、外部募集も少しずつ出始めている。 | |
周辺7区中小規模ビル | 20,000円~30,000円/坪 | 低価格帯のため比較的需要が多く、新規募集時に引き合いが依然集中している。 | |
23区内大規模ビル | 17,000円~25,000円/坪 | 主要エリアからのコスト削減のための移転先として一定のニーズあり。都心へのアクセス、通勤利便性により優劣は分かれる。 | |
23区内中小規模ビル | 13,000円~17,000円/坪 | コスト重視企業の需要は高い。賃料は大きな変動は少ない。 | |
立川 | 12,000円~18,000円/坪 | 小型空室の消化は順調に進んでいる。100坪以上の大型空室は、多くはないものの成約が見られる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。