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セガサミーホールディングス株式会社|プロジェクトケーススタディ

セガサミ―

都内各所に点在していたグループ会社20社を、2018年8月、住友不動産大崎ガーデンタワーの計13フロア、約2万坪のオフィスに集約させたセガサミーグループ。その核であるセガサミーホールディングスを中心に、総務部門の機能を統合したグループ総務化を実施し、様々な施策を仕掛け効率化を実現した。その総務部が満を持して達成したのは、誰もが予想だにしない、テナント企業による生グリーン電力導入による脱炭素化だった。難しいとされた取り組みはどのように実現されたのか。その道程を追ってみた。

賃貸ビルのテナントでは困難とされた生グリーン電力導入。
国内初の挑戦により「攻める総務」が仕掛けた、カーボンニュートラルへの挑戦。

生グリーンを含む実質的100%グリーン電力化
セガサミーホールディングス株式会社

セガサミ―

国内のアミューズメント事業を代表する2社が経営統合を実施

1960年、国産初のジュークボックスの開発で産声を上げ、その後アミューズメント施設の運営、および家庭用ゲーム機の開発などで名を馳せた「セガ」。1975年に娯楽機械の製造・販売からスタートし、ぱちんこ・パチスロのトップメーカーにのし上がった「サミー」。その2社が2004年に経営統合して誕生したのが「セガサミーホールディングス(以下セガサミーHD)」である。以降、デジタルゲーム事業を中心とする「エンタテインメントコンテンツ事業」ならびにサミーを中心とした「遊技機事業」、ホテルの開発・運営を手がける「リゾート事業」など、幅広い領域で事業を展開。グループ企業は国内だけでも約30社にのぼる。

その同グループが、統合によるシナジー効果を期待して、東京・品川にある「住友不動産大崎ガーデンタワー」の13フロア、約2万坪のオフィススペースに移転したのは2018年8月のことである。内部には働き方改革を見据えた、食堂や社員専用の保育園を用意したほか、社員500人以上が一堂に会する講堂、ベンチャー企業を集めるコワーキングスペースの設置など、イノベーションを意識した施設が用意されている。

セガサミーHDでは、社長である里見治紀氏の強いリーダーシップにより、働き方改革の一環としてフレックスタイム、在宅勤務、副業などの制度変更の準備を、移転前から進めていた。そのため移転後も、新たな働き方をスムーズに導入することができた。また、セガサミーHD、セガ、サミーの総務業務機能を統合し、セガサミーHDをグループ総務とするシェアードサービス化を進めていった。コロナ禍における在宅勤務への対応が即座に実現したのも、こうした改革によるところが大きいという。

総務機能の統合で実現したコスト削減と環境への配慮

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「管理部門である総務部は、自ら売上を計上できない受け身の仕事がメインの部署というイメージが強い。その中で、自分たちにできる改革として考えていたのがグループを統括したコスト削減案でした」。そう語るのは、執行役員で総務本部長の竹山浩二氏だ。コスト削減と言えば、一般的に大きなところでは遊休不動産の売却などが考えられる。だが、竹山氏が目を付けたのはグループ企業全体を統合した水道光熱費の削減だった。

当時の同社はグループ会社毎に、各部署が電気代を管理していた。そのため、例えば年間1億円の電気代の10%である1千万円分を削減しようとしても、各部署が個々に管理していては効果が出にくい。だが、これを総務管轄にし、各部署には使った分を面積で案分してもらえば、トータルコストを減らしやすい。グループ総務に変更する今回の移転は、これに取り組む絶好のチャンスだった。

単なるコスト削減だけでなく、脱炭素にまで踏み込んだのには理由がある。サステナビリティやSDGsなど、環境に関する関心は日増しに高まっている。一方で、同社のビジネスの根幹であるゲームやぱちんこ・パチスロ、リゾートホテルなどは、電気なしには考えられず、CO2の排出をイメージさせる。時代の流れに逆行しているかのようで、危機感は募るばかりだった。

そのため、セガサミーグループ各社は以前から環境問題に積極的に取り組んできた。例えばセガは、2008年から長野県が仲介役となって進める森林の里親促進事業に賛同し、「セガの森」と名付けたCO2の吸収源となる、東京ドーム773個分の森林の整備資金の一部を提供している。またセガやサミーでの製品の部品点数削減やリデュース・リユース・リサイクルの促進。宮崎県のフェニックスリゾートにおける温室効果ガス排出抑制の取り組みやアカウミガメの保護など、多岐にわたる活動を行ってきた。こうした社会貢献をセガサミーグループ全体の取り組みとするには、全体の約9割にあたる6,500名ほどの社員が集約するグループ移転が、うってつけの機会だったのだ。

そのために、グループ総務としてまず始めたのがコミュニケーション専門部門の新設だ。セガサミーグループの、機能統合による効率化の実現。および新たなグループとしてのカルチャーの創生、そしてグループの新しいチャレンジを全社員に周知徹底し、円滑に進めるための新部署である。「従来は何かのプロジェクトごとに、各社から人員を集めていたのですが、よりスピーディーに変革に取り組むためには、こうした部署が必要でした。セガやサミーなどの歴史ある企業のカルチャーを尊重しながら、グループとしての新たなカルチャーを創造することが、大きな目的でした」(竹山氏)。総務部をはじめとする管理部門を集約したことで、セガサミーHDは500名近い規模になっている。

テナント企業単位では国内初の生グリーン電力導入を実現

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だが、こうした活動に影を落としたのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。アミューズメントやリゾートビジネスに大きな影響を及ぼすことは、容易に想像できる。最初に影響を受けたのはゲームセンターやぱちんこ、パチスロの実店舗である。直営、および顧客である全国のアミューズメント施設がダメージを受ければ、機械は売れず、経営にも打撃を与える。グループ全体を守るために、セガサミーグループでは事業再編を含む大胆な構造改革を断行した。

併せてオフィスコストの効率化にも即座に着手した。現在の約2万坪のスペースから、コロナ禍でガラガラになったスペースをいかに効果的に最適化するか。まずは外部に残っていたグループ会社5社を集約し、本社ビル以外のオフィスの効率化を図った。結果的に借り増しせずに集約でき、坪効率は上昇した。さらにアフターコロナにおける、新しい働き方を想定した必要面積を試算したところ、1フロア分が余ることが分かり、住友不動産との交渉を経てオフィス面積の削減を実現した。

こうした流れの中で、「攻めの総務部」が挑戦したのが、国内初となるテナントビル専有部への生グリーン電力を含む実質100%再生可能エネルギーの導入というチャレンジだった。「環境に対する社会からのプレッシャーが日増しに高まるなか、巣ごもり需要による影響もあり、世界のゲームプレイヤー人口は2023年には30億人に達する見込みです。東京証券取引所における上場区分変更を控え、当グループの事業拡大を考えるうえでは、かねてからの懸案事項である電力の問題は避けては通れないものでした」(竹山氏)。

もちろん、非化石証書を購入して、書類上の脱炭素化を達成する方法もある。だが首都圏で自社ビルを所有する企業はわずか26%に過ぎず、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すうえで、導入が難しいからと74%のテナント企業が実質的には何も取り組まないというのは考えられない。もっと高水準の脱炭素化を目指すべきである。それがセガサミーHD里見社長の決意だった。

折しも複数の大手デベロッパーが、ビルの使用電力を100%実質グリーン電力とした新築ビルを次々に発表しているところだった。交渉の余地はある。そう考えた竹山氏は、住友不動産との交渉に臨み、自社の脱炭素にかける想いを伝えた。大崎ガーデンタワーは環境性能が高いビルで、移転により電気効率は3割超改善されていたが、竹山氏は、「十分な省エネを実現している現状にとどまることなく、さらに高水準の脱炭素を目指したい」と強く訴えた。「大規模な本社移転には、多大な労力とコストがかかります。しかし、我々の脱炭素化の取り組みに対し、これ以上検討の余地がないというのなら、その場合、契約満了時に退去することも考えなければならないかもしれない」と、竹山氏はその時の不退転の決意を振り返る。この強い要望をきっかけに、セガサミーHD、住友不動産、東京電力エナジーパートナー(以下東京電力EP)の3社による、実現に向けた本格的な協議が始まったのである。

この話に先駆けて、住友不動産ではカーボンニュートラルに向けてテナント企業と協業するなど、ESG推進を専門に取り組む部隊を新設したところだった。CO2排出量削減に本気で取り組もうとする企業が集まっただけに、本腰を入れれば、話はスムーズに展開していく。こうして、住友不動産の電力量管理システムを活用して、オフィスビルのテナント専有部へ導入するスキームが誕生。「追加性を有する生グリーン電力」のテナント単位での国内初導入が決定。2021年12月より稼働を開始した。

また、機を同じくして住友不動産では、同プランを含む、オフィスの使用電力を脱炭素化する三つのグリーン電力プランの提供を本格的に開始している。「当社としては他社のスキームの追随ではなく一番に実現することで当社グループの脱炭素への姿勢を示すことに意味があるとして、無理難題をぶつけた部分もあると思います。その熱意を快く汲み取ってくださった住友不動産と東京電力EPの2社には本当に感謝しています」(竹山氏)。

誤解を取り除いて社内コンセンサスを産み出した納得のシナリオづくり

セガサミ―

一般論として、バックオフィスと呼ばれる管理部門が、新たな取り組みに挑戦して経費を使うと、批判が社内で起こることがある。そして、それに対してものが言えなくなる管理部門が多いのもまた事実だ。竹山氏は、そのことを十分に理解しており、単にコストアップとならないためのシナリオを考えていたという。まず、サンライトプレミアムの導入で、コストがどれくらい上がるかを算出。その試算によると、コロナ禍前の年間電力料金と比較して、在宅勤務の増加から昨年は年間で数千万円ほど減少していた。加えて、先に述べた通り、外部に残っていた5社を集約したことで年間のランニングコストは億単位で削減。さらに1フロアを減床することでも数億円近くの固定費削減となる。また、前述の通り、このビルに移転したことで向上した電気効率により、こちらも数千万円近く電気料金が削減されていたのである。つまり今回のサンライトプレミアムを導入しても、トータルコストは移転前からすでに大幅に減少。移転を機に実現した総務機能統合による効果が、目に見える形で証明されたのである。

もう一つ、今回の導入で一番大きなポイントとなったのが、テナント契約および電力の契約の期間のずれである。一般に新設発電所由来のグリーン電力を導入する場合、「コーポレートPPA」と呼ばれる、発電所開発事業者と20年超の長期契約を締結する手法を選択する必要がある。多額のコストがかかる発電所開発行為を伴うため、当然、何かあっても途中解約はできず、期間満了までコストを払い続けることになる。例えばわかりやすく大げさに考えれば、オフィスは2025年までという賃貸借契約を結んでいて、コーポレートPPAが2040年までの20年契約だとすると、ビルを退去しても15年間コーポレートPPA料金の支払いが続くことになるのだ。テナントとしては、当然ながら承服できない話である。今回、追加性のある生グリーン電力を導入可能であるが、より短期間から契約可能な「サンライトプレミアム」を活用し、住友不動産とも何度も議論を重ねて調整することで、通常よりもはるかに短い期間での契約を実現した。社内的にも、環境への取り組みと同時に、コスト的なダメージを事前に抑えたことが大きな効果と認識されたという。

すべての企業が真剣に取り組むべきであるカーボンニュートラル。今回の挑戦はテナント企業にも可能であることを証明した。「もちろん、当社の取り組みはこれで終わりではなく、電気以外にも我々の事業がどれだけ環境に影響を与えるかを常に考えながら、事業の実態にもっとも効果的な方法を導き出していく所存です」と竹山氏は思いを新たにしていた。同社の動向はもとより、社会全体に与えた影響の大きさも注視していきたいところである。

企業名 セガサミーホールディングス株式会社
施設 本社オフィス
所在地 東京都品川区西品川1-1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー
概要 本社使用電力の生グリーンを含む実質的100%グリーン電力化
実施日 2021年12月より導入
人員 約6,500人
規模 約2万坪

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上記内容は BZ空間誌 2022年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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