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株式会社SABU | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年8月23日

「仕組みで医療を支える」をミッションに掲げ、歯科医院に特化した事務代行サービスを展開している株式会社SABU。創業当初は見向きもされなかったというその事業は、オンラインによるサービスであることから、コロナ禍以降、一気に注目されるようになったという。多くの業界で逆境とされるコロナ禍を追い風とし、どのようにビジネスを成長させてきたのか、代表取締役社長の齋藤篤氏に訊いた。
株式会社SABU 代表取締役社長 齋藤 篤 氏

オンラインで事務を代行。
歯科医が、本来の仕事に
集中できるよう、伴走したい!

株式会社SABU
代表取締役社長
齋藤 篤

株式会社SABU

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診療外の業務負担を解消すべく 歯科医の頼れるバックオフィスに

SABUは、オンラインで歯科医院専門の事務代行サービスを行っている会社です。現在、全国には6万8千の歯科医院があり、比較的に規模としては大きな業界です。しかし、そのほとんどは小さなクリニックや街の歯医者さんなど、法人ではなく個人事業で営まれています。そのため、経営者でもある先生方は、診療を終えた夜遅くや休日に、治療以外の事務作業を行っています。私は前職時代、歯科医院のコンサルティングを行っていましたが、歯科医の大変さを間近で見てきました。そこでその負担を少しでも解消し、先生方がもっと医療に集中できるような仕組みをつくれないかと、オンラインによる歯科医院のバックオフィス、つまり事務代行サービスを立ち上げることにしました。それが2019年8月のことです。

前職同様にコンサルティングを事業の軸にすることもできましたが、実際にはどのようなビジネスモデルにするのか、とても悩みました。コンサルティングはクライアントの課題を解決し、業績を上げることが主な仕事です。一つ成果が出れば今度は次の目標に向かってハードルが上がり、その結果、先生やスタッフさんはさらに頑張ることになる。業績が上がる一方で、業務としては忙しさが増し、現場は楽にならないんです。そうなるのは私の本意ではありませんし、まずは事務作業のアウトソーシングで、忙しさを解消できないかと考えました。また、私自身も現在は経営者なのでよくわかるのですが、事業の課題や将来の目標、悩みなどについて話せる場があると、やはり安心感があります。ならば、そのような機会をオンライン面談というかたちで設けようと考えました。コンサルティングのようにハードルを高めることがなく、安心して医療業務に取り組んでいただくために、PDCAを回しながら伴走をする。今はそのような思いで事業に取り組んでいます。

株式会社SABU

歯科医師たちの意識を変えた コロナ禍におけるオンライン

歯科医院の忙しさは、以前から業界の問題として認識されていました。その解決に向けて活動ができている現在は、とてもやりがいを感じています。ただ、会社を立ち上げた頃は仕事がなく、創業後半年間はまったくの無風状態。先生方を雑務から解放すると意気込んでいたものの、コロナ禍前でオンラインのやりとりも広まっていなかったため、事業への理解を得られず、仕事に結びつかない状況が続きました。東新宿にあった、もう一人の創業メンバーの自宅マンションの1室を拠点にしていましたが、時間を持て余していたので、立志伝を描いた漫画を持って出かけては全巻を読み終え、それをまた1巻から読み直すみたいなことを繰り返していました。「俺も天下を獲るんだ」と自分自身を鼓舞していましたね。そのような状況でしたが、1回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月になると、一気に潮目が変わりました。オンラインのやりとりが世間で広がるとともに、歯科業界に大きな変化がありました。これまで、リアルに行われていた歯科医師向けのセミナーや勉強会がすべてオンラインに切り替わったのです。ここから歯科医院からの問い合わせが急増したんです。それまでも医療業界では遠隔医療が話題になることはあったのですが、コロナ禍になって先生方もオンラインのやりとりを強く意識するようになったのだと思います。それがきっかけとなり、私たちのオンラインによる事務代行サービスにも目を向けていただけるようになりました。

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オンライン面談サービスこそが SABUという企業の「生命線」

コロナ禍前は、個人的につながりのあったわずかな歯科医院がクライアントでしたが、コロナ禍になってからは月に5、6件のペースで契約をいただけるようになりました。弊社も社員を4名に増やし、まずは2020年8月、原宿にあったシェアオフィスへ移転。コロナ禍で利用者の退去が続いていたためか、一番安かった地下の部屋を、さらに値引きして借りることができました。8席しか置くことができないスペースでしたが、最終的には社員が10名になるギリギリまで利用していましたね。ただ、そこにいたのも1年ぐらいです。手狭になったこともありますが、次の移転を考えるようになった一番の理由は、オンライン面談の時に利用していた共用の個室ブースの予約が取りにくくなったからです。オンライン面談は弊社にとって生命線ともいえるサービスで、そのクオリティが担保できないとなると、サービス全体の質にも影響してしまいます。また、社員たちはベテランの先生方と対等に会話ができるよう、しっかりと下準備をした上で面談を行います。その努力を無駄にしない、ベストな状態で面談を行うためにも、仕事をする環境に不備があってはいけないと思い移転することにしました。

株式会社SABU

データビジネスの時代になっても 人の力を信じて頂点をめざしたい

現在のオフィスは南青山にあり、乃木坂駅から徒歩2分です。シェアオフィスではないので、いつでもオンライン面談を行うことができ、130医院のクライアントに対して、30名弱のメンバーが働いてくれています。以前の地下のオフィスとは違い、窓があって空間にもゆとりを持たせたので、快適です。また、個人的には、東京ミッドタウンなどが建ち並ぶ周囲のロケーションも気に入っています。高層ビルの上層階には数々の著名企業が入居していますし、そのようなビルを眺めるだけでも、会社をもっと成長させたいという思いが刺激されます。

当面の目標としては、私が30代のうちに上場したいと考えています。あと6年ですが、その頃には少なくても150名ほどのスタッフが必要になると予測しています。現在は社員たちの頑張りに支えられているビジネスモデルですが、今後はクライアントのご意見など、弊社に集まる生の声を活用し、さらにニーズに合わせた新規事業やサービスを創出していきたいと思っています。日本で治療データや経営データに基づくビジネスを行うことができれば、歯科医療は世界共通なことも多いので、それを海外で展開することも可能でしょう。ただ、そうなった場合も、クライアントのニーズをヒアリングしたり、データとして活きてくる本当の声を引き出すには、人の力が必要になると思います。今はまだ理想の1、2%しか実現できていませんが、このオフィスでメンバーと意見を交わし合いながら、夢に向かってチャレンジしていきたいです。

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上記内容は BZ空間誌 2022年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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