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Vol.2 株式会社インテリジェンス

"人"を価値の源泉に据える、ソフトパワーから発想するオフィス戦略

近年、求人・転職に関する情報量が飛躍的に増加。雇用のフロー化はさらに加速し、転職支援サービスが注目されている。そんな中で、人材派遣事業を皮切りに、独自の総合人材サービスを展開する、株式会社インテリジェンス。日本において、人材派遣・紹介業等の転職市場はとかく未整備といわれているが、同社は、顧客との充実したカウンセリングにより、企業と人材とを結ぶインフラとして高い評価を獲得している。ここでは、同社代表取締役社長の鎌田和彦氏に事業戦略と結びつけたオフィスの戦略を、加えて同社ファシリティマネジャーである西田弘氏からは、オフィス運用における様々な工夫をうかがった。

株式会社インテリジェンス 代表取締役社長 鎌田 和彦氏

株式会社インテリジェンス
代表取締役社長 鎌田 和彦

株式会社インテリジェンス サポート本部 総務購買部 マネジャー 認定ファシリティーマネジャー 西田 弘氏

株式会社インテリジェンス
サポート本部 総務購買部 マネジャー
認定ファシリティーマネジャー 西田 弘

1989年、学生時代からの友人である宇野康秀氏(現USEN代表取締役)ら4人で株式会社インテリジェンスを創業。1999年に社長就任、2000年4月にジャスダック上場を果たす。2005年9月期の連結ベース売上高は385億円。人材派遣や人材紹介、特殊技能を持った人材を派遣するプロフェッショナル・スタッフィング事業、アルバイト情報検索サイト「OPPO」運営等、人材サービスをトータルに提供している。

きっかけは美容室の空き20坪

会社設立にあたり、まずはどのようなオフィスで起業されたのですか?

鎌田:89年、創業メンバーの一人である島田(現:楽天野球団社長)の知人から、「美容室をやるには広すぎて、余分に20坪程の空きがある。外苑前なんだが何かに使わないか」との話を持ちかけられました。当時、一緒に会社をやろうと考えていた4人にとって、まさに渡りに船。「やることは決まってないが、とりあえず器はある。じゃ、始めよう」。そんな感じでした。もし、「会社を興したきっかけは何か」と問われれば、美容室の空き20坪と出会ったことなのかもしれません。

実際に始めたビジネスは?

鎌田:当初は、採用のコンサルテーションに関わるビジネスを行っていました。程なく4人ではこなしきれなくなり、人員も増え、オフィスは手狭に。この20坪の窮屈な場所に、取引先から大量の会社案内が届けられたこともありました。部屋中が冊子の山。その時は「床が抜けるのでは」と夜も眠れなかったほどです。発送を委託していた業者に頼み込み、倉庫の一部をなんとか拝借し窮地を脱しました。忘れられない思い出の一つです。

その後、青山で移転を繰り返していますが、何かこだわりがあった?

鎌田:ずばり、青山で創業したからです。だから青山でなければならない。もう、ほとんど思い込みに近いですね。青山という、時代の先端を行く洗練されたイメージと共にありたい、これが大きな理由でした。

青山といえば都心一等地。当時も物件探しは大変だったのでは?

鎌田:ええ。空室は少なく、賃料も割高でした。それでも、比較的空きがあり、賃料も手ごろな半地下の物件なら入居できた。暗く、湿り気を帯びたオフィスは、決して快適ではありませんでしたが、それでもやはり、青山しかないと思っていたのです。

人材サービスに求められる立地。業界での先駆的な試み

しかし、その後赤坂へ移転。

鎌田:95年に開始した人材派遣事業が好調で、規模拡大により、もはや移転せざるを得ない状況でした。しかし、青山では増床はおろか、当社の規模を収容できそうな物件は見つからない。青山から出ざるを得なくなり、赤坂7丁目のカナダ大使館ビルへの移転となったわけです。ここなら、地の利のある青山に近く、グレードも申し分なく、ワンフロアも広い。まさに千載一遇のオフィスだと感じていました。

フロア面積も重要な動機だったのですか?

鎌田:そうです。当時、人材派遣でのノウハウがある程度蓄積されてきていたのですが、それが社員一人ひとりに分散されていた。これを共有できるコミュニケーションをとりたいと考えたのです。そのためには、声が通り、フロアを一望できるオフィスがいいのはもちろんでしょう。

ただ、それまでの立地と比べると、少し寂しくなるのでは?

鎌田:確かに、たくさんの人が集う青山、表参道と比べるとちょっと寂しい。お客様の足も遠のいてしまうのではと考えました。しかし、当時の転職のイメージは、どちらかというとネガティブで、公にしたくないプライバシー事といった感じでした。それならば、ひと気の少ない閑静な立地でも集客は見込めるのではと、考え直したのです。

加えて、移転後にまず対応したのも、プライバシー保護についてでした。当社の人材派遣・人材紹介サービスでは、まずお客様にカウンセリングを受けていただくのですが、これは通常、ブースと呼ばれる個室で行います。中には非常にプライベートな会話もあるため、声がブース外に漏れるようなことがあってはならない。

西田:そこで、この赤坂のオフィスから、ブースは間仕切りを天井まで伸ばし、十分な防音効果を確保したのです。イニシャルコストはかさみましたが、これだけは譲れないところでした。人材サービス業とはいえ、当時は、まだ個人情報保護への関心は低く、業界を先駆けての取り組みでしたね。

95年、新宿で初の拠点(支社)展開をされています。

鎌田:もっとたくさんの人に当社のサービスを知ってもらいたい。乗降客数が日本で最も多いとされるターミナル・新宿駅は魅力的なロケーションです。そこで、新宿駅西口の副都心に拠点を開設しました。しかし、駅から若干遠かったからか、集客は今ひとつ。結局1年足らずで、南口前のビルに移転しました。以降客足は回復しましたが、駅に近い効果は大きいと再認識しましたね。

その後、各政令都市をはじめとした地方進出。いずれの拠点も絶好のロケーションばかり。

社員数の推移とオフィスの変遷

鎌田:地方への拠点展開により、人材サービスを量的に向上させたいと考えました。ならば、新宿支店同様、主要ターミナル駅至近が必須条件。しかし、その確保は決して容易ではありませんでした。当地で、同業者との提携、企業買収を進めるなどして、拠点を確保していきました。

本社移転のきっかけと、拠点集約によるサービスの品質向上

2002年、丸ビルへの本社移転のきっかけは?

鎌田:カナダ大使館ビルは数度の増床の末、500坪近くとなりましたが、収容人数は限界に到達。増床か移転かとの決断を迫られる中、ビルに空室が出たのです。当然、入居テナントによる争奪合戦となりました。しかし結果は敗退。落胆したものの、逆にこのことが、抜本的な対策を考えるきっかけとなりました。

西田:そこで、当時考えられる選択肢の中から、ワンフロアの広さ、オフィスの拡張性、ビルグレード、ターミナル駅への近さ、そして、エリアの持つ立地ブランドに至るまでを徹底して検証しました。結局のところ、これらすべての条件を満たすオフィスは、ビジネス一等地のハイグレードビルにしかありません。折りしも、日本で最も成熟したビジネス街・丸の内では、従来の重厚長大型産業の集積地から脱却しようと、情報産業への誘致活動が積極的に進められていました。そんな後押しもあり、最高の立地、最高のグレードを有するビルへの移転が決定したのです。

鎌田:丸ビルへの本社移転と同時に、渋谷、銀座等の都心拠点を統合したのですが、これは集約によるサービスの質向上につながる反面、お客様には、来店の際の距離的なデメリットを生んでしまいます。来店者数の減少を心配したのですが、予想を裏切り、総登録実績は移転後4倍強と、飛躍的に向上しました。丸ビルの持つ立地ポテンシャル、ビルグレードの威力は、想像以上のものがありました。

都心の拠点の中で、唯一、新宿支店は残されていますね。

鎌田:集約の合理性を保ちつつも、独立して展開しなければならない拠点もあります。新宿支店の入居する新宿三井ビルは、駅至近かつランドマーク。新宿というロケーションは、お客様の利便性を考えたとき、閉鎖できないと判断したのです。ただし、本社との密なコミュニケーションも不可欠。IP内線を設置し情報交換をシームレスにするなど、距離を感じさせないしくみを新たに講じています。

レセプションは雰囲気を売る場所

丸ビル移転による、ビジネス環境の変化はどうでしょう?

カウンセリングフロア受付エントランス

鎌田:まず考えたのが、それまで各拠点で蓄積されてきたノウハウや情報を集約し、最大の相乗効果を生み出そうということです。拠点分散していたことによる、サービス品質のムラを、徹底的に解消したいと考えました。

西田:まず、オフィス内の不必要なパーティションは一切排除。誰でも、席を立てばオフィス全体が見渡せます。これにより、社員間における情報やノウハウの共有はもちろん、マネジメント全般を円滑にする上でも必要な大部屋意識の醸成を図りました。

入居されたのは27階と28階の2フロアですね。

ガラス張りの解放感ある、円卓を配置したミーティングルーム

西田:27階がカウンセリングフロア、28階を執務フロアとしています。扱う情報の機密性からセキュリティ強化は必須ですが、27階が中層エレベータの最終乗換階となっており、これによりお客様ゾーンと事務所ゾーンとに分けられる。お客様と社員の動線を別にしながらも、両フロアは続き階ですから、コミュニケーションをとるにも好都合なわけです。

来客フロアの造作にあたっては、どのような工夫をされましたか?

来客を歓待する、受付周りの熱帯魚水槽

鎌田:カナダ大使館ビル同様、まずプライバシー保護のための高密閉なブースを造作しました。しかし、それだけでは圧迫感を感じてしまうので、パーティションに半透明ガラスを用い、これを緩和。さらに、受付等のアプローチ周りには、熱帯魚水槽を複数配置し、堅苦しくなりがちなエントランス周りの雰囲気を和ませています。また、いわゆるトーンアンドマナーを実践。ブースを結ぶ廊下には、当社ブランドカラーである深い青を基調としたカーペットを敷き詰めています。

カウンセリングブースをギャラリーに - 「アートプロジェクト」

今後は、レセプションエリアの意匠性を高めたいと考えています。前段の試みとして 「アートプロジェクト」を実施。これは"見る人の気持ちを明るくする"をコンセプトに、若手アーティストから絵画を募集しました。ブースに設置することで、カウンセリングにおけるリラックスした雰囲気を演出しています。

常に"人"を中心に考えたオフィス

人材サービスという観点から、これからのオフィスには何が求められるのでしょうか?

企業ブランドカラーである紺碧のカーペットが敷かれたカウンセリングフロア

鎌田:当社の生み出す価値は、全て情報が源です。そしてその情報を生み出すのは、"人"。カウンセリングをはじめとする人対人の有機的な結びつきから、全ての価値が生まれるわけです。当然、人を中心に考えた器が必要となる。レセプションエリアのつくり込み、立地、グレード。これらはすべて、人を中心に据えた結果、演繹される必要条件です。

これが、例えばメーカ等の工場なら、製造工程における設備・装置をどこに配置するかをまず考える。その後に、この装置を効率的かつ正確に使うための"人"の配置を考える。私たちはまず、"人"の配置を考えなければならない。

かつては工場等における労働集約型による産業が主でした。オフィスにもこの考え方が強かった。

鎌田:しかし、近年は知識集約型の産業が主流。人材サービスもその中の一類型といえるでしょう。今後はより"人"を中心に、さらには、人の思考や情報を最も有益かつ効率良く運用できるオフィスが求められると考えます。

次代産業の受け皿となる"人"中心のオフィスというわけですね。本日はありがとうございました。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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