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ABL(動産・債権担保融資)とは?ABLに向いている企業とは

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2012年7月19日

企業が保有する在庫、機械設備や売掛債権等、これまで担保としてあまり活用されてこなかった動産等を活用した資金調達の方法、動産・債権担保融資(ABL Asset Based Lending)が最近注目されています。

ABLとは、企業の保有する在庫(原材料・商品)や機械設備、売掛債権等の資産を担保とする融資制度です。ABLを活用することで担保となる不動産を所有していない企業でも、事業規模に応じた融資を受けることが可能となります。
また、日本銀行が2011年6月にABLを行う金融機関を対象にした低利融資の導入を決めたことで、各金融機関もABLへの取り組みを強めています。

動産・債権担保融資(ABL)の概要
 

1.ABLの特徴

ABLでは従来の融資とは異なり、以下のようなことが必要になります。

(1)担保の評価

ABLに係る担保物件は、企業の在庫や売掛債権等であることから企業規模等によってその内容は多種多様になることが予想されます。そのため貸し手では担保価値を評価できない場合が多くあり、外部の専門家に評価を依頼することが考えられます。

(2)担保資産の状況や業績の報告

担保の対象が在庫や売掛債権など企業の事業活動そのものであるため、業績が悪くなれば、売掛債権は減少し、在庫の価値も減ってしまいます。そのため、貸し手は企業の状況を常に把握する必要が生じるため、必然的に、企業と貸し手が企業の状況を継続的に共有するための仕組みが必要となってきます。

(3)担保物件のモニタリング

担保物件の管理・保全は貸し手にとって重要な位置を占めることから、適切に行われる必要があります。したがって、企業における担保物件の管理・保全にかかる業務が増える可能性があります。

ABLのメリット・デメリット

2.動産・債権の譲渡担保

ABLでは通常、動産・債権の譲渡担保という方法が用いられます。譲渡担保とは融資等の担保の目的で、担保目的物の所有権を、借り手から貸し手に移転し、債務の履行がなされた時点でその所有権を戻す形式の担保です。
動産の場合、企業から貸し手に動産の所有権を移転しながら、引き続き企業がその動産の使用を継続するため、事情を知らない第三者がその動産を譲り受けてしまうなどのリスクがあります。そこで動産譲渡登記制度を利用し、所有権が貸し手に移ったことを第三者に対して主張します。

債権の場合も、企業から貸し手への譲渡が第三者からわかりにくいので、債権譲渡登記制度を利用し貸し手が保有している権利を第三者に主張します。

(1)動産譲渡登記

登記の方法には(a)動産の特質によって特定する方法(個別動産)と、(b)動産の保管場所の所在地によって特定する方法(集合動産)の2つがあり、いずれかの方法を選択することができます。
在庫商品など、日々内容が変動する集合動産の場合には、通常(b)の方法により登記することになります。この場合、原則として、その保管場所にある同種類の動産の全てが譲渡に係る動産となり、その保管場所に搬入された時点で、動産譲渡登記の効力が及びます。

(2)債権譲渡登記

債権譲渡担保の対象は、既にある売掛債権はもちろん、将来発生する売掛債権など、債務者の特定していない将来債権についても登記により対抗要件を備えることが可能になります。

動産の種類に応じた登記方法

3.ABLに向いている企業

  • 商品を仕入れてから販売するまでにタイムラグのある企業
    中古車販売業などは、幅広い品揃えを提供することが求められることから、必然的に在庫量が多くなるため。

  • 機械設備等の規模が大きい企業
    高価な機械設備を使用している可能性があるため。

  • 業績が一時的に悪化した企業
    業績が一時的に悪化したようなケースでは、金融機関の理解を得るのに時間がかかる状況が考えられるため。

4.担保提供資産の会計上の取り扱い

譲渡担保に提供した動産等について、譲渡担保契約締結前と締結後で計上する資産に変更はありません。

著者プロフィール

木村 篤志(きむら あつし)氏
木村会計事務所 代表

1973年生まれ。1999年税理士登録。大手会計事務所を経て2005年に独立開業

※免責事項
本稿は、当然のことながら動産・債権担保融資(ABL)について、その全てを説明したものではありません。
なお、本稿に記載されている事項については平成24年6月に施行されている法律及び同時点で一般的に妥当と認識されている事由に基づき執筆しており、今後法律その他の事由に変更があった場合には記述内容が変わることがあります。
執筆者及び当社は本稿の説明についていかなる責任も負うものではありません。

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