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賃貸オフィス・事務所の記事

Vol.14 株式会社ワイキューブ

必要な"無駄"をオフィスに取り入れる それが人材確保と業績アップの秘訣

成長過程にあるベンチャー企業にとって、人材確保は常に頭を悩まされる問題。しかし、採用やブランディングに振り向ける資金的な余裕もなく、思うようにい かないのが実状だ。そんな中、毎年の新卒採用で3万人のエントリーを誇り、高い業績を上げているベンチャー企業が、経営・人材コンサルティングを展開する 株式会社ワイキューブ。大学生の就職ランキングにおいても、大手人気企業に引けを取らず常に上位をキープしている同社だが、その理由はオフィスにある。今 回の「成長ベンチャーに訊く」では、同社代表取締役安田佳生氏から、創業時からのオフィス変遷とともに、社内のユニークな設備に秘められたさまざまな想い を披瀝していただいた。

株式会社ワイキューブ
代表取締役社長安田 佳生

1965年大阪府生まれ。リクルート社を経て、1990年に株式会社ワイキューブを設立。主に中小ベンチャー企業を対象に業績向上を目的とした経営・人材コンサルティング事業を展開。また、会社経営のかたわら、経営者セミナー講師、書籍の執筆も行うなど、カリスマコンサルタントとして、経営者やビジネスマン、そして学生から絶大な支持を集めている。なお、2007年現在、同社の売上高は46億円、社員数は186名にのぼる。

ヤシの木を並べた起業当初のオフィス

1990年、まずはどのようなオフィスで起業されたのでしょう。

安田一番最初のオフィスは、新大阪の駅前にある10坪ほどのマンションの一室でした。創業メンバーは5名で、机一つに椅子を並べたら一杯の狭い部屋。早くちゃんとしたオフィスに移りたいとばかり考えていましたね。

わずか一年後、同じ新大阪にある40坪ほどのオフィスに移転。事業も出だしから好調だった。

安田移転の理由はそれだけではありません。当初は、入社案内作成や、学生を会社説明会に呼び込む仕事をしていましたが、採用ビジネスという目に見えない事業をしている当社にとって、オフィスは信用を獲得する意味でも重要だったんです。

オフィスづくりはどのように。

安田広いオフィスに移ったものの、賃料負担が大変だったので、最初はテーブル一つと椅子があるだけの殺風景な空間。でも、少しでも雰囲気を変えようと、入り口にヤシの木を並べました。どうせ置くなら本物が良かったので高くついたのですが、どうしても欲しかったんです。

そこまで必要とされたのはなぜですか。

安田単純に、置きたかったからです(笑)。それに、自分が働きたいと思える場所のほうが、仕事もはかどるし、良いアイデアも出てくる。ヤシの木はパソコンやデスクと違って、仕事には不要かもしれませんが、家の中にだって、必要のないものはたくさんありますよね。大きなテレビや革張りのソファは、なくても生活できるけど、あることによって、住む人の生活が豊かになる。オフィスにも同じことが言えると思うんです。

最初の転機となった東京への進出

創業から6年目の1995年、東京へ進出したきっかけは。

安田大阪である程度実績が出て、当時お世話になっていた顧客から、東京の採用も手伝って欲しいと頼まれました。しかも、東京・駒込にあるオフィスの一室を無料で貸してくれることになったんです。やはり、東京は最大のマーケット。近々にも進出しようとしていた私たちにとって、まさに渡りに船でした。

その後、程なくして新宿に移転されたのはなぜですか。

安田東京には全く土地勘がなかったのですが、都内で営業をするうちにわかったのは、新宿という街は高い集客力を持ち、採用ビジネスには大きなアドバンテージがあるということ。特に、高層ビルが建ち並ぶ西新宿副都心はオフィス立地として魅力的でした。ただ、家賃が高すぎたので、まずは新宿御苑前に賃料も手ごろなオフィスを借りたのです。

ゆくゆくは、西新宿の高層ビルへの移転を考えていた。

安田東京へ移転してから業績が好調で、新宿御苑前のオフィスもすぐ手狭になり、移転先を探さなければならなくなりました。 そんな中、西新宿にある新宿アイランドタワーで空室が出るという情報を得たのです。広さは、当時のオフィス60坪に対し、300坪。月額家賃は60万円から一気に1200万円に跳ね上がります。思い切って申し込んだところ、意外とすんなり審査が通った。またとないチャンスだと、移転することにしたのです。

やっていける自信はあったのでしょうか。

安田当時の年商は6億円。このままでは立ち行かないことは明らかでした。そこで、新たに自社の求人媒体を開発し、20億円の年商を見込みました。さらに、全社員30名に対し、20名を新卒採用。今ならいけるはずだと、勝負をかけたのです。

オフィス移転を成長の起爆剤としたわけですね。

安田ところが、この自社媒体が全く売れず、売上高は8億円どまり。入居して1ヵ月も経たないうちに、家賃が払えないことがわかり、わずか半年で撤退、一気に倒産危機に追い込まれたのです。

営業スタイルのシフトと倒産危機からの脱却

撤退後はどちらへ移転されたのですか。

安田同じ新宿区にある、駅から徒歩で15分ほど坂を登った倉庫のようなオフィスでした。やっと探し当てた格安物件でしたが、苦労して坂を登っても、以前より給料は下がり、ボーナスも出ないと、多くの社員が辞めていき、売上がさらに落ちこむという悪循環に陥ったのです。

その後、どのような手を打たれ、この状況を打開されたのでしょう。

安田まず、それまでのアポイント営業をやめ、反響型営業へ切り替えました。DMや広告を積極的に打ち出し、問い合わせが集まる仕組みを講じたのです。その一つがタクシー広告。当社の顧客は主に中小企業の社長ですが、移動にはタクシーをよく使うため、目に留めてもらいやすい。加えて、サービスを細かに説明したものではなく、インパクトを重視した広告にして、まずは当社に関心を持ってもらおうと考えたのです。

効果はいかがでしたか。

安田反響が増えただけでなく、関心を持っていただいたお客様ゆえ、高い受注率を維持できました。そして、採用にとどまらず、経営全般についてのコンサルティングに力を入れ始めたのもこの時期。コンサルティングという一言で説明の難しいビジネスをしていくうえで、宣伝効果によるブランド構築が図られたことは非常に大きな収穫がありました。

「オフィスに必要なもの」という枠を広く考える

2000年、市ヶ谷にある現東京本社へ移転。オフィス造作にあたって意識されたことは。

安田新宿アイランドタワーでの失敗を経て気づいたのは、営業スタイルの問題点だけではありません。当社のサービスは、コンサルティングを通し、顧客に新しい価値を提供すること。社員という"人"が価値の源泉なのです。ならば、まずは社員が働きたいと思えるオフィス環境づくりが必要だと考えたわけです。そして、オフィスの造作では、社員のみんなが「あったらいいな」と思えるものを積極的に取り入れていきました。

オフィスを拝見させていただきましたが、1階にはカフェスペースにワインセラー、地下にはバーカウンターに、ビリヤード台と非常にユニークな造りをされていますね。

本社1階サロン

安田私は特別なことをしたとは考えていなくて、むしろそれがあることでみんなが気持ちよく働けるなら、設ける価値はあると思うんです。オフィスに必要なもの、という枠を広げて考えれば、それほど特別なことではないですよね。

ただ、どうせ造るなら徹底したかったんです。例えば、1階のワインセラーは、広いスペースを確保し、最適な保存状態を維持できる本格的なもの。また、地下1階にあるビリヤード台は細部にまでこだわったフル・オーダーメイド品です。優れたアイデアの創出は、常に上質なものに触れることによっても促されると考えているのです。

バーテンダーやパティシエの社員さんもいらっしゃるそうですが。

地下1階のバーには専任のバーテンダーが常駐する

安田せっかくの設備でも、それを活かせる人間がいなければただの飾りですよね。当社では1階のカフェスペースで「3時のおやつ」と称して、専任のパティシエが他の社員に無料でパイやケーキを振舞っています。地下のバーでも同様、常駐のバーテンダーが、カクテルをはじめとするさまざまな種類のお酒を提供しています。実際「3時のおやつ」は好評ですし、夜になれば、地下のバーは多くの社員で賑わっています。社員同士のコミュニケーション向上にも非常に役立っていますよ。

ただ、ここまでいたれりつくせりだと、不安に思われる社員さんもいたのでは。

主にクライアントとの折衝に利用される、地下1階「VIPルーム」

安田ええ。最初は不安がっていました。コスト的に維持するのも大変ですからね。しかも、このようなオフィスなので、いい加減な服装はできないから、きちんとした服装をしようとする。すると今度は、格好は良いけど中身はどうなんだろうと考えるようになりますよね。自分たちのオフィスを維持し、それに見合うだけの仕事をしていこうというプレッシャーが生まれたようなのです。

事実、本社オフィスを造作された2004年以降、業績が急激に伸びていますね。

安田理由はさまざま考えられますが、オフィスの広告効果もその一つでしょう。本来、必要のないワインセラーやカフェスペースにどうしてそこまでお金をかけたのかと、マスコミに取り上げられることが増えたんです。これによって知名度が上がり、非常に仕事がしやすくなりました。オフィス造作は予想以上のブランディング効果があったのです。

以降、貴社の新卒採用には3万人がエントリー、人材確保という点でも、大きな効果があった。

安田当社ではオフィスへの投資にとどまらず、さまざまな福利厚生を充実させています。当社が他社と最も異なるのはつまるところ利益の使い道。会社の業績拡大や、規模拡大のためではなく、あくまでも社員を豊かにするために使うのです。確かに、人材への投資は、決算書等の数値には表れず、その効果も計りにくい。しかし、会社の地力となる個々の社員が生み出す付加価値は、そうした豊かさの中から生まれてくると考えているのです。 また、私はかつてリクルート社で営業をしていたのですが、そこで感じたのは中小企業での採用の厳しさ。どうしたら小さい会社でも良い人材を採ることができるだろうと考えた結果、得られた答えの一つが、人材への徹底的な投資だったのです。社員のモチベーションや、採用力がどれだけ変わるかを、まずは自分の会社で証明したかった。当社は、一つの実験場だったと言えるかもしれません。

オフィスへの投資は、人生を豊かにするための"消費"

しかし、維持費や原状回復費等のコストは負担にならないのでしょうか。

フル・オーダーメードによりビリヤード台は、細部にまでこだわりぬいた逸品

安田コストと考えればかなりの金額ですが、あくまでも事業によって得た利益を多めに配分しているだけなんです。でも、徹底して作り込んだオフィスが注目され、会社の知名度が上がり、ブランド効果をもたらした。それが採用力の強化につながり、業績アップにも貢献するという好循環を作ることができたのですから、これほど安い投資はないと思います。それに、このような効果がなかったとしても、社員に豊かさをもたらすことができるなら、それだけで十分。要するに、ワインセラーやビリヤード台は、旅行をしたり映画を観たりするのと同じような、人生を豊かにするための消費なんです。 

人材への徹底した投資は、オフィスの姿も変えていくと。

安田それは結局、個人の生き方にも通ずると考えます。寝ずに働いて、質素に暮らして、お金貯めるだけの人生に何の喜びがあるのか。重要なのはそのお金を何に使い、人生で何を得るのかということ。それは会社という組織でも同じことが言えるのではないでしょうか。

オフィスは企業の価値観を示す、一つの表現方法と言えるかもしれませんね。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2007年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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