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日本電気株式会社|プロジェクトケーススタディ

九州地区福岡のグループ企業
7社の垣根を取り除いた、協同ワークプレイス。
NECが掲げた働き方改革「Smart Work 2.0」。

九州地区福岡NECグループ7社の中核オフィス
日本電気株式会社

日本電気株式会社

1899年設立と、100年以上の永きにわたる歴史を刻んできたNEC。同社は、この20年ほどの間に大きな変革を遂げてきた。2025中期経営計画で打ち出された、働き方改革「Smart Work 2.0」。また、九州地区福岡エリアのNECグループ拠点を集約した「天神RISEプロジェクト」。事業と働き方の変革と、そのオフィスづくりの全貌を追った。

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人や組織というソフト面に投資 大改革を断行し続けるNEC

1世紀以上の歴史を持つNECが、大きな変革の時を迎えている。かつてはコンピュータや通信機器メーカーというイメージが強かったが、 2000年以降、約20年の歳月をかけ事業変革を断行。半導体やコンシューマ向けPC、携帯電話といったハードウェア系事業から撤退し、現在は公共事業、社会基盤事業など、生活・産業のインフラをデジタル化・高度化する社会価値創造型企業へと舵を切っている。また、2013年には大規模な組織改正を行い、マーケット別にセグメンテーション化。さらに2018年には、人や組織への再投資が大々的に行われ、業態だけでなく社員の意識改革も急速に行われた。昨年の年間売上は、最盛期の5兆4千億円から約3兆円に減少しているものの、収益面は、自己資本利益率が6.0%から13.5%に、自己資本比率は19.0%から35.7%へと大幅に改善された。国内8万人、ワールドワイドでは11万人の従業員を擁する企業として、非常に安定した経営基盤が構築されたと言えるだろう。

さらに、同社の変革はこれにとどまらない。現在、テクノロジーを通じて「暮らし」「社会」「環境」に貢献できる会社をめざす「NEC 2030VISION」というビジョンを掲げ、次なる進化に向けて動いている。2025中期経営計画では、より具体的な数値目標を掲げており、それが、EBITDA成長率5年間年平均9%の達成と、企業文化面におけるエンゲージメントスコア50%の達成となる。「2025年までにエンゲージメントスコア50%を実現するには、企業文化と経営基盤の変革が二本柱であり、1.人・カルチャーの変革、2.ビジネスインフラの整備、3.顧客との未来の共感創りの三つを充実させることが不可欠です」。そう語るのは、同社人事総務部門カルチャー変革エバンジェリストの森田健氏。中でも重要となるのが人・カルチャーの変革であり、そこには四つの方向性があるという。一つはダイバーシティであり、女性や外国人の役員や管理職への登用。そしてジョブ型マネジメントによる適時適所適材の実現、リーダー育成・DX人材育成等のタレントマネジメント。さらに、より良い働き方を実現するための働き方マインドセット改革が挙げられている。

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オフィス不要論がささやかれるなか その価値の再構築を実施

これらの実現に影響力を持つものの一つが、オフィスのあり方だと同社は考える。コロナ禍にあり、世間ではオフィス不要論もささやかれている昨今、同社が社員に実施したアンケートでは、緊急事態宣言前は「基本的に毎日出社するもの」との意見が大勢を占めていたが、現在は「必要な時のみ」や、「週に1~3日程度出社すればいい」との意見が増えているという。また、実際にリモートワークを経験したことで、マネジメント層、ベテラン社員、若手社員それぞれの層で、コミュニケーション不足が原因の課題が見えてきた。特に若手社員にとっては、先輩に教えを請うたり技術を盗んだりといった、人脈や仕事の幅を広げる機会が喪失しやすい。短期的にはこれまでのつながりで補えても、5年先10年先を見据えると、大きな問題になりかねない。「社員同士が安心安全に、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを取れることがオフィスの存在意義なので、それが実現できるようにどう変えていくかが大きなテーマとなりました」(森田氏)。

この課題も取り込んだ形で策定されたのが、同社が新たに提唱した「Smart Work 2.0」。めざすのは「働きやすさ」から「働きがい」へ。働きがいを充足させることでエンゲージメントにつなげていくという考え方だ。そのために必要なのは、上司や先輩、取引先からの「信頼」、任された仕事への「挑戦」、成功体験を積むことによる「成長」、そして評価を得たことによる「誇り」というステップだという。この働きがいのプロセスには第三者の存在が不可欠であるとのことだった。信頼し評価してくれる、言い換えれば心を動かしてくれる相手が存在し、その中で行動を積み重ねながら経験を通じて働きがいの実感を高めることこそが、「Smart Work 2.0」の神髄なのである。

では、ワークプレイスはどのような役割を果たすべきなのか。「今後のウィズコロナの社会環境を踏まえ、また、「Smart Work 2.0」の働き方を実践できたときの出社率を40%程度と想定。基本はどこでも自分のパフォーマンスを最大化させるために自らの働く場所を選ぶ『ロケーションフリー』とし、オフィスにはチームの力を最大化するためのスペースである『コミュニケーションハブ』と、組織・会社の枠を超え、社会とつながることで共創空間としての『イノベーションハブ』を設け、この三つの働き方を行き来することで、より効率的・創造的な『ハイブリッドワーク』を実現する。出会う場所としての価値の最大化を図る、というのが、NECにおけるオフィスの価値の再定義でした」。そう語るのは、同社の人事総務部ワークプレイスグループのW&Pシニアプロフェッショナルである坂本俊一氏である。

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Smart Work 2.0」に先駆けて取り組んだ九州モデル

同プロジェクトは、九州福岡に点在するNECグループのうち7社、計1,200名を、天神地区に集結させる大移転計画である。具体的なスタートは、2020年6月頃。元々九州エリアでは、営業部門の中核は祇園に、SE部門はそこから車で30分ほどかかる百道浜にあり、コミュニケーションロスが問題になっていた。プロダクトからサービスへとビジネスの主体が変わる中、顧客のニーズを的確にサービスに落とし込むには、コミュニケーションの強化は不可欠だ。その意味で企業間の壁を取り払う集約は、シナジー効果の最大化を図るうえで、各社経営層の悲願でもあった。そうした状況下、本社から発せられたリニューアル計画に、全国各地のグループの先陣を切って踏み出すことになったのだ。

今回の九州モデルでは、移転を推進したのは親会社であるNEC人事総務部だが、実際のプロジェクトの中心となったのは、NECをはじめとした現地のグループ7社であった。「集約の候補となるビルの選定、およびどのグループ会社を集約するかなどの検討は、2020年6月以降、本社サイドと連携しながら、ほぼ同時に進められました」。プロジェクトの現地事務局であるNECマネジメントパートナーの、フロントサービス事業部九州CSセンター長である瀬川隆行氏はこう説明する。

ビルについては、天神エリアの再開発事業「天神ビッグバン」で最初に完成したビルである、天神ビジネスセンターに決まった。当初は自社所有の百道浜のビルも候補に挙がったが、ビジネスの中心地である天神に軍配が上がった。One NECとしてシナジー効果を最大限に発揮するための集約企業も、7社に決定した。

2020年末頃には、社内コミュニケーションをどう醸成するか、その具体的な方針を決めるための分科会が動き始めた。コロナ禍の真只中でありながら、その方向性がブレることはなかった。新オフィスのコンセプトに則り、移転後は受付や会議室、フリーゾーンを共有化し、専有部分を各社15%程度に圧縮することで、フロア面積を従来の13,000㎡から、6,500㎡に50%削減。ちなみに九州モデルでは、オフィスエリアを、リラックスしてアイデア出しができる場として「Social」、アイデアを形にしていく場として「Creative」、いわゆる執務エリアとしての機能として「Work」と三つに分けている。

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社員参加型プロジェクトの実施と 運用ルールの周知徹底が成功の鍵

このプロジェクトで特徴的なのは、社員参加型のプログラムを多数設けたこと。例えば「天神RISEプロジェクト」の命名は、若手社員による公募で集まった10の案から投票で決められた。また社内に設置したデジタルサイネージや会議室の予約システム、位置情報システムなども、各社の代表者を集めて話し合い、導入を決定したものばかりだ。

だが、プロジェクトがすべて順風満帆だったわけではない。例えば、当初は3フロア全体で完全フリーアドレスとしてのABWを導入しようとしていたが、これは断念。同じNECグループとは言え、昨日まで別々だった会社をいきなり、ひとまとめにはできないとして、各社のアイデンティティを確保するために、椅子の色を変えておおよその場所割を決めることにした。セキュリティにしても、入退管理を手書きの台帳で行っていた会社があったり、システム面でも各社で普及の度合いが異なり、その変更を了承してもらう点で苦労が多かったという。「元が別々の会社ですから、足並みをそろえるのが大変でした。そこでマインドチェンジを促すために、社員の移転モチベーション促進プログラム策定し、実施する必要がありました」(瀬川氏)。この天神チェンジプログラムでは、隔月1回の定期的な情報発信、各社トップからのメッセージ、働き方改革セミナー、全社員参加型のイベント開催、オフィスの運用方法を周知させるルールブック策定、および効果測定という六つのプログラムを実施。なかでもルールブックの策定は、有効に作用したという。

効果測定については、移転が完了してからまだ5ヶ月程であり、コロナの状況がもう少し落ち着き出社が安定してからアンケートを取って行うということだ。だが、すでに集約の効果は表れている。7社の代表者による隔週1回の定例会や、四半期に1回の幹部会が発足したり、これまで各社が独自に行っていた新人研修をグループ連携で行うなど、個社からグループへと考え方が180度変わってきている。

「今後の出社率によっては、再度、各社の専有スペースを確保しない完全フリーアドレス・ABWの導入を検討したり、スペースが余ればさらに他のグループ会社を呼び込んだりといった検討も必要でしょう。今回の九州モデルで採用した会社間の壁のないオフィスは、今後、NECの地域のあり方として、他の地域でも採用されることが決まっています。この九州モデルをグループ全体にアピールするとともに、新たなNECをグローバルに発信していきたいですね」(瀬川氏)。

今回のリニューアル計画が、NECの今後のビジネスにどう反映されるか、興味は尽きない。

日本電気株式会社
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プロジェクト概要

企業名 日本電気株式会社
施設 九州地区福岡NECグループ7社の中核オフィス
NEC、NECソリューションイノベータ(株)、NECネッツエスアイ(株)、
NECキャピタルソリューション(株)、NECファシリティーズ(株)、
NECマネジメントパートナー(株)、日本電気通信システム(株)
所在地 福岡県福岡市中央区天神1-10-20 天神ビジネスセンター
稼働開始日 2022年1月
規模 3フロア計6,500㎡・1,200名

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上記内容は BZ空間誌 2022年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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