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Vol.8 株式会社トレジャー・ファクトリー

いかに、リサイクルの輪を広げていくか、"売り"よりも"買い"が店構えのカギ

かつては"セコハン"と呼ばれ、一般の人が手を出すには、ややためらいが感じられた中古品市場。しかし、省資源の気運の高まりの中で、リサイクルの重要性 は年を追うごとに世の中に浸透しつつある。今でこそ、リサイクル品・リユース品をこだわりなく選択する人が増えているが、10年以上前からその潮流を形に するベンチャー企業がある。関東一円で総合リサイクルショップを展開する、株式会社トレジャー・ファクトリーだ。代表の野坂社長は、大学卒業と同時に同事 業を起業。様々な経験を重ね、一歩一歩着実に成長を続けてきた。その経緯とノウハウ、リサイクル店についての考えをうかがってみる。

株式会社トレジャー・ファクトリー
代表取締役社長 野坂 英吾

大学を卒業した1995年の5月、家庭用電化製品、家具、雑貨、ブランド品、衣類などのリサイクル品を中心に取扱う総合リサイクルショップ「トレジャーファクトリー」1号店を足立区舎人に出店。以降、"トレジャーファクトリーは人々に喜び、発見、感動を提供します"との経営理念のもと、現在は東京、埼玉、神奈川、千葉に22店の直営店、福島県のいわき、郡山に2店のフランチャイズ店を設けるまでに成長する。また2006年には、新たな店舗形態となる衣類専門のリサイクルショップ「トレジャーファクトリースタイル」の展開をスタートさせている。

新築倉庫を借りてリサイクル店をスタート

まず、どんな経緯でトレジャーファクトリーが誕生したのでしょう?

野坂:大学1年から、量販店で商品を購入したお客様に商品を届けるのと引き換えに、不用品を引き取るというアルバイトをしていました。不用品の中にはまだまだ使える物が多く、リサイクルできないかと考えたことがそもそものきっかけです。当時から起業を志しており、大学4年の時には、リサイクルショップを片っ端から回って研究しました。この頃のリサイクル利用者はごく限られた人で、店舗も個人商店が大多数。これからはリサイクルニーズが高くなるのは間違いなく、自分ならもっと多くの人に利用してもらえる店ができるのではと思ったのです。

そして大学卒業後、足立区に1号店をオープン。

野坂:1年間、構想を練りつづけていましたから、出店できるのであれば、特に場所にはこだわりませんでした。事業計画書を持って各方面にプレゼンして回っていたところ、不動産のサブリースを営む幸洋コーポレーション(現コマーシャル・アールイー)の水上会長の目に留まり、「面白そうだから、空いている倉庫を使っていいよ」とおっしゃってくださった。そこでお借りしたのが、足立区にある新築倉庫でした。

野坂社長が考えるリサイクル店のあり方を、1号店にどのように反映させたのでしょう?

野坂:まず、ガレージのようなアメリカのリサイクルショップを日本流にアレンジしたいと考えていたので、倉庫を店舗にした1号店は私のイメージにピッタリでした。また、店づくりで特に気を配ったのが、買い取った商品をそのまま無造作に並べるのではなく、商品の値札をきちんと見せて"きれいに売る"こと。そして、丁寧な接客。小売店としてはごく当たり前のことばかりですが、「価値のわかる人だけが買ってくれればいい」というスタンスで商売を続けてきたリサイクル業界では、それすらも欠けていました。

当初から、店のお名前は"トレジャーファクトリー"と?

野坂:これは大学4年生の時、丸2日かけて考えた名前です。いくつものリサイクルショップを回って感じたことは、多くの品物がその価値を見出されずに埋もれてしまっているということ。そういった品物を生き返らせ、宝物として世の中に送り出していきたいという意味を込めています。

1~3号店を経営しながら多店舗展開のノウハウを蓄積

1号店以降、しばらくは足立区周辺に出店されたようですが。

野坂:3店舗目までは、将来の多店舗展開を視野に入れ、試行錯誤を繰り返し運営していた時期でした。経営の経験がなかった私にとって、実際に店舗の運営をしながら経営を学んでいったのが1号店(本店)。2号店と3号店は、複数店舗を経営することによって生じる問題を、検証・解決していくケーススタディと捉えていました。というのも、1店舗ごとに商品が異なり、また販売と買取の両方を行う複数のリサイクル店を、共通のルールでオペレーションすることは、かなりハードルの高いことなんです。まずは、本店近くに2号店(西新井)と3号店(草加)を出店し、細かく目を配りながら複数店経営のノウハウを蓄積。また、例えば社員教育の徹底といった意味から、朝、全員が本店で朝礼に参加してから各店舗に出勤するということも行っていましたね。 単品管理システム(POSシステム)を導入したのも、ちょうどこの頃のことです。幅広い1品ものを扱うリサイクルビジネスでの導入は難しいというのが業界での定説でした。しかし、多店舗展開にはどうしても不可欠だと判断し、当時としては大金を投じて導入しました。

2号店、3号店の運営には、何か特徴があったのでしょうか?

野坂:ええ。様々なパターンを経験しようとチャレンジしています。2号店は小さいながらも立地の良い店にしたいと、コンビニ跡地に出店。3号店は大きな店で勝負しようと思い、300坪という巨大な場所を借りました。ただ、最初から全館オープンできるほどの品揃えがなく、まずは1階だけで営業しながら買取りにより品物を増やし、その後2階をオープン。賃料はスライド方式で、最初は半額からスタート、半年かけて段階的に上げるという条件をオーナーさんに了承してもらっていました。

その後の店舗展開は?

野坂:10店舗目くらいまでは、ローコストの店づくりを重視し、前テナントがコンビニであれドラッグストアであれ、入居前の店舗仕様や残された什器をうまく"リサイクル"して店づくりに生かしていました。ただ、そのやり方で多店舗展開を推進していくには限界があり、最近は、店舗形態をフォーマット化して効率化を図る方向へとシフトしています。

撤退をきっかけに出店基準を見直し、数値化

効果検証を繰り返しながら、着実に展開されてきたようですが、これまでに店舗を撤退したことは?

野坂:12年間やってきて1店舗だけあります。この撤退も、ある意味トライ&エラーの実践でした。

2004年、新たな戦略として、大田区蒲田に3階建の都心型店舗を出店したんです。大通りに面していたのでPR効果も高く、多くのお客様に認知していただけるのではと思っていたのですが、物件の形状が使いにくい、賃料が高い、近くの踏み切りで渋滞が起こるなどの要因が重なり、予想したほど売上が伸びず、半年で撤退を決断しました。

半年とは、随分早い決断ですね。

野坂:この経験は、出店基準を見直し数値化するいいきっかけになりました。以降、物件の大きさや賃料、前面道路の交通量、商圏人口、道路に対する店舗の立ち位置、看板の見え方などすべてを数値化し、既存店の実績と比較して、この物件ならどれくらいの売上が見込めるかを算出。それをもとに出店の可否を決めるようになりました。

それ以外にも、この撤退した物件の契約時には色々あって、今にして思えばいい経験になりました。というのも、契約交渉段階になり当初聞いていた賃料よりも高い金額を提示されたにもかかわらず、すでにやる気になっていたため、条件を冷静に判断できずに高い賃料で契約してしまったのです。出店基準を数値化して客観視することで、「やりたいけどやらない」という判断もできるようになりました。

良い店構えは、良い品物を買取る仕組みにつながる

現在は、首都圏を中心に24店舗を展開するまでに成長されています。

人目でトレジャーファクトリーだとわかる外観

野坂:商品がすべて1点ものであることの難しさは述べましたが、同時に、同じ店が2店とないのがリサイクル店の魅力でもあります。創業時に出店した3店舗はかなり隣接していますが、それぞれ売っている品物が違うので、どの店を訪れてもお客様にとってワクワク感のある店づくりができていると思います。

不特定多数のお客様から品物を買取ることがすなわち"仕入れ"となるため、仕入れ予測が難しく、棚づくりにも苦労があるのでは?

野坂:単品ではなくジャンル単位であれば、店舗の仕掛けによって仕入れ量をある程度調整することができます。というのも、店で売られている品物がその店で買取られる品物なので、お客様は店の品揃えを見ればどういう品物を買取ってもらえるかが判断できる。したがって、店構えを工夫することで特定のジャンルの品物を一定量集めることができるし、地域によって多少の差はあれ、商品構成を予測したオペレーションが可能なのです。

また、御社では物流センターを拡張してきましたが、その意図は?

整然とディスプレイされた商品群

野坂:創業初期の頃に物流センターを開設したのは、店舗に置ききれない品物を保管するためです。ただ、リサイクル業では、買取った品物をいかに滞留せずに商品化するかがポイントですから、物流拠点は限りなくコンパクトにして商品の滞留を避けるのが理想だと思います。しかし、事業を推進していくうちに物流拠点の役割が多様化し、それに合わせて拡張してきたというのが現状です。

その一つが宅配買取。遠方にお住まいのお客様のために、品物を物流センターに送っていただければ、そこで品物を査定し買取るサービスを始めました。もう一つは、当社HPからの通信販売やオークション販売に対応するための物流機能。加えて、近頃の物流センター機能としては、新規出店に向けた商材の確保が挙げられます。今以上に積極的に出店を行っていくには、これは、どうしても必要な機能だといえます。

高付加価値商品を扱う衣類専門店をスタート

2004年にはフランチャイズ(FC)店を出店しています。

野坂:実は、当初はまだFCを検討していなかったのですが、福島のある企業さんがいろいろなリサイクルショップを回られる中で当社の直営店をご覧になって、「ぜひともトレジャーファクトリーを出店したい」とのお話をいただきました。最初はお断りしていたのですが、熱心に1年近くも通ってこられたので、お願いしたという経緯です。現在展開中の2店舗とも順調に経営していただいており、最初のFCを熱意のある方にお任せできて、本当によかったと思っています。ただ、事業戦略としては、あと1~2年は直営店を基盤にした多店舗展開を進め、その後、FCを展開していきたいと考えています。

昨年は、衣類専門店のオープンと、新たな取り組みにも余念がありませんね。

シックな外観の衣類専門店・トレジャーファクトリースタイル

野坂:過去12年間、総合リサイクルショップを展開してきて、近年、リサイクルという行為が環境にやさしいライフスタイルの一つとして認識されるようになってきたと実感しています。そのような中で、特に需要が伸びているのが洋服。当初は全体の売上の3~5%でしたが、今では25%近くを占めるようになってきました。今後、洋服の分野を推進するなら、それ専門の店舗形態を追求していく必要がある。そこで、新しいコンセプトで新しい顧客層に訴求していこうと始めたのが、ショッピングモールへの衣類専門店の出店です。

衣類専門店で取り組んでいきたいのは、より付加価値のある品物をリサイクルさせる仕組みづくりです。これまでの総合店では比較的安価な品物を多く取り扱ってきましたが、衣料専門店では高級な洋服を値ごろ感のある価格で売っていきたいと考えています。それには、まず高級な品物を当店に持ち込んでいただかなければならない。つまり、そういった品物をお持ちのお客様に、ご来店していただけるような店づくりをしなければならないわけです。

今後の展開は?

ショッピングモ-ル内にあるオシャレな店内

野坂:いずれは洋服以外の分野での専門店展開も視野に入れています。また、総合店については、まず関東での出店を進め、その後はもちろん、全国展開を狙っていきます。

新しいリサイクルビジネスの今後が楽しみですね。本日はありがとうございました。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2007年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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