賃貸オフィス・賃貸事務所の記事

ドレーゲルジャパン

ケーススタディ

2014年12月10日

社内連携の強化と事業継続性の確保、ショールーム併設でブランディング強化。
創立125周年を機に本社機能を統合移転。

エントランス

医療機器や安全機器を取り扱うドレーゲルジャパンは、国内での業績好調を背景にさらなる社業発展を遂げるべく、2014年9月、国内の2部門の本社機能を東京・品川区上大崎へ統合移転した。実際に製品が使用される環境を再現するショールームを併設しブランディング強化を図るとともに、事業継続性の確保と、組織統合によるシナジー効果を狙った本社移転プロジェクトを取材した。

創立125周年を機に国内2部門の本社機能を統合

ロゴ

ドイツに本社を置くドレーゲル社は、医療器具と安全器具の分野におけるリーディングカンパニーの一つ。1889年に創業し、現在は190ヶ国以上で社員約1万3500人を抱える巨大グローバル企業である。日本では1984年にドレーゲルジャパンを設立。医療機器を取り扱う「ドレーゲル・メディカルジャパン」と、安全機器を取り扱う「ドレーゲル・セイフティージャパン」の2部門で業務を開始した。ドレーゲルジャパンの社員数は、現在約200人。日本支社は、アジアで最も古い現地法人となっており、国内のみならず国際ビジネスにおいても同社の重要な中枢に成長している。

これまでは、ドレーゲル・メディカルジャパンは東京都江東区富岡に、ドレーゲル・セイフティージャパンは同区木場に、それぞれサービスセンター併設型の本社オフィスを構えていたが、2014年9月、両社のより一層の連携を図り社業発展を遂げるべく、品川区上大崎へ本社機能を統合移転した。これは、ドイツ本社の設立125周年を機に、グローバル規模で組織統合を推進するプロジェクトの一環である。

ドレーゲルジャパンのホルガー・クライン社長は、統合移転の狙いについてこう話す。「両社は“TechnologyforLife”という共通の企業理念のもとで事業を展開しています。この両社を一つにまとめることで、社内の技術力や才能を最大限に活用することが目的です。また、ドレーゲル・メディカルジャパンの顧客である医療関係者と、ドレーゲル・セイフティージャパンの顧客である消防や警察、災害管理に携わる人たちは、互いに密接に関連していることが多い。両社の本社機能統合がお客様にとっても強いブランドメッセージの発信につながると考えています」。

本社機能の統合移転を検討し始めたのは、2012年10月のこと。移転までの時間は、決して短くはないが、ドレーゲルブランドに相応しい場所と環境を検討する上で、必要な時間だった。

「日本の社員がブランド指針を反映した職場環境で働くことは非常に重要です。彼らが生き生きと働ける職場環境を整えることも、移転を決めた大きな理由でした」とクライン社長は話す。ちょうど2年後の2014年9月には、創立125周年関連行事に出席するためドイツ本社のシュテファン・ドレーゲル会長の来日が決まっており、その日を移転完了のゴールに設定し、新本社設立プロジェクトが始まったのである。

大型機器を天井に設置したショールーム併設が必須要件

会議室

まず新本社の器となる物件探しからスタートしたのだが、これは一筋縄でいくものではなかった。なぜなら、同社のオフィス探しには特殊な要件が課せられていたからである。それは、新本社に「デザインセンター」と呼ばれるショールームを設置することである。ショールームといっても、一般的にイメージされるような製品を並べただけのショールームとは異なる。ドレーゲル・メディカルが販売する医療器具には大型の機材も多く、中には天井からアームを使ってぶら下げるタイプのものもあり、それらの器具の使い勝手を医療関係者に試してもらうには、機材を天井に設置し、実際の医療環境に近い状態を再現する必要があった。そのためには、大型機材を天井に設置できるだけの天井高と、荷重に耐えられるだけの頑丈な作りでなければならなかったのである。

従来のドレーゲル・メディカルジャパンの本社ビルにはショールームがなく、建物内に組み上げた鉄骨に医療器具を取り付け、顧客へ案内していたという。商品をどのように見せるかは、ブランドイメージの構築にも大きく関わる問題である。医療の最先端を担う高性能器具を紹介するのに相応しい場が必要だと考え、新本社へのショールーム併設を必須条件とした経緯がある。従って、室内に設置可能な設備の大きさや重量をビル側と交渉しながら進める必要があり、これが物件選定を困難にしたというわけだ。

もう一つ、BCPの観点からの物件や立地選びも優先課題だった。BCP対策についてはクライン社長の並々ならぬ思いがあった。元々ドイツ本社のアジア太平洋地域担当だったクライン氏は、2011年3月28日に日本に着任。ちょうど2週間程前に東日本大震災が発生したばかりだった。「当時、地震で多くの外国人が日本を去りましたが、私はあの時こそ、ドレーゲル社を代表して誰かが日本にいるべきだと思いました。我々はグローバル企業であり、 日本の社員は我々の大切な一員です。当時木場にあったドレーゲル・セイフティージャパンの本社ビルは、地震により不安な要素を残しました。社員にはもっと安全な環境を提供するべきであり、またそのような環境のビルに企業の中枢機能を置くべきではないと痛感したのです」(クライン社長)。

デザインセンター

新本社の立地は、液状化リスクの高い湾岸エリアを避け、山の手エリアを中心に検討。加えて建物の耐震性や、社員の通勤アクセス、ショールーム併設の要件を考慮した結果、品川区上大崎の目黒東急ビルに決定。そして、これまで両本社に併設していた物流倉庫についても、災害時や非常時に救命用具などの商品を迅速に全国に届けられるよう統合が図られ、従来のドレーゲル・メディカルジャパンの本社を、同社およびドレーゲル・セイフティージャパン両社の東京サービスセンターとして活用し、拡大する事業に対応すべくサービスと物流機能を強化することとした。「本社オフィス機能と物流機能を別々の建物に構え、さらにデータのバックアップ体制を整えたことで、非常時にどちらか一方が停電や断水に見舞われたとしても、事業継続性を確保できる環境を整えることができました」(クライン社長)。

機能目的別レイアウトを採用し両社の融合を図る

オフィスづくりで意識したのは、2つの組織が自然と融合するようなレイアウトである。グローバルで見れば、ドレーゲル・メディカルとドレーゲル・セイフティーを同じ建物に統合しながらも、会社ごとに配置している国もある。しかし日本では、両社の垣根を取り払い、販売、マーケティング、顧客サービスなどの機能目的別レイアウトを採用することで、チームの一体感を生み、両社のシナジー効果を高めることを狙った。執務空間の中央に設けたオープンスペースでは、社員が単に休憩するだけでなく、イベントなども実施できるだけの広さを確保し、両社社員が交流を深められる場とした。また、眼下に東京都庭園美術館の緑地を眺められる窓面スペースは、来客用とせず、あえて執務スペースとすることで、社員にとって心地よい空間になるよう配慮した。

新本社の目玉となるデザインセンター(ショールーム)には、ドレーゲルが125年の歴史の中で培った医療および安全機器における最新技術を統合したソリューション展示を常設。最高品質基準に従って製造されたドレーゲル製品で実環境を構築するほか、医療施設のフロアプランや設備導入の流れに関する情報も提供している。「単に製品を陳列して見せるだけでなく、お客様の設備環境の将来設計をサポートする場と位置付けています」とクライン社長は話す。展示スペースに隣接した打ち合わせスペースをガラスで区切ることで、声が外に漏れないよう配慮しつつ、製品展示を見ながら顧客と商談できるようにした。

創立125周年記念行事の一環として新本社を華々しくお披露目

オフィス

2014年9月5日、ドイツ本社のドレーゲル会長が日本支社を訪問。会長および駐日ドイツ大使、社員出席のもと、ドレーゲルジャパン新本社のオープニングイベントが開催された。「ドレーゲル会長は、我々が限られた時間で、ドレーゲル社らしい、プロ意識とお客様への配慮に溢れた新本社を構築したことを非常に喜んでいました。私は日本の社員が、日々の業務を抱えながら移転統合プロジェクトを見事に遂行してくれたことを、大変誇りに思っています。成功の裏には、米国のパートナー、プロジェクトマネジメントを担当したCBRE、設計を担当したメックデザインインターナショナルや岡村製作所など外部パートナーとの素晴らしい連携があったことも忘れてはなりません。彼らは我が社の企業理念とブランドイメージを可視化させるために必要な事柄を十分に理解してくれました。また、オフィスづくりの指針を示すドイツ本社との関係も良好で、現地法人への信頼から我々主導である程度協議を進めることができたことも、迅速な決定や移転遂行につながったのではと思います」(クライン社長)。

オフィス

統合移転から2ヶ月が過ぎた現在、統合された2部門の社員たちがオフィス中央のオープンスペースで共にランチをしたり、談話したりする姿が見られるようになり、「皆が自由に新しい職場環境を楽しんでいるようだ」とクライン社長は話す。以前は、各自のデスクでランチをとる社員が多かったことを考えると、大きな変化である。また、これまで年に2回程度だった社内イベントも、移転後はキックオフミーティングを皮切りに盛んに行われている。クライン社長もオープンスペースに頻繁に姿を見せ、社員との交流を図っているという。

本社機能を統合した新たなオフィスを足掛かりに、一層の飛躍と発展が期待される。

プロジェクト詳細
企業名 ドレーゲル・メディカルジャパン株式会社、ドレーゲル・セイフティージャパン株式会社
拠点部門 本社
所在地 東京都品川区上大崎2-13-17
施設 目黒東急ビル
移転時期 2014年9月
CBRE業務 本社移転プロジェクトマネジメント

 

上記の記事の内容は オフィスジャパン誌 2014年冬季号 掲載記事 掲載当時のものです。

他カテゴリの記事を読む

関連記事

旅行業界 移転ケーススタディ Booking.com

ケーススタディ

2016年4月11日

新カスタマーセンターの構築で事業成長の促進を目指す。 オンライン宿泊予約サイト世界最大手「Booking.com」の日本法人、ブッキング・ド...

ジボダン ジャパン株式会社

ケーススタディ

2015年9月29日

R&D施設は重要な営業拠点。 徹底した安全・環境対策で実現した都心の本社オフィス兼R&D拠点構築。 世界的香料メーカーの日...

ダイソン株式会社

ケーススタディ

2014年4月16日

コールセンターも自社内に併設。社員同士の連携を重視し、新たな価値を生み出す、 “エンジニアの会社”としてのオフィスづくり。 ダイソンは昨年...