神戸:空室率は3期連続で横ばい。空室消化の動きに注目。
神戸のオフィスマーケット
神戸における2019年12月期の空室率は3期連続で1.8%となった。100坪台で新たに空室化する物件が出てくる一方、同程度の現空室が成約する動きもあり、結果として空室率は横ばいとなった。内容的には三宮駅前の高額賃料ビルの成約や、対象エリア外から三宮エリアへの立地改善(流入)移転等が見られた。いまいまは現空室が少なくタイトなマーケットだが、2021年竣工予定の新築ビル2棟(「神戸阪急ビル東館」「GLION Awa-s Building」)と、今後顕在化する、金融機関の合併・統廃合による解約予告ベースの空室が順調に消化されるか否かが、注目されるところである。
今期の想定成約賃料は対前期比0.4%(50円/坪)の11,800円/坪と上昇基調は維持しているものの、営業の現場では上昇ペースがやや鈍化しているようにも感じられる。2021年以降の新築ビルや解約予定空室の賃料水準に見定めにくさがあり、選択肢は増えつつも、大型の先物物件に対する商談の具体化にはもう若干の時間が必要であると感じられる。
京都:大型空室の確保は困難。ホテルの稼働率には陰りも。
京都のオフィスマーケット
京都における2019年12月期の空室率は、前期から変わらず0.5%であった。引き続き、拡張移転や新規開設ニーズは強い。主要オフィスエリア内で100坪を超える空室はほとんどなく、まとまった面積での移転を検討するテナントにとって候補物件はほぼない。やむを得ず残留し、近隣で分室を開設するというケースも珍しくない。拡張移転、新規開設および館内増床の需要が依然として強い中、新規供給は2010年以降ストップしており、需給が緩む兆しは今のところ見えてこない。
想定成約賃料は、前期に比べて3.4%(510円/坪)上昇して、15,610円/坪となった。引き続き、賃料上昇は続いており、今期も過去最高を更新している。
一方で、オフィスエリア内も含めて激増した京都のホテル等の宿泊施設については、昨年頃から稼働率に陰りが出始めている。立地によっては、ホテル開発を検討していた事業者が、長期的な収益の観点から、ホテル以外の用途として、オフィスの建設も視野に入れる動きが出てきている。
関西支社 皆藤 誠一郎 / 山口 直哉
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
15,000円~18,000円/坪 | 一部ビルに空室予定が出ているが、現空室ベースでの空室率は低水準が保たれている。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
9,000円~15,000円/坪 | 大規模ビルと同様に、多少のテナントの入れ替わりはあるものの空室率は低水準。 | |
姫路 | 8,000円~13,000円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
明石・加古川 | 8,000円~9,000円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
阪神間 | 9,000円~12,000円/坪 | 開発計画はあるものの、現時点での空室率は低水準。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
19,000円~24,000円/坪 | 満室稼働の物件が多く、空室予定も少ない。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
12,000円~17,000円/坪 | 引き続き空室は少なく、空室予定も少ない。 | |
京都駅前 | 17,000円~22,000円/坪 | 引き続き空室は少なく、空室予定も少ない。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,300円~4,000円/坪 | 2019年に竣工した神戸内陸部のLMT3棟はほぼテナント決定済。また、湾岸部含め既存物件の空室も少なく、賃料は上昇傾向。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,800円~4,300円/坪 | エリア、面積を問わず空室が少ない状況が続いているが、賃貸しづらい構造の物件は、空室が長期化する事例が見受けられる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。