神戸:空室微増だが大型や好立地は不足。
神戸のオフィスマーケット
神戸における2019年6月期の空室率は、対前期(2019年3月期)比0.1ポイント上昇し1.8%となった。100~200坪の数棟の解約予告が予告期間中に消化されずに現空室となった影響で、2年半ぶりに空室率はわずかに上昇に転じた(CBREでは空室率を現空室ベースで集計)が、まだまだ大型空室や好立地空室の絶対数は少なく、移転候補物件決定の際、テナント側には諸条件(立地・スペック・時期・経済条件)で若干の妥協を強いられる状況が続いているといえる。
想定成約賃料は2017年3月期の10,780円/坪から緩やかながらも上昇を続けており、今期は対前期比で1.4%(160円/坪)上昇の11,740円/坪となった。この約2年間で960円/坪上昇したことになる。
新設・拡張・立地改善・分室設置等、前向きな動きが主である一方で、金融機関の統廃合やメーカー系企業の縮小・大阪への集約といったマイナス要因の動きも目立つように感じる。新規供給がないため、タイトなマーケットが保たれているものの、手放しにオフィス需要の強さを実感することはできない。
京都:需給逼迫から賃料相場の上昇が顕著に。
京都のオフィスマーケット
京都における2019年6月期の空室率は、対前期比0.1ポイント低下して0.4%となった。依然として新規供給がない中、面積の拡張や新規開設意向のあるテナントは多く、需給の逼迫した状況が続いている。主要オフィスエリア内で100坪を超える空室は数える程度で、まとまった面積での移転を検討するテナントにとって候補物件はほぼない。やむを得ず残留し、近隣で分室を開設するというケースも珍しくない。
想定成約賃料は対前期比2.4%(340円/坪)上昇し14,640円/坪となった。賃料相場の上昇は著しく、今期も過去最高を更新している。スペースの確保を課題とするテナントは多いものの、想定する予算との兼ね合いで、計画の延期・中止を余儀なくされるという事例も見受けられる。
一方で、新規募集賃料と継続賃料との乖離が大きくなっている状況に対して、頭を悩ませているオーナーも多い。結果的に、新規募集賃料の値上げに二の足を踏み、リーマンショック後の景気の谷の時代に入居したテナントへの増額交渉に注力するというオーナーも散見される。
関西支社 皆藤 誠一郎 / 布施 直
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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三宮~神戸 大規模ビル |
15,000円~18,000円/坪 | 一部ビルに空室予定は出るも、一定の引き合いがあり、空室率は低水準で安定。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
9,000円~15,000円/坪 | 大規模ビル同様に、空室率は低水準。 | |
姫路 | 8,000円~13,000円/坪 | 需給ともに動きは少ない。 | |
明石・加古川 | 8,000円~9,000円/坪 | 需給ともに動きは少ない。 | |
阪神間 | 9,000円~12,000円/坪 | 若干、開発計画はあるものの、現時点での空室確保は困難。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
18,500円~23,500円/坪 | 満室稼働の物件が大半で、空室予定もほとんどない。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
11,000円~16,000円/坪 | 引き続き空室が少なく、空室予定も少ない。 | |
京都駅前 | 16,500円~21,000円/坪 | 空室はほとんどない状況。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,300円~4,000円/坪 | 神戸内陸部に2棟の大型マルチテナント型物件が竣工したが、いずれも堅調に空室消化。空室率は低下傾向にある。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,800円~4,300円/坪 | 500坪クラス以上の物件は相場4,000円/坪以上と認知されつつある。大型需要は堅調で、拠点再編を検討する企業は多い。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。