新型コロナウイルスの影響は、 テナント・オーナー双方に。
移転計画の変更・中止
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、企業の景況感は一気に悪化した。2020年3月期の日銀短観では、大企業製造業の業況判断指数は、製造業、非製造業ともに7年ぶりの低水準となった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業は、極力キャッシュアウトを抑制すべく、新たな設備投資となるオフィス移転を、延期・中止とする動きが見られる。拡張移転を計画していた企業については、当初計画していた必要面積の縮小と、時期の延期を検討する動きが出ている。
コスト削減を目的に移転する企業では、原状回復コストを抑えるため、居抜きで後継テナントを探す動きも広がりつつある。これまで、貸主側は、居抜きはトラブル防止の観点などから、承諾には消極的であった。しかし、最近は居抜きの需要が多いことや、景況感の悪化から、早いうちにテナントを決定するため、認めるケースも見られるようになった。これにより、入居者側は初期内装コストを抑え、退去者は原状回復費を抑える新しい流れが出始めている。一方で、入居後のトラブル防止などの観点から、プロの目を入れる必要があり、注意を要する。
空室増加の懸念
テレワークの常態化から、今までのオフィス面積が不要になり、分室やフロアの一部を解約する動きが、複数見られるようになった。渋谷など、ベンチャー企業の多いエリアでは、オフィスを持たないフルリモートワークへの移行により、オフィスをすべて解約するような動きも見られ、少しずつ空室が増え始めている。
また、これまで館内テナントで消化されていた二次空室も、需要の減少から募集が増えることが予想される。
これまで、オフィス市場を支えてきた大手企業が、リモートワークの本格的導入や、賃料などのコスト削減を見込んで、オフィス面積を大幅に削減する計画を順次発表している。このことから、今後は大型の解約が増加することが予想される。
また、前述のとおり、二次空室の募集が増えることが予想され、その結果、相対的に空室率の上昇も予想される。
定期借家契約を締結しているビルでは、ここ数年の賃料上昇傾向から、再契約の際に非常に強気な交渉をしている物件もあった。しかし、需要の減少から、以前に比べ、少し緩やかになりつつある。
ビル営業本部 佐野 純也
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 35,000円~50,000円/坪 | 全体的な需要の落ち込みから引き合いが少なくなっているものの、賃料水準は据え置きのままである。 | |
主要3区中小規模ビル | 25,000円~30,000円/坪 | 館内需要が少ないため、二次空室などの空室が出始めている。 | |
周辺7区大規模ビル | 28,000円~40,000円/坪 | 全体的な需要の落ち込みから引き合いが少なくなっており、一部賃料設定を見直すビルが出始めている。 | |
周辺7区中小規模ビル | 20,000円~30,000円/坪 | 分室の解約など一部の地域やビルにおいて解約が出始めており、以前に比べて空室が増えつつある。 | |
23区内大規模ビル | 17,000円~25,000円/坪 | 需要の落ち込みはあるものの、空室も大きくは増えておらず賃料相場は横ばい。 | |
23区内中小規模ビル | 13,000円~17,000円/坪 | コスト重視企業の需要は高い。賃料は大きな変動は少ない。 | |
立川 | 11,000円~18,000円/坪 | 空室状況に大きな変動はなく、一定規模の需要は続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。