仲介賃貸オフィス・事務所の記事

株式会社TOUCH TO GO | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年5月19日

2020年3月、無人決済店舗を高輪ゲートウェイ駅に出店し、国内で初めて実用化した株式会社TOUCH TO GO。利用者は商品のバーコードを読み取る必要もなく、セルフレジを超える便利さと快適さが話題だ。まるで店内を通り抜けるような感覚で買物ができるこのシステムが目指すのは、小売業における省人化と省力化。JR東日本出身の代表取締役社長、阿久津智紀氏に、そのビジネス展開と自らの働く場について話を訊いた。
株式会社TOUCH TO GO 代表取締役社長 阿久津 智紀 氏

無人コンビニを国内で初めて実用化。
省人化・省力化を推進し、
小売業界のネックを解消していく。

株式会社TOUCH TO GO
代表取締役社長
阿久津 智紀

株式会社TOUCH TO GO

物件をお探しのお客様専用窓口

CBREの記事をお読み頂き誠にありがとうございます。ご移転のプランニングや優良未公開物件の仲介をご用命の際は下記のフォームからお問い合わせください。

様々な現場で感じた 人手不足と人件費という課題

株式会社TOUCH TO GO

TOUCH TO GOは、手にした商品をスキャンすることなく、ウォークスルーで買物ができる無人決済店舗の開発に取り組んでいる会社です。ベンチャー企業への出資や協業などを行うJR東日本スタートアップ(株)と、2017年度の「JR東日本スタートアッププログラム」で最優秀賞を受賞したサインポスト(株)の合弁会社として、2019年7月に設立しました。

私自身は、もともとJR東日本本体の生活サービス部門に所属し、入社以来、店長として駅のコンビニを運営したり、飲料自販機の新規事業の立ち上げや、青森に住み込んでりんごのシードルづくりに携わったりと、まわりの仲間がやりたがらないプロジェクトばかり経験してきました(笑)。JREポイントの立ち上げや共通化にも奔走しましたね。

そのような現場で感じたのは、どのビジネスでも、人手不足や人件費が事業拡大のネックになっているということ。それで、金融コンサルティングを事業の柱とし、無人決済システムの開発にも取り組んでいたサインポストと出会い、JR東日本が持つアセットを活かしながら協業にトライしてみることに。2017年には大宮駅、2018年には赤羽駅で無人店舗の実証実験を行い、手応えと課題を得られたことから、ビジネスとして本腰を入れようと、両社半々の出資でTOUCH TO GOを立ち上げました。2020年3月には、モデル店舗という位置付けで、高輪ゲートウェイ駅に「TOUCH TO GO」1号店を出店。現在はファミリーマートさんと資本業務提携を結ぶなど、事業の拡大に向けて取り組んでいます。

店舗が丸ごと入るラボで ブラッシュアップに励んだ毎日

株式会社TOUCH TO GO

会社設立時のスタッフは5名。全員がJR東日本スタートアップとサインポストからの出向というかたちでした。JR東日本スタートアップが新宿にオフィスを構えていたので、TOUCH TO GOもまずは登記上そこをオフィスとし、一方で高輪ゲートウェイ駅への出店計画も進んでいたので、店舗と同じ環境をつくることができるラボとして、小伝馬町にもオフィスを借りることに。サインポストのオフィスが神田にあるので、近くにちょうどいいサイズの物件が空いていると、探してきてくれました。

スタッフが集まって仕事をする場となったのは、小伝馬町のオフィスで、50㎡ほどの店舗がそっくりそのままオフィス内に作れるぐらいですから、その倍ぐらいの広さがありました。そこでシステムのブラッシュアップに数ヶ月間取り組み、その仮設店舗を丸ごと移設したのが、高輪ゲートウェイ駅店です。

高輪ゲートウェイ駅店はコロナ禍のなかで工事を進め、オープン後しばらくの間は、トラブルが起きてもすぐに対処できるよう、スタッフは店につきっきりの状態。ほぼバックヤードで生活しているような感じでした(笑)。そうなると、オフィスはやはり店の近くにあったほうがいいよねと、2020年5月、現在の高輪のオフィスに引っ越してきたわけです。

コストを抑えつつ 社員の誇りとなるオフィスに

株式会社TOUCH TO GO

今のオフィスがあるビルは、もともとJR東日本が他の企業に貸し出していた物件で、そこに空きが出て、リノベーションされたタイミングで入居しました。現在6階と7階は、JR東日本スタートアップや出資先の企業が利用し、8階がTOUCH TO GOのオフィスになっています。私はJR東日本スタートアップにも籍があるので、あちらこちらへ移動しなくてもいいよう、両社を同じビルにまとめたかたちになりました。

オフィスの内装にお金をかける余裕はなかったので、私自身がイメージ図を描き、それを知人の設計士さんに頼んで図面化してもらい、内装工事を進めてもらいました。パーテーションも安価なものを工夫して使ったり、本来は床に貼る素材を天井に貼ってみたり。天井の一部はテントシートで覆っていますが、あれももとは私が趣味のキャンプで使っていた私物なんです。あまり華美にならないようにはしましたが、スタッフたちにもスタートアップ企業であることを意識しながら働いてもらえるよう、少しは見映えのするかっこいいオフィスをめざしたつもりです。

コロナ禍で一段と強く意識した 省人化・省力化の重要性

株式会社TOUCH TO GO

会社設立時に5名だったスタッフは、現在30名ほど。ほとんどのメンバーがエンジニアです。高輪にオフィスを移した頃はまだ10名で、スペースにも余裕があったのですが、2年としないうちにオフィスが手狭になりつつあります。このビルでは8階のオフィスのほかにも、地下にラボを設け、様々な実験やテストを行っています。そこではプロダクトに興味のある方に、デモをご覧いただくこともありますし、高輪ゲートウェイ駅店も歩いて行ける距離。実際のオペレーションを説明する時には、そちらへご案内することもあります。

私たちはモノづくりの会社で、ハードウェアを扱う以上、現地で現物に触らなければならない場面が多々あります。世間ではリモートワークが当たり前になった今も、エンジニアたちはラボに集まってテストを繰り返したり、店舗に駆けつけ障害に対処したり。また、導入をご検討されるお客さまも、触れるものがないとイメージが湧きにくいかと思います。そのため今は、オフィスを店やラボの近くに構築するのが、最も合理的なスタイルでしょう。

会社設立時より、人手不足や経営維持に向けたソリューションとして、無人決済店舗の開発に取り組んできました。コロナ禍になってからは、時代が弊社のプロダクトに追いついたと言われることもありますが、私たちから見れば、時代が突如5年ほど先に進んでしまった印象です。つまり、さらに喫緊の課題として、省人化や省力化に取り組む必要があると感じるようになりました。

10年後には、少子高齢化や人口減少がさらに進み、無人決済店舗がないと買物ができない地域や場所が出てくるかもしれません。それまでに全都道府県に無人決済店舗が設置され、国民の3割ぐらいの方には、弊社のプロダクトをご利用いただけるような状況にしていきたいと考えています。

物件をお探しのお客様専用窓口

CBREの記事をお読み頂き誠にありがとうございます。ご移転のプランニングや優良未公開物件の仲介をご用命の際は下記のフォームからお問い合わせください。

上記内容は BZ空間誌 2022年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

仲介賃貸オフィス・事務所の記事を検索

よく読まれている記事

関連記事

株式会社温故知新 | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年5月10日

そのホテルや旅館に泊まることそのものが、旅行の目的というデスティネーション。新しい旅の楽しみ方の提供を目指して、2011年2月、東日本大震災の直前にたった...

株式会社Photosynth | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年4月26日

「鍵って面倒くさい」。モノづくり仲間が放ったひと言が、起業のきっかけになったと語るのは、株式会社Photosynth(フォトシンス)の代表取締役社長、河瀬...

株式会社バカン | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年4月21日

「いま空いているか1秒で分かる、優しい世界をつくる」をミッションに掲げ、リアルタイム混雑情報配信・抑制サービスを提供するVACAN。創業者の子育て中の苦労...