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賃貸オフィス・事務所の記事

東京 - 賃貸不動産市場 2020年12月期

企業マインドの悪化で空室率は上昇。オフィスの新しいあり方の模索が始まる。

景気動向とオフィス需要の減退

新型コロナウイルスのワクチンの普及により、経済が正常化に向かうという期待を背景に、日経平均株価は高値となっている。しかし、感染者数のさらなる拡大に対する懸念は続いている。日本国内の景気動向指数も、2020年5月以降、5ヶ月連続で改善しているが、先行指数は下落している。感染の再拡大による、景気への影響に対する懸念が強まっている。

このような懸念や企業のコスト抑制の動きから、オフィス需要の減退と空室率の上昇が、数値データにも表れてきた。シービーアールイー(株)の調査によると、2020年12月期の空室率は、前期(同年9月期)と比べ、グレードAは0.3ポイント上昇の1.2%、グレードAマイナスは0.6ポイント上昇の1.5%、グレードBでは0.7ポイント上昇の1.4%となった。

オフィス需要の減退の具体的な事例として、リモートワークの導入による、オフィススペースの見直しや、コスト削減を目的として、部分解約をする企業の増加が挙げられる。また、内装工事が完了しながら、未使用のまま居抜きで募集に出す事例やバックオフィス等、事務機能を郊外へ移す動きも出始めている。今後は、企業マインドの悪化から、オフィス稼働率のさらなる低下も示唆されている。

オフィスの目的の再定義が課題に

コロナ禍で企業のリモートワーク導入率は高く、社員のウェルビーイングに資するためとの回答がある一方、課題として、心身の健康管理が難しいとの意見も多い。オフィスにおいては、ソーシャルディスタンスを確保するため、1人当たりの執務スペースの拡大を検討する企業も出始めている。

また、リモートワークの方がはかどる仕事と、オフィスに人が集まって議論した方が生産性が上がる仕事との違いが、認識され始めている。オフィスには、単なる事務作業の場ではなく、新しいビジネスを生み出す生産拠点となれるかが求められている。

「人が集まるリスク」を分散させながら、新しいビジネス創造のため、「人が集まる場所」をつくる。矛盾した2つの要素をうまく組み合わせ、オフィスに行く目的を“再定義”することが、企業の課題となってきている。

今後のオフィスビルは、このようなオフィスに対する企業の課題について、柔軟な対応や付加価値を提案していくことが重要になると考えられる。

ビル営業本部 加藤 慎二郎

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
主要3区大規模ビル 35,000円~48,000円/坪 大型需要は減少しているが中小規模の需要は増加し、賃料水準は横ばいの傾向にある。 やや上昇
主要3区中小規模ビル 22,000円~30,000円/坪 館内増床や分室需要が少なく、二次空室が顕在化しつつある。 やや上昇
周辺7区大規模ビル 25,000円~38,000円/坪 引き合いの減少を受けて、賃料設定の低下傾向が見られる。 やや上昇
周辺7区中小規模ビル 18,000円~28,000円/坪 主要3区を含む高額賃料エリアからの受け皿として堅調に推移し ているが、一部のエリアで空室が増加傾向にある。 やや上昇
23区内大規模ビル 15,000円~23,000円/坪 城東エリアで空室の増加が顕著となり、賃料水準も下限の見直しが出始めている。 やや上昇
23区内中小規模ビル 12,000円~17,000円/坪 コスト削減移転を中心に一定の需要は見られるが、空室は増加傾向にある。 やや上昇
立川 12,000円~18,000円/坪 新規解約は多く見受けられず、50坪以下の物件を中心に空室の消化が進んでいる。 やや低下
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

(注)主要3区=千代田、中央、港 周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒 23区内=左記10区を除く東京都内

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2021年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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