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Vol.15 ラックホールディングス株式会社

"地の利、人の利"を活かし、絶え間ない成長を促すビジネス空間創出

今般、経営統合を果たした(株)ラックとエー・アンド・アイ システム(株)は、システムインテグレーションという共通の事業領域を持ちつつも、業種・業務分野ともに異なった領域で、それぞれに強みと実績のある2 社。現在、経営統合のシナジー効果を発揮すべく、相互に技術移転が進行中だが、両社はかつてどのような事業展開のもと、オフィス変遷を遂げてきたのだろう か。今回の「成長ベンチャーに訊く」では、両社の親会社ラックホールディングス株式会社代表取締役社長・三柴元氏より、両社のオフィス変遷と拠点展開を俯 瞰しつつ、今後、経営統合を進めていく上でのオフィス構築における見通しと、創業経営者としての経験を踏まえた、オフィス・拠点展開に対する考えを伺っ た。

ラックホールディングス株式会社
代表取締役社長 三柴 元

1986年、(株)ラック(LAC)を設立し、社長に就任。2007年10月、LACとエー・アンド・アイシステム(株)(A&I)との共同株式移転による経営統合に伴い、両社の完全親会社、ラックホールディングス(株)の代表取締役社長に就任した。LACは、官公庁や企業向けに、ネットワークセキュリティサービス、SI事業を展開。一方、A&Iは、官公庁、金融機関の基幹系システムの開発や、人材派遣業をはじめとするウェブシステム構築に実績がある。

地の利、人の利を活かした拠点展開

2007年10月、ラック(LAC)とエー・アンド・アイ システム(A&I)は経営統合されましたが、この背景からお聞かせください。

三柴両社が経営統合により目指したのは、事業規模の拡大と、製品・サービスにおける付加価値の向上です。LACは、ネットワークセキュリティ技術に強みがあり、A&Iは、主に金融基盤系システムの開発で多くの実績があります。両社の技術が結 びつくことで、セキュリティ技術が盛り込まれた付加価値の高いシステムの開発が可能となり、相互技術移転による、高い事業シナジーを生むことができるわけです。

現在、オフィスや拠点の再編はどのように進められていますか。

三柴経営統合によるシナジー効果を高めるうえで重要なのは、グループ全体で技術力の共有レベルをくまなく均一化していくことです。もともとLACとA&Iは、2004年からの業務提携で人材交流を行っていました。しかし、A&Iの子会社である保険システム研究所(神奈川県川崎市:生・損保向けITコンサルティング業務)、ソフトウェアサービス(東京都渋谷区:金融機関向けアプリケーションソフトウェア開発業務)、アクシス(福島県喜多方市:ソフトウェア開発およびデータセンターの運用監視業務)といった3社との間では関係が浅かった。そこで、まずは関東の2社の拠点を日本橋・箱崎町にあるA&I本社へと集約させました。

さらに、LACとA&I両社の共通する業務・機能の集約を図りました。IR機能は、ホールディングスが本社を置く東京港区の汐留シティセンターに設置し、総務・人事・経理等の管理部門は、A&Iの本社ビルへそれぞれ集約しています。グループとしての一体感を高めると同時に、業務効率向上も図れるわけです。

オフィスの集約には、経営統合を進める上で大きな効果があると。

三柴それぞれ異なった背景を持つ会社同士が、一体感を高めるためには、集約の効果は大きいでしょう。ただ、その効果は、会社の事業内容や成長段階に応じて変わってくると考えます。例えば、成長途上にある会社なら、拠点を細かく展開し、オフィスが分散していたほうがメリットが大きいこともあります。事実、以前は両社ともに、積極的に拠点を展開し、オフィスを各所に分散させていた時期がありました。

活発に拠点展開をされていたのはいつ頃のことでしたか。

三柴まず、LACについては、1986年の設立から間もない時期がそうでした。当時、納品したシステムが、大阪の堺と広島の呉にある取引先の工場に導入され、その運用・保守要員として人を採用しなければなりませんでした。しかし、当時の本社は東京・新橋にあり、東京で人材を確保して送り込むには、交通費をはじめ、非常にコストがかかってしまう。そこで、人材募集を兼ねて拠点を新設していきました。

開設地として、大阪は心斎橋、広島ではJR広島駅前を選ばれたのはなぜですか。

三柴私は拠点を開設する際、立地がもたらす "地の利"や、働く人がもたらす"人の利"を重視しています。当時、拠点開設の第一の目的は、人材を確保することでした。大阪・心斎橋は、交通の要衝であり、関西でも有数のビジネス街。JR広島駅は、近隣県から通いやすい在来線が乗り入れており、周辺エリアから広く人材を募れる場所です。実際、採用では期待以上の効果があり、立地は非常に重要だと実感しましたね。

他方、A&Iについては、これまで本社のある箱崎町周辺に集中して拠点を展開されていたようですが。

三柴A&Iは、1987年の設立当初から、主に日本IBMから金融系システムの開発を受託していました。このため、設立当初の本社は東京・北青山でしたが、業容の拡大に伴い、日本IBMの銀行系システム部門がある箱崎事業所にできるだけ近い東京・日本橋箱崎町に本社を移しました。その後も、旺盛なIT需要に対応し人材を確保するため、江東区の東陽町に2拠点、箱崎町にもう1拠点と、近隣エリアに計4拠点を展開していきました。 システム開発では、開発過程での細かな仕様変更やスケジュール調整等、クライアントと開発側で常に情報を同期化しなければならず、また、運用後も保守やトラブル対応に迅速性が求められます。顧客の傍にオフィスを構え、すぐに駆けつけられる"地の利"と"人の利"は、最高のサービスを提供するために必要不可欠なのです。

運用・監視センターに求められる地理的条件と施設機能

統合に伴うオフィス集約を進める一方、現在でもLACのセキュリティ監視センター(JSOC)や、A&Iのデータセンターを分散させているのはなぜですか。

ラックホールディングス(株)が入居する「汐留シティセンター」

三柴まず、2002年に開設したLACのJSOCについては、常に外部からの脅威にさらされている顧客のIT資産を監視する、セキュリティ事業の要となる施設。このため、常時監視体制を維持するための事業継続性と、堅牢なセキュリティ環境が不可欠です。同センターの入居する、神谷町にある神谷町プライムプレイスは、厳重なセキュリティ環境を構築するに十分なスペックを備え、耐震性にも優れた建物です。

なぜ神谷町だったのでしょう。

LACのセキュリティ監視センター(JSOC)

三柴セキュリティ監視センターを運営する上で最も怖いのは地震災害。神谷町は、東京都内で非常に強固な地盤を持っているとされるエリアです。神谷町周辺は、かつてはもっと山がちな地形で、山を切り崩した土は、芝浦の埋め立てに使われたと言われているほどです。

一般の事業所と異なり、開設には特殊な条件が求められると。

A&Iインターネット・データセンター内のマシンルーム

三柴一方、A&Iのデータセンターには、顧客の大切な情報資産を守り、運用を代行するため、数多くのサーバーが設置されています。やはり、事業継続性と堅牢なセキュリティ環境は欠かせません。施設の開設は、福島県喜多方市から基幹業務システムを受注したことが大きなきっかけですが、喜多方市は地震保険の危険料率が全国で最も低い、地盤の非常に強固な地域として知られる土地。喜多方市が、データセンター開設に必要な"地の利"を備えていたことは、一石二鳥でした。

また、同センターは、震度7クラスの耐震性能に、3日間フル稼働可能な自家発電設備、さらに赤外線・人体センサー等の保安設備も設置されるなど、国内でもトップレベルの水準。建物の堅牢性でも他の追随を許さないスペックを備えています。

両センターの運営については。

三柴両センターは24時間365日フル稼働ですから、常に人の目によるきめ細かな監視がなされなければなりません。常駐という"人の利"が活かせる体制を備えている必要がありました。

LACのJSOCでは、セキュリティアナリストの常駐による監視体制が敷かれています。一般的な監視サービスは、顧客のシステムを機械的にチェックし、警告を発するだけのものが多いのですが、アナリストという人の目により、機械では見逃してしまうような小さな危険の芽も見逃さない、徹底した監視が行われています。

A&Iのデータセンターにおいては、施設の保守要員のみならず、SEも常駐させています。通常のデータセンターでは保守オペレータを置くにとどまるのですが、SEを待機させておくことで、システムに致命的な不具合が生じたとしても、迅速かつ適切な対応が可能になるというわけです。

本社入居ビルは企業価値を左右する資産

現在、ホールディングス本社をLACの本社とともに汐留シティセンターに置かれていますが、入居ビルとしてどのようなアドバンテージがありますか。

受付エントランス(汐留シティセンター11階)

三柴汐留エリアは、近年、最も注目を集めた再開発地域の一つです。大手マスコミやIT企業が数多く集積し、各種メディアに取り上げられたこともあって、エリアとしてのブランドが非常に高まりました。その中でも、汐留シティセンターは洗練された外観で、汐留エリアのフロントラインにそびえるシンボリックなビル。グレード、規模、スペックともに申し分ありません。

また、交通利便性にも優れており、新橋駅、汐留駅の2駅が至近で、JR、地下鉄線等を合わせ8路線が利用可能。しかも、ビル最寄口の新橋駅東口のバスターミナルには、バス路線が多数乗り入れるなど、交通インフラが充実しています。

実際、LACが2003年の竣工と同時に入居して以降、採用力は大きく向上しました。技術者という人材が価値の源泉にある我々にとって、本社の入居するビルのブランド力が後押しとなって採用力が向上したことは、企業としての競争力を高めることにつながったといえるでしょう。

本社が入居するオフィスとは、企業価値をも左右する資産だと。

三柴そうです。でも、一番大きな変化が見られたのは、社員の心情面でした。移転により、顧客の反応や、周囲の見る目が変わり、それが大きな自信と士気向上につながったのか、会社の業績もこれまでにないほど、大きく向上しました。本社移転は、会社の成長を最もダイレクトに感じることができるイベントであると同時に、社内に革命を起こす起爆剤にもなるといえるでしょう。

オフィスのスペースに常に考える余地を残す

今後はどのようなオフィス環境づくりを考えているのでしょう。

三柴当社グループでは、プロジェクト単位で人が動くことが多く、会社ごとにオフィスや席が分かれているのは、移動やコミュニケーションの上でも、非効率な面があります。また、大規模なプロジェクトが進行している時期などは、社員の出張や外出で空席が目立つこともあり、スペースの利用効率が低かった。そこで現在検討しているのが、固定席を設けないフリーアドレスの導入です。必要な人が必要な目的に合わせて自由に集まれるような環境を全社的に整えることで、組織に流動性を与え、会社間をまたがったプロジェクトの生成を促すことができます。

オフィススペースの利用効率を上げると同時に、グループとしての一体感も高められるわけですね。

三柴フリーアドレスの導入には、もう一つ別の目的があります。例えば在席率が50%なら、フリーアドレスによる最適なスペースは、現状の半分程度になります。私が考えるのは、それを45%にしてみる、ということ。オフィススペースを常に少しだけ不足させておけば、その5%のスペースをどうやって捻出するか、と否が応でも使い方を工夫しなければならなくなりますよね。フリーアドレスの導入には、スペースの利用効率向上やワークスタイルの変革だけでなく、社員が自分の頭で考える機会を増やせるという狙いもあります。企業の絶え間ないイノベーションへのヒントは、会社を最も身近に感じられるオフィスというフィルターを通して見えてくると考えています。

日常慣れ親しんだものに工夫すべき点を見つけることは、簡単なようでいて難しいといえますね。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2008年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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