空室率は過去最低の0.7%に低下。 逼迫した市場の影響で賃料上昇が顕著に。
大型新築ビルは高稼働で竣工
当社調査によると、2020年3月期の横浜オールグレードの空室率は0.7%と、対前期(2019年12月期)比0.1ポイント低下した。これは2007年以来の過去最低値となる。
エリア別に見ると、「横浜駅周辺」エリアの今期の空室率は0.9%と前期から横ばい。「みなとみらい」エリアの空室率は0.6%と、対前期比0.2ポイント低下した。
前期に発生した大型空室は、早期に埋め戻された。マーケットが逼迫する中、空室を早期に確保する動きを反映し、賃料上昇が顕著に見られた。今年3月竣工の「横浜グランゲート」は、オフィス区画をソニーがすべて賃借した。5月には「JR横浜タワー」が高稼働で竣工した。2万5千坪もの大規模新規供給にもかかわらず、エリア外からの移転や新規開設が多く、エリア内のマーケットへの影響は少ない。
「関内」エリアでは、さらなる空室消化が進み、すぐに入居できる物件が少なくなっている。横浜市関連のテナントが現在入居し、すでに解約予告が出た民間の賃貸ビルでは、後継テナントの誘致を始めている。本格的な空室率への影響は、今秋以降となるだろう。
「新横浜」エリアは、一部で空室の長期化が続いているが、駅前の空室は早期に消化している。全体としては、低水準の空室率を維持している。
「川崎」エリアでは、前期に大型面積の解約が発生したが、現テナントの退去前に、後継テナントが決定した。空室がほとんどない状況が続き、賃料上昇がゆるやかに進んでいる。
全エリアで、マーケットは逼迫した状況が続いており、賃料上昇が進んでいる。また、ビルオーナーが変わったことをきっかけにし た、テナント誘致の方針変更が賃料上昇を加速させている。今期は、全体として、引き続き好調なマーケットとなった。
新型コロナウイルスが不安要素に
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、空室募集中であっても、テナント入居中の区画は内覧許可が得られない等のケースが散見される。また、テナント企業は、将来の業績見通しが不透明な中、移転の中止や延期を決定するケースも出ており、逼迫したマーケットに、どう影響するかが注目される。
横浜支店 小河 卓
- 現在募集中の横浜市の賃貸オフィス
- 現在募集中の川崎市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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横浜大規模ビル | 19,000円~28,000円/坪 | 高稼働で大型ビルが竣工。引き続き、空室率は低水準で推移。既存ビルも駅近に限らず、駅から遠い古めのビルも取引が進む。 | |
横浜中小規模ビル | 15,000円~17,000円/坪 | 新規契約賃料が高騰する中、館内増床移転が増え、空室は外部募集前に消化するケースが増えている。 | |
関内大規模ビル | 12,000円~16,000円/坪 | 市役所の移転跡等、顕在化する前の潜在空室であってもテナント商談が多く入っており、引き続き空室率は低水準で推移している。 | |
関内中小規模ビル | 10,000円~13,000円/坪 | 新市庁舎周辺や関内駅を中心に、全域で空室消化が進んでいる。空室率が低い中、古いビルも徐々に賃料が上昇傾向にある。 | |
新横浜大規模ビル | 12,000円~15,000円/坪 | 希少性が高い大型空室でも、駅から距離が離れる物件では成約までの期間が長期化しているが、駅近の物件は空室を早期に消化している。 | |
新横浜中小規模ビル | 11,000円~14,000円/坪 | 大規模ビルより空室は多いものの、テナント需要は強く、空室率は低水準で推移している。 | |
川崎 大規模ビル | 16,000円~19,000円/坪 | 前期に顕在化した大型空室はすぐにテナントが決定し、空室がない状況となっている。 | |
川崎 中小規模ビル | 14,000円~18,000円/坪 | 大規模ビルと同様で、空室がない状況が続いており、駅から遠いビルでも、募集賃料を上げているケースが散見される。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。