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賃貸オフィス・事務所の記事

株式会社トリドールホールディングス

グローバルフードカンパニーへの成長の拠点を作るため、
旧神戸本社と東京4拠点を統合した新本社移転プロジェクト。

株式会社トリドールホールディングス 執行役員CHRO 兼 経営戦略本部 本部長 鳶本 真章氏

株式会社トリドールホールディングス
執行役員CHRO 兼 経営戦略本部 本部長
鳶本 真章氏

飲食のマイナスイメージを払拭するため“飲食らしくない”オフィスをつくる

日本電気株式会社

弊社は、丸亀製麺をはじめとする飲食ブランドを、国内および海外で展開している会社です。今から35年前の1985年、現在代表の粟田貴也(代表取締役社長兼CEO)が店主として、焼鳥居酒屋「トリドール三番館」を兵庫県加古川市にオープンしたのが始まりで、2000年には、丸亀製麺の1号店を加古川に出店。1990年の会社設立から今期でちょうど30期を迎え、我々はこれからの30年に向けて、どうシフトチェンジしていくかというターニングポイントにあります。昨年9月、渋谷ソラスタに新しいオフィスを開設すると同時に、本社機能を神戸から東京に移しました。

これはあまり言わない方が良いのかもしれませんが、本社を移転した頃、「うどん屋風情が何をやっているんだ」とよく言われました。飲食業の本部はコスト管理が仕事ですから、オフィスにも極力コストをかけないのが業界の常識だったわけです。でも、我々はそうしたくありませんでした。

なぜ渋谷で話題の高層ビルに広々としたオフィスをつくったのかと言えば、一つには採用の問題があります。外食産業は、人がうれしいときや記念日などに訪れるお店を運営しているにもかかわらず、働く場所としては選ばれにくい業種です。どの競合他社も人手不足に苦しんでいますし、我々は、おこがましいかもしれませんが、“飲食らしくないオフィス”をつくって、飲食業界のイメージを変えたいのです。まず、働く場所を魅力的にすることで、採用面で選ばれる会社になりたいと思っています。

もう一つは、会社を成長させるためです。例えば、「うどん屋風情が……」と言われるのは、「トリドール=丸亀製麺」と認識されているからです。でも、我々は「トリドール=丸亀製麺」とは思っていません。目指すのはグローバルフードカンパニーです。「トリドールというグローバルフードカンパニーが丸亀製麺を運営している」、名実ともにそんな企業になっていかなければなりません。現在、売上が約1500億円ですが、これは直近4年間で2倍の成長です。お蔭様で右肩上がりですが、我々が掲げる目標はさらに高く、2026年3月期に5000億円、6000店舗を目指しています。しかも、売上の半分以上は海外で稼ぐつもりです。つまり、とてつもなく高い目標に向かって事業を動かしているのです。

我々はこの成長を、人のモチベーションを源泉として、人の力で実現したいと考えています。意識が高く、生産性の高い人材を育てる「人材開発企業」になるために、社員に働く場としてどのような環境を提供するのかは非常に重要です。我々が掲げる目標を達成するために何が必要かを考えた結果、オフィス移転の決断をしたというわけです。

会社の急成長により拠点が分散し社内コミュニケーションが課題の旧オフィス

経営戦略上の理由は以上のとおりですが、実は、従来のオフィスには日常業務を遂行する上での問題もありました。

2015年に東京に本部を置きましたが、会社の成長が想定以上に早かったため、大崎の東京オフィスでは収まりきれず、ANEXなど4ヶ所に分散していました。それでもスペースが足りず、フリーアドレス制を採用しても社員全員分の席を確保できませんでした。社員は毎朝、「今日は自分の席があるだろうか」と不安になりながら出社していたわけです。

また、拠点が分散していたことで、社内のコミュニケーションにも支障が出ていました。もちろん、別の建物にいても電話で済ませられるやり取りもありますが、顔を合わせて雑談することでアイデアが生まれるという機会は格段に減ります。また、フリーアドレスであったものの実質固定席になるスタッフも多く、毎日限られた人としか会話しない状況だったのです。部門内の縦割りでオペレーションを回していく業態ならそれでいいのかももれませんが、我々は「Finding New Value」をミッションに掲げ、新しい価値を生み出していこうとしている会社です。普段は関わりの少ない部門とも積極的にコミュニケーションを取っていく必要がありましたが、拠点の分散によってそれが実現できていなかったのです。

そうした現実的な問題もあり、2018年2月頃から、東京オフィスへの統合移転を検討し始めました。それに伴い、本社機能を神戸から東京に移すという意思決定もなされました。日本一の会社を目指すのであれば本社は神戸でよかったかもしれません。しかし、我々が目指すのは、グローバルフードカンパニーになることです。世界に出るなら、人や情報が集まる東京に本社を構えるべきだと考えたのです。現在、神戸は神戸オフィスとなり、グループ会社であるトリドールビジネスソリューションズが拠点にしています。

渋谷ソラスタの新オフィスは、19階と20階の2フロアです。ここに神戸の本社機能と東京・大崎の4拠点を統合し、グループ全社員3,871人の1割弱にあたる約350人が働いています。渋谷を選んだ一番の理由は、「違いを力に変える」という街のコンセプトと、我々のミッションである「Finding New Value」、すなわち、当たり前を疑って付加価値を生み出していこうという考え方が合致したからです。また、渋谷はかつてビットバレーと呼ばれ、多くのIT企業を世界に輩出してきました。ITのイメージの強い渋谷にあえて飲食業界から飛び込んで、我々も渋谷の街の一員として世界を目指す企業になりたいという思いもあります。渋谷ソラスタを選んだのも、「多彩なワーカーが集まり、感性を刺激する舞台にする」というビルのコンセプトに共感したのが理由です。

移転を自分事にするため社員の参画を促すコミュニケーションを工夫

オフィス移転を機に働き方も変えていくための移転プロジェクトが、2018年4月からスタートしました。経営企画室と総務部のメンバーで「改革PJ統括チーム」を組織したほか、社内の各部署から有志を集めてタスクフォースを作りました。また、CBREにプロジェクトマネジメントを委託し、プロジェクトを運用していきました。

特に意識したのは、新しいオフィスがただの箱にならないよう、社員に「これは自分たちのオフィスだ」と実感してもらうことです。オフィスはコーポレートブランドを体現する場であり、経営戦略的に見ても重要な要素です。そこを外部の人に任せてしまうと借り物になってしまいます。自分たちが働く場所は、自分たちで考え、決めていく。もちろん、外部からご提案をいただきながらではありますが、この移転を社員が自分事にできるよう、社員の参画を促すコミュニケーションに注力しました。

その一環として、移転の1年前からは、本社移転を告知する社内向けリリースや動画を配信しました。また、社内説明会を開き、社員の疑問や不安に丁寧に答える場を設けました。その際に、各部門から集まったタスクフォースのメンバーが説明することで、社員はより自分事にしやすかったのではないかと思います。

自分で働く場所を選べるABWの導入で社員の自律を育むオフィスづくり

新オフィスのコンセプトの一つが、「社員の自律を育む環境」です。例えば、毎日決まった時間に出社して、決まった席で仕事をする環境では、自分の仕事を決めているようで決めていません。そうではなく、毎日今日は何をすべきなのかを考えて、仕事の内容によって、みんなと話ができる席に座ろうとか、集中できる窓際の席に座ろうとか、自分で働き方を考えて決めるところから自律の精神は育まれると思っています。従って、新オフィスでは、仕事に応じて自分で働く場所を選ぶことができる「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の考え方を取り入れました。引き続きフリーアドレスを導入するとともに、集中できる席やリラックスできるソファ席など、用途に応じて使い分けられる席を用意しています。椅子と机の組み合わせも全て変えています。

オフィス家具を極力使用せず、いろんな種類のカフェ家具を置いているのは、リラックスしている状態でこそアイデアは生まれると考えるからです。我々は飲食のサービス業ですから、人々の暮らしに身近な存在です。普段の仕事ではスーツも着ません。できるだけ日常に近い状態で考えられる環境を意識しました。また、くつろげる場を提供することで、社員にこのオフィスを好きになってもらい、「オフィスに来たい」と思ってもらいたいです。

旧オフィスで問題だったコミュニケーションのしやすさにも注意して設計しています。ただし、マイナスがゼロになるだけでは意味がなく、今までなかった新しいコミュニケーションが生まれる場でなければなりません。そのために、会議室の数はあえて減らしました。その代わり、執務スペースでちょっとした打ち合わせができる場を数多く設けています。何事もスピードが重要なので、わざわざ会議室に行かなくても思いついたその場で話ができ、そして決定できる環境を作りたかったからです。

そして、もう一つ我々が重要視したのが、新たな価値を生み出すための「感性を育む環境」です。感性とは、美術館に行くなど何か特別なことをしないと磨けないものではありません。日々仕事をするオフィスという環境において、日常的に磨かれるべきものだと思います。そのために、新しいオフィスではアートに触れたり、社員食堂では、季節の食材や普段はなかなか目にしない珍しい野菜など健康に配慮した約300種類以上のメニューラインナップを用意し、社員の感性を刺激する仕掛けとしています。

現場の理解と信頼を得るためにプロジェクトにコミットする

日本電気株式会社

新オフィスづくりで大変だったのは、スケジュール管理とコスト管理です。ただし、コストに関しては、我々はオフィスをあまりコストとは考えていません。むしろ、我々が成長していくための投資と捉えています。投資に対して自分たちは何を得たいのか、それによってどこに投資するのが適しているのかを考える。コストの配分というより、投資の配分に頭を使いました。

我々のように「現場は店舗」といった業種は、本社オフィスを魅力的に変えると、「本社で働けない人はどうなるのか」という議論が必ず出てきます。毎日サービスを提供して利益を稼いでいるのは現場の方々です。それに対しては、本社での働き方が変わり、意識や生産性の高い人が集まり、結果として利益を生み出せる会社になれば、現場の皆さんにより高い給料でお返しができると考えています。本社の費用をコストではなく、将来に向けた投資と捉えれば、会社が成長することで現場に報いることができるはずです。

現場の皆さんに納得していただくためにも、代表の粟田をはじめ、我々はコミットしてやり切ることが大切だと思っています。将来の成長のためにオフィス移転を決めたなら、決めたスケジュールに合わせて物事を推進していく。そうすることで、プロジェクト全体の信頼を得ると同時に、新しいオフィスと働き方に賛同してくれる仲間を増やしていく。まだまだ十分ではありませんが、そこのところを継続的にコミュニケーションしていくつもりです。

冒頭でもお話したとおり、我々は働く場所としてネガティブな印象のある飲食業界を魅力的なものに変えていきたいのです。それは、我々がきっちり成長していくことで体現できると思っています。我々が成長していく場として、渋谷の街にオフィスを構えたからには、このオフィスに恥じない会社にしていくことに、我々はコミットしていきます。

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上記内容は BZ空間誌 2020年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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