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ワークプレイス変革が働き方を変える

お役立ち

2020年4月9日

働き方改革は意識改革から。
「アジリティ」を実現するABWは、 ステップを進める有効なメソッド。

CBREが提供するワークプレイスストラテジー(WPS)

当社WPSは、「パフォーマンス高いワークプレイス」とは従業員が働きやすく、効率が良く、そして企業風土を体現する環境だと考えています。家具の選定やレイアウトなど単に空間づくりだけに視点を置かず、働き方や制度、テクノロジー、ブランディング、社風など多数の側面から、総合的に企業の活性化を促すワークプレイスづくりを専門としています。

CBRE 金子千夏

CBRE アドバイザリー&トランザクションサービス
ワークプレイスストラテジー ノースアジア
シニアディレクター
金子 千夏

旧態依然とした企業体質が、 働き方改革の妨げに

- ワークプレイス構築の専門家として、昨今の働き方改革の現状をどう見ていますか?

私はCBREアジアのWPSシニアディレクターとして、「パフォーマンス高いワークプレイスづくり」を追求し てきました。「ワークプレイス」とは、オフィスなど場所のことだけではなく、働き方そのものも含んでいます。ですから、2017年に安倍内閣の肝煎りで「働き方改革」がスタートして以来、お客様とその話をする機会も 多いのですが、いまだ試行錯誤している企業が多いように見受けられます。

- 改革は大きな変化ですから、そう簡単ではありませんよね。

はい。先日の新聞記事では、約8割の企業が失敗しているということでした。なかでも多いのは、数値化しやすい取り組みだけに結果を求めてしまうケースでしょう。分かりやすいのが残業時間短縮。残業時間の記録を減らす方法論や目標達成ばかりに気を取られ、生産性向上のための業務効率化の議論がなされていないようです。具体的な方針がないまま、ただ「残業を減らせ」「休日出勤は禁止」などと唐突に言われ、社員が混乱。当然のことながら業績のプレッシャーは以前と同じようにあるわけですから、働き方改革のしわ寄せが次第に積もっていくでしょう。例えば、経営層からの「これから労働時間の15%をイノベーション創出に割くように」とのお達しに、業務時間のどこを削減して新しい15%の時間を生み出すのかという点がノータッチなのはよくあること。今までも一生懸命に働いていたのですから時間を上乗せするしかなく、これではイノベーションどころか、残業がさらに増えそうでした。こんなことを続けていては、働き方改革がたちまち失敗に終わってしまうと心底懸念しています。

- 目標が高いだけに現場の苦労がありそうですが、どんなところに対策法があると考えていますか?

政府が掲げる「働き方改革」の目標は「多種多様な働き方を支援する仕組み」「生産性向上」と「イノベーション」だと理解していますが、確かに具現化のハードルは高いです。まず必要なのは意識改革、具体的なイメージとしては「20世紀型価値観からの脱却」だと思います。20世紀型の働き方の特徴は、終身雇用に守られた愛社精神でした。安定感のある大企業で働くことがベストと考える同質の人材が集まり、長時間労働=(イコール)頑張っている証拠とされ、仕事を通して得る名誉・地位がモチベーションでした。また家族と過ごすより多くの時間を過ごす仕事場が、人を社会人に育てる役割も担ってきました。このような価値観のもと、日本は世界に誇る経済国に成長したのでしょう。

しかし、昨今では終身雇用への憧れは減る一方で、逆にやりがいやチャンスを求め転職をする人(特に有能な方々)が増加しています。つい最近、経団連も終身雇用のような日本の雇用システムは時代遅れで見直しが必要であると発表しました。さらに仕事は豊かな人生を送るための一部とし、ワークライフバランスを重視する価値観も広がっています。仕事以外に生き甲斐を感じる何かを続けるために、仕事でお金を稼ぐという考え方を持つ方も増え、またそのような生き方が可能になってきました。つまり、日本が豊かな国に成長したため、個人の価値観が以前とは大きく異なってきたのです。特に、この価値観を持つミレニアル世代が占める労働人口の割合は年々増え続けており、次世代の価値観を象徴していることは間違いないと思います。

- 個人の価値観の変化は確かに感じますね。他には?

そうですね。先の「豊かな国に成長した」とは逆に、ある面、日本が世界の経済国に遅れを取っている現実を真摯に受け止め、対策を打たなければなりません。例えばGDP、ダイバーシティ、男女平等、イノベーション、環境対策、テクノロジーの面で、今の日本が世界のお手本になっている部分がどの位あるでしょうか。日本には、世界に目を向けず20世紀の価値観が風土に根付いている企業がまだまだ多く見られます。また、古典的な考えや習慣にこだわる方が特にマネジメント層に多く、新しい働き方に消極的です。もしかしたら、マネジメントの役割そのものが古典的であるからこそ、切り替えられないのかもしれません。このままでは、有能な人材が待遇や環境の良い海外に出てしまう危険性が高まるばかり。ノースアジア(中国、韓国、日本)でワークプレイスの仕事をしていると、日本人として強い危機感と恥ずかしさを覚える場面が多く、自分のできることに努めていきたいと常々思っています。

マインドシフト・行動の変化・場所の変化が、 意識改革実現の鍵

- では、どのようにすれば働き方改革や働きやすい環境を実現できると考えますか?

働き方改革が上手く進まない大きな原因として、21世紀の働き方を20世紀の価値観と環境のなかで進めようとしているギャップについてお話しました。これをジェネレーションギャップと言ってしまえば簡単かもしれませんが、それでは進歩につながりません。企業ができることはチェンジマネジメント、つまり意識改革です。新しい働き方の制度と仕組みはできたものの、意識が変わっていないことが原因でそれを日々活用できない。以前、ある大手人材会社の方が「転職の際に確認すべきは、その企業の制度ではなく風土だ」と助言していたのですが、私も100%同感です。重要なのは従来の旧態依然とした社風を破壊し、時代に即応したものに変えていくことでしょう。そして、過去を否定するだけではなく、未来に向けて前向きなコアバリュー(基本的価値観)を体現可能にし、新しい風土を構築することです。「風土」は合理的に捉えられるものでもありませんし、抽象的です。しかし、企業のカラーとして根付いている「風土」を人々は敏感に感じますし、それは大きな影響力を持っています。

- なるほど、社員の意識改革から、企業風土の変革へとつなげていくのですね。もう少し具体的に取り組み方を教えてください。

はい。まず意識改革をするためには、マインドシフト、行動の変化、新しい場所の構築という、三つの変化が重要だと考えています。マインドシフトは、先ほど申し上げた新しい価値観を受け入れることです。長時間労働から生産性向上へのシフト、多種多様な人材(ダイバーシティ)によるイノベーション、個人の目標ややりがいを重視した自立した働き方へのリスペクトといった、21世紀の働き方をまず受け入れ、これらの方針こそ企業活性化につながるのだと確信して改革にコミットすることです。

続いて、これを企業の方針として行動レベルに落とし込み、社員が「今度は会社が本気だ」と感心するほど伝わりやすい行動を重ねることです。経営層は将来のビジョン、コアバリューを明確にし、自社のコアバリューと新しい働き方のリンクを打ち出すこと。それを広報が積極的に分かりやすく明文化し、人々の記憶に残るよう発信し続ける。人事はコアバリューに合わせた採用を重ねて、評価制度やトレーニングを確立する。IT部門は未来の働き方に不可欠なテクノロジー導入に向け、新しいソフトウェア導入、ペーパーレス化や業務フローのデジタル化、そしてトレーニングと日々のサポートなどに取り組む、といった目的に即した行動につなげるのです。そして最も大事な現場では、マネジメント層が新しい働き方を日々実践し、それが当たり前になるまでリードし続けることです。

同時に、こうした変化を実現するのに最適な働く場・ワークプレイスを構築する。改革を加速するために、働く場所(オフィス空間)を大幅に変更すると変化が可視化でき、日々体現できるので、見違えるような効果が出ます。この三つが同時進行的に実行されることで風土が変わってくるのです。また、こうした変化は、キャンペーンのように一時的に取り組むものではなく、進行状況を見直しながら、段階的に積み重ねていくことが必要です。

- 新しい風土づくりに大きなインパクトをもたらすワークプレイスとは? 

次代のワークプレイスに必要なファクターは、「フレキシビリティ&テクノロジー」「サステナビリティ&ウェルネス」「チェンジマネジメント&ニュースキル」に フォーカスされていくと考えます。フレキシビリティ(柔軟性)とは、組織変更や従業員の増員などに伴うファシリティ面の対応はもちろん、働き方そのものの柔軟性を意味します。多様な働き方を支援することにより様々な雇用形態を可能にする。その結果、今まで以上に企業が求める人材が働きやすい環境を整えることができます。テクノロジーの活用は、デジタル化によるペーパーレス化に加え、リモートワークや業務効率化を加速させるでしょう。例えばコミュニケーションテクノロジーの選択肢が多ければ、業務を効果的かつ効率よく進められます。私は、チームがアジア5ヶ所に所在しているため、どこにいても誰かと離れているわけですが、テクノロジーのおかげで臨場感あるディスカッションがどこでもできるようになりました。また、事務作業、アイデア出しのディスカッション、頻繁なキャッチアップなど、用途に合わせてテクノロジーツールを使い分けています。フレキシビリティとテクノロジーは生産性を高める不可欠な基盤。時代に遅れを取らないよう常にトレーニングをして、新しいツールに馴染んでいく必要があります。ツールの選択肢が増えるほど、それぞれの人や状況に合った効率的な働き方が可能になり、今後は、さらにAIやロボットと一緒に働くといった場面でも、その有効性が発揮されるのではないでしょうか。

- 確かにフレキシビリティやテクノロジーは生産性向上に不可欠ですね。一方で「サステナビリティ&ウェルネス」はどのようなインパクトをもたらしますか? 

サステナビリティ(持続性)はエコロジー、経済、政治、文化の分野などを含む幅広いテーマですが、ワークプレイスとの関連性は環境への影響と、生産性や多様性を継続できるエコシステムだと思います。ウェルネスは万国共通の基本的な人権でしょう。100年人生にシフトしている今、今後労働人口の年齢幅は20代から70代まで大きく広がります。生き生きと長期スパンで働き充実した人生を送るためには、心身ともに健康でありたいもの。長時間労働はもちろん、劣悪なオフィス環境やデスクや椅子の取り合わせで体が痛くなるといった不健康な状況をなくすこと。さらに不健康な状 態はメンタルに悪い影響を及ぼしかねません。今までの健康経営は、病にかかった後の対策法を制度化していましたが、そもそも病にかからない働き方をしっかり構築するべきなのです。ですから病気にならない、極端に言うと健康になるようなワークプレイスが理想的。「残業時間を減らそう」ではなく、「十分な睡眠を取って健康でいるため、仕事を早く終わらせよう」という意識やスタンスが、重要なのではないでしょうか。

- 「チェンジマネジメント&ニュースキル」とは? 

チェンジマネジメント(意識改革)は、先ほどご説明した21世紀の価値観を受け入れマインドをシフトしていく様々な取り組みを指しています。ニュースキルは、価値観と働き方が大きく変化した環境のなか、私たちには新しいスキルが求められる。その新しいスキルを学ぶ時間と場所が必要だということです。まず、柔軟な働き方を取り入れた場合、コミュニケーション方法が変わります。チームマネージャーは今までと違った形でメンバー管理をし、評価する必要があります。さらに社外の人とオープンイノベーションをする場合、スピーディにお互いの強みや特長を知り、それを上手くチーム力に するには、高いリーダーシップスキルが必要でしょう。そんななか、ダイバーシティ促進でなかなか共通点がないメンバーをまとめるスキルなど、現代のマネージャー研修で教えられているでしょうか。そして、やがてはロボットやテクノロジーが大半の事務作業をこなしていく環境下で、人間に求められるスキルは起業家精神やコミュニケーションスキル、創造性だと言われていますが、そのようなスキルを発揮できる人材は現在少ないのが現状だと思います。今まで、私たちは与えられた仕事を丁寧に規則通りこなす努力をしてきたのに、今後は創造性を発揮してくださいと突然要求するのはハードルが高い。時代についていけない人材を増やさず、逆に新しいスキルを学んでもらう機会と時間を企業に作っていただきたいと思っています。

手前味噌ですが、弊社ではこうした数々の変革を実現するために、2014年に現在の東京本社オフィス、2018年に関西支社オフィスを構築しました。その際に理想的なワークプレイスの実現を目指して導入し、実際に大きな効果を発揮したと自負しているのがABW(アクティビティベース・ワークプレイス)です。

チェンジマネジメント

チェンジマネジメント

ワーカーの働きやすさを追求した、 ABWのオフィスづくり

- ABWとは具体的にどのようなものですか?

ABWとは、アクティビティベース・ワークプレイスの訳であり、活動をベースとした空間づくりのことです。私たちはオフィスの中で、デスクに向かってパソコンを打つだけでなく、会議や少人数の打ち合わせ、ちょっとした立ち話、機密性の高い電話など、様々なアクティビティ(行動)をしています。ときには静かなスペースで集中して作業をしたいこともあるでしょう。ABWの最大の特長は、こうした様々なアクティビティ(行動)を効果的にサポートする空間が用意されていることと、それらを社員が共有して使うことで変化に対応可能なフレキシビリティが強化されることです。弊社が一般企業に 実施したアンケートでは、過半数の回答者が「ABWを知っている」と回答しており、社会的な認知度が高まっていることがうかがえます。

- その一方で、社員が勝手気ままに働いている、お洒落なカフェや瞑想室があればいい、といった誤ったイメージが広がっているのも事実ではないでしょうか。

ABWの本当の価値は、まず働く人たちを小さな事務机から解放し、もっと幅広く働き方を見直すきっかけになるということ。そして、企業が自分たちらしい働き方を熟慮し、必要な活動を最適にそして快適に実行できる場所を構築するメソッドだということです。ですから、必ずしもグレードの高いビルに移転する必要もなく、流行りの空間を集め寄せた贅沢なオフィスでもありません。大事なことは、自分たちの働き方をしっかり分析したうえで、必要なスペースやツールを揃えることにより最大のパフォーマンスが発揮できる環境を戦略的に整えることです。

さらに、ABWはワークプレイス戦略にとって大切な「アジリティ」を実現可能にします。アジリティとは、ビジネスの課題に素早く的確に対応するためにフレキシブルに行動する力です。市況の変化やテクノロジーの進化、人材のニーズや働き方の変化に伴って、ビジネスの課題に向き合い、いち早くそれらを解決することができるのです。こうした変化に慣れていれば、テクノロジーとの融合により、さらに自由度の高いリモートワークや在宅勤務、さらにはシェアオフィスの活用への移行もしやすくなるでしょう。そしてABWは、従来のオフィスづくりよりも全体面積効率化が可能で、変化に対応するフレキシビリティを持ちながら社員の生産性と満足度を向上していきますから、こんなに理にかなったオフィスづくりは他にないとつくづく思います。私たちは様々なお客様とABWプロジェクト経験を重ねるほど、ABWの可能性の深さに気づかされています。

誰が将来のワークプレイスを創るのか

誰が将来のワークプレイスを創るのか

失敗を恐れず繰り返すことが、 企業風土や価値観の変化に通じる

- ABWが空間づくりを通して改革を促進するということですね。では、そのために心がけなければいけないことは?

確かにABWの環境は一気に大きな変化をもたらします。環境が変われば行動も変わります。しかし、意識改革には時間がかかりますし、ステップを踏むことが大切です。もう一度、マインドシフト、行動の変化、場所の変化の軸で整理すると、STEP1では21世紀の価値観を受け入れ20世紀から脱却を目指すこと。行動は変革へのコミット、そして議論を重ねること。場所はABWの導入が最も効果的です。ABW導入が無理であればデジタル化により収納を減らして、空いたスペースをコラボレーションスペースに変更したり、小規模なパイロットプロジェクトを進めることでもいいでしょう。これにより、自立した働き方、成果ベースの評価への移行、個々の働き方の尊重など、マインドシフトが始まります。

STEP2では、新しい働き方へのアジャストや見直しとしてSTEP1での行動の確認や判断。行動は業務上行う行動(アクティビティ)を見直し、さらなる効率化を図ります。またABWから在宅勤務などモバイルワークを広めていくといった手も考えられます。場所の面ではシェアオフィスや在宅勤務など、どこでも働ける場所の活用を広めることです。場所にとらわれず働くことに慣れたメンバーが増えると、個々の働き方へのリスペクトが育ちます。また街や国を超えたチーム体制が組めるようになります。ここではダイバーシティの向上やコラボレーションの活性化などが成果となってくるでしょう。お気づきかもしれませんが、STEP1の成果は「個々の自立」が大きな変化であることに対して、STEP2は「強い個をつなげたチーム」を生み出すのです。

さらにSTEP3~5では、テクノロジー・ウェルネス・イノベーションが行動として入ってきます。企業によって順番は異なるかもしれませんし、一気に全てにチャレンジする可能性もありますが、いずれにせよ、こうしたステップが短時間のうちに実現されることで、最終的には、次代の価値観に合った柔軟な働き方へと至るのです。柔軟な働き方は個人の自己実現を可能にするだけではなく、多様なチーム体制を可能にし、企業に力を与えます。

よく「将来はオフィスはいらない、会社もなくなる」など、極端なコメントを耳にしますが、私はそんなことはないと思います。なぜなら、個人でできることには限界があるからです。企業のビジョンやコアバリューに共感した大勢が集まって、多様な形で一緒に働くことにより、世の中に大きな影響を与えられる。今、世界が直面している環境問題を見ても、企業単位で大きなインパクトを生み出す必要性を感じますし、中国深センの前代未聞の開発スピードを見ると、集団が実現できる規模の大きさに圧倒される部分があります。

- 見直しや修正をしながら変化のステップを重ねると、とてつもなく遠いと感じた目標もだんだん身近で実現可能になってくるわけですね。

そうなんです。こうした流れで企業のカルチャーや価値観が変わっていくのですが、ここで大切なポイントが二つあります。一つは新たなステップに入るとき、必ずダウントレンドがあり、そのアジャストが必要であることを承知しておいていただきたい。それでも続けていれば変化対応に慣れ、コミットするまでの時間はそれだけ短くなっていくので諦めない。まさに「アジャイル」になっていくわけです。二つ目は、変革のステップが毎回完璧にできるとは限らないと知ることです。失敗を恐れて準備ばかりしていても何も変わりません。80点でも良しとして実行と調整を繰り返しながら進めることが、成功に近づくことを胸に刻むべきでしょう。そして、そのための強いビジョンがメンバー全体に浸透していることが、重要なファクターなのです。

働き方とワークプレイス 変革のステップ

働き方とワークプレイス 変革のステップ

どこでもワークプレイスの実現に不可欠な、
オフィスの「ソフトウェア化」「科学化」 「サービス化」

- 改革に向けて取り組むべき姿勢や方法が見えてきました。最後に、今後のワークプレイス自体のトレンドを聞かせてください。

近い将来のワークプレイスは三つのテーマで変わっていくと考えています。まず一つ目は「ソフトウェア化」です。先に触れたとおり、変化に即応できるアジリティの高い働き方として、ABWやリモートワーク、在宅勤務など、どこでも働ける環境づくりが広まっていくわけですが、こうした環境のなかで働くワーカーをシステムとしてどうサポートするかが大きな課題となるでしょう。

二つ目のテーマは「科学化」です。ソフトウェア化が進むと、そのなかで従来ではわからなかった様々な、そして大量のデータが収集されます。これらのいわゆるビッグ・データを上手く活用し、ワークプレイスの改善につなげることで、より効果的な働く環境を構築し、利用者の生産性を向上させるPDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)のサイクルが生まれてくるでしょう。

そして最後が、「サービス化」です。少し極端かもしれませんが、企業が社員をお客様と考え、「この会社をプラットフォームとして、あなたのノウハウやスキルを存分に発揮してください」というスタンスで迎え入れ、社員のベストパフォーマンスにつなげることです。最先端のワークプレイスでは、ホテルのコンシェルジェを思い浮かべるようなサービスで無駄を省き、社員のパフォーマンスを上げる努力が始まっています。

今、ワークプレイスは急速に変化しています。ワークプレイスが人々のために働くソフトウェアになり、知的生産性を高めるサービスプロバイダーになることで、企業の活性化に大きな貢献をします。そして全ての根本に、「人材を大切に、生き生きと働こう」というビジョンがあると私は信じています。時代とともに変化するニーズ・価値観・ツールやテクノロジーと一緒にワークプレイスの進化を進めることにより、必ず、皆様が生き生きと働き、創造性を発揮し、イノベーションを生み出すワークプレイスができあがると考えます。

- ありがとうございました。

オフィス移転事例

本社ビルである「NECスーパータワー」の大々的なオフィスリニューアルから、働き方の変革に挑む日本電気と、飲食業界のイメージ払拭と世界進出を意図して東京への本社移転を実施したトリドールにご登場いただき、オフィス変革から働き方変革へと挑む取り組みを聞いた。

日本電気株式会社

「オフィスリニューアルの完成がゴールではない」。 働き方改革をオフィスづくりから波及させるNECの本社大改革。

株式会社トリドールホールディングス

グローバルフードカンパニーへの成長の拠点を作るため、 旧神戸本社と東京4拠点を統合した新本社移転プロジェクト。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2020年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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