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株式会社バカン | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年4月21日

「いま空いているか1秒で分かる、優しい世界をつくる」をミッションに掲げ、リアルタイム混雑情報配信・抑制サービスを提供するVACAN。創業者の子育て中の苦労体験をもとに、街中のトイレやカフェなど様々な場所に導入されている。「空き情報を可視化する」という新たな価値創造に挑戦する同社代表取締役の河野剛進氏に、オフィスの変遷とアフターコロナを見据えたサービス展開を訊いた。
株式会社バカン 代表取締役 河野 剛進 氏

空き状況をリアルタイムで可視化する
新たな価値創造に挑戦。
目指すのは、心に余裕のある優しい世界。

株式会社バカン
代表取締役 河野 剛進

 

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自身の子育て中の経験をもとに、リアルタイム混雑情報配信サービスで起業

株式会社バカン

私たちは、レストラン街やカフェ、トイレなどの空き状況をセンサーやカメラで自動検知し、デジタルサイネージやスマートフォンに配信する「VACAN(バカン)」を展開しています。空いているかどうか「行ってみないと分からない」のではなくて、「行く前に分かって、適切な選択ができる」。それよって人々の心に余裕をもたらし、優しい世界に近づけられるようなサービスを目指しています。コロナ禍以降は自治体による導入も進み、例えば、全国約1万3000ヶ所の避難所の空き状況がリアルタイムで分かるようになっています。Vacant(空いている)という意味の英語が社名「VACAN」の由来です。

なぜこのサービスを始めたかといえば、僕自身が欲しかったからです。僕は元々、IT企業で事業戦略や経営管理、新規事業の立ち上げに携わっていました。結婚して子どもが生まれ、子どもを連れて商業施設に行くと、空いている飲食店やトイレを探すのも一苦労で、その間にも子どもは待ちきれずに泣き出してしまって。それで僕も妻も、外出が怖くなってしまったんです。こうした状況を解決したいと思い、2016年6月に起業しました。

「そんなサービス、誰が使うの?」と最初は周りから言われたものです。僕としてはビジネスとして成立すると踏んでいましたが、最後は「自分が欲しいかどうか」が起業の決め手だったと思います。僕以外にもきっと使いたい人はいるはずだし、「時間をムダにしたくない」というニーズを狙い続ける限り、事業としてスケールさせられるという確信がありました。

オフィスと呼べる場所は2年目から。唯一のトイレに自社サービス活用

株式会社バカン

会社の立ち上げ時は僕一人。オフィスは持たず、登記のための住所だけ借り、打ち合わせが必要な時は創業を手伝ってくれたメンバーの家に集まる。そんなスタートでした。

手始めに取り組んだのは、トイレの空き状況が分かるサービスです。友達のオフィスに据え付けてもらい、フィードバックをもらいながら技術的な課題や運用面での問題を一つずつ改善してきました。僕が自分でセンサーを設置するのですが、なにせ未経験なので、すべてが手探り状態です。車がなく、段ボールに脚立とセンサー、パソコンを入れて持ち歩いていました。雨が降ると、お客様のところに着くまでに段ボールが溶けてしまい、恥ずかしい思いもしました。その後、トイレの空き状況を可視化する技術をベースに、徐々に他の領域にも拡大。そこで起こる不具合や課題も、導入先のお客様と一緒になって、「自分たちだったらこう使いたい」といった利用者目線のフィードバックをもらいながら、サービスとして作り上げていきました。

起業から半年くらいでエンジニアやデザイナーが加わり、開発スピードが一気に加速しました。ただ、この頃もまだオフィスと呼べる場所はなく、「成長していくためには、皆が集まれる場所があったほうがいい」と投資家の助言を受け、起業から約1年後、メンバーが6人になった時点で、日本橋のコワーキングスペースにテーブル二つ分の場所を借りました。さらに1年後には、飯田橋の雑居ビルに移転。ここは家賃が安くて助かった反面、会議スペースがなく、社内で誰かが打ち合わせをすると声が筒抜けなのには困りました。加えて、トイレは男女共用トイレが一つだけ。自分たちのサービスを活用してトイレの空き状況を可視化したものの、共用トイレには女性から改善の要望が出ていました。会議室とより快適なトイレ環境を求めて、半年ほどで同じ飯田橋駅周辺の別のビルに移転。現在入居する住友不動産永田町ビルには、2020年2月からオフィスを構えています。

オフィスには楽しみながら働ける工夫を凝らす

株式会社バカン

オフィスは皆が生き生きと働ける場所であればそれでいい。僕はそう思っているので、立地や物件の選定は取締役と社長室長に一任しています。地下鉄の利便性が高いのが、永田町を選んだ理由の一つです。また、若いメンバーが多いスタートアップ業界の中では、僕らは平均年齢34歳なので少しだけシニアな部類に入ります。永田町という割と落ち着いた場所が僕らには合っていると思っています。

このオフィスのこだわりを挙げるなら、コーポレートカラーのVACANバイオレット(紫)で彩られたエントランスや、社内で懇親会が開けるバーカウンターです。オフィスを堅苦しい場所ではなく、楽しみながら働ける場所にしたいので、室内で音楽を流したり、卓球台を置いたりもしています。もう一つ、自社のサービスを自分たちが日常的に使える環境を整えるのも、僕らがオフィスづくりで意識している点です。ビルオーナーの理解を得たうえで共用部も一部含め、トイレの混雑状況を可視化し長期滞在を防止する「Airknock(エアーノック)」という仕組みを導入しています。コロナをきっかけに社内に設置した集中ブースに関しても、リアルタイムで遠隔で空き状況が分かり、空いていればすぐ予約できる「AutoKeep(オートキープ)」という自社サービスを導入しています。

現状、社員50人に対して面積200坪ですが、リモートワークが普及した今、アクセスの便や広さはそれほど重視しなくていいのかもしれません。僕自身、皆が必ずしもずっと顔を合わせている必要はない、と思い始めています。かといって、オフィスが不要かといえばそうではなく、皆が集まれる場所は必要です。今後、リモートワークを考慮した席数に減らしていくと、「会社に行ってみたら席がなかった」という問題が必ず発生するでしょう。また、リモート環境は、新たに会社に加わる人が会社に馴染みにくいという問題があります。ですが、そこはむしろ僕らの技術で解決できる部分だと自負していて、僕らの空き状況や出社状況が分かる技術を駆使しながら、人と人がつながり、自然に相手のことが理解できるような仕組みを今から作り込んでいく予定です。今のような変化の時こそ、僕らが課題解決策を提供できる好機だと捉えています。

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上記内容は BZ空間誌 2022年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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