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ビー・エム・ダブリュー株式会社

No.1ブランドがさらなる高みを目指した、国内初・最大級の体験型販売拠点。
「BMW GROUP Tokyo Bay」構築プロジェクト。

BMW

今年で創立100周年を迎えるBMWが、2016年7月、東京:お台場に国内最大級のショールームを開設した。同社が満を持して設立した新拠点はいかなる機能を有し、どのような存在意義を持つのか。それは、どのように構築されていったのか。旗艦ショールームの新設プロジェクトを取材した。

BMWの旗艦ショールーム人気スポット「お台場」に誕生

BMW

東京都が策定した7番目の副都心として、現在も開発が続く東京臨海副都心。いくつもの特別区にまたがる442haの広大な東京ベイエリアである。そのなかにあって、台場・青海エリアは、「フジテレビジョン本社」をはじめ、「ヒルトン東京お台場」や「グランドニッコー東京 台場」などの宿泊施設、「アクアシティお台場」「デックス東京ビーチ」「ダイバーシティ東京」「ヴィーナスフォート」といったショッピング&グルメ施設、大観覧車で知られる「パレットタウン」や「船の科学館」などが集まる一大商業地域。休日ともなれば、若者を中心に数多くの人々で賑わう人気スポットだ。

その活況を呈するエリアに、新たな集客施設が誕生した。それがBMW Japanが満を持して開発した、日本最大級のブランド体験型販売拠点「BMW GROUP Tokyo Bay」である。

100年の歴史を刻み続けた超優良企業BMW

BMW

BMWの歴史は1916年、ドイツ:バイエルン州における飛行機のエンジン開発から始まり、今年でちょうど100周年を迎えることになる。その後、「インディビデュアル・モビリティ」を基本理念に据え、個人の移動手段としての四輪車・二輪車の開発に乗り出し、ドライビングの楽しさを提供してきた。特に、プレミアムと呼ばれる高級車分野に特化することをブランド・バリューとしており、そのコンセプトに基づいた商品やサービスの提供を社是としている。さらに、世界的に有名なロールスロイス、MINIという2つのブランドを吸収して確固たる地位を築き上げ、ワールドワイドにおけるプレミアム・カーのセグメントでは販売台数、利益率ともに11年連続トップの座を守り続けている。まさに質・量ともにNo.1の超優良企業である。

「当社は一見、マーケティング重視の企業に見られますが、実態はテクノロジーとクオリティに重きを置くエンジニアリング会社であり、質実剛健を旨としています。また、環境対策にも力を入れており、一部の工場では100%再生可能エネルギーを使用するなど、最先端の都市型工場の運営でも知られているのです」。そう語るのは、今回のショールーム開発の責任者であるプロジェクトディレクター、伊集院正行氏だ。その言葉通り、すべてのエンジンはドイツとオーストリアで製造されたBMWスタンダードの品質を堅持している。また、地球に優しい組立工場は世界各国に広がり、従業員数は10万人を優に超えているという。

BMW
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BMWのドイツ本社(BMW AG)が日本に進出したのは1981年のこと。「各国の販売会社の完全子会社化」という世界戦略の下、当時の日本での正規代理店を買収して、100%出資会社として日本法人のビー・エム・ダブリュー株式会社が誕生した。国内で耳にするBMW Japanは、その通称である。また、販売面においても、1989年にはBMW東京を、2007年にはBMW大阪を100%出資の販売ディーラーとして設立するなど、特に都市部においては、直営店の戦略を取っている。例えば、メルセデス・ベンツなどは販売全体の60%を大手正規代理店に依存しており、このプレミアム・カーブランド2巨頭の販売戦略は大きく異なる。

「現在、BMWの販売拠点は、直営店だけでも各都道府県に最低1拠点、全国で186あり、そのすべてに『駆けぬける歓び』という、走る楽しみを提供しようとする意識が浸透しています。その集大成が今回のBMW GROUP Tokyo Bayなのです」(伊集院氏)。

悲願の大型ショールーム開発紆余曲折を経てようやく実現

BMW
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実は、こうした日本市場における大型の投資計画が、最初に立案されたのは10年ほど前のことだった。当時のプレミアム・カーの市場では、ショールームの大型化がトレンドになっていたのである。

その背景にあるのが、顧客ニーズの多様化だ。カスタマーの志向性の変化に合わせ、どのメーカーも、車種のバリエーションを増やしてきた。BMWも例外ではなく、かつては3・5・6・7シリーズという4つのバリエーションしかなかったが、現在では1・2・3・4・5・6・7の各シリーズに加え、Xモデルやロードスターなど多様な車種を揃えてきた。

プレミアム・カーと呼ばれる高額商品への購買意欲をそそり、購入の決断を迫るには、実際に見て、試乗してもらうのが最良の方法であることは言うまでもない。そのためには、以前のような4、5台の展示車しかない小さいショールームではなく、大型化してすべての車種を展示する必然があったのだ。

BMW
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当時は、大型ショールームの新設に加え、古いショールームの建て替えなど、いくつかの投資案件が検討されていた。だが、この計画に水を差したのが、2008年のリーマン・ショックであり、2011年の東日本大震災だった。「従来から独自資本ならではの慎重な投資姿勢を堅持してきました。社員を大事にするためには、投資で失敗するわけにはいかないのです。ですから、リーマン・ショックの際には、即座に全世界の投資を凍結し、F1からも撤退するという決断が下せたのです。長らく収益性トップを維持していられるのも、こうしたドイツ本社の意思決定があったからこそでしょう」(伊集院氏)。

その本社から、ようやく当プロジェクトの承認が下りたのは、今から3年前の2013年のこと。都市部の販売強化戦略を担う、日本最大級を誇るブランド体験型の大型ショールームである。

候補地は3ヶ所あったが、その中から選ばれたのが、都心からほど近い東京臨海副都心の青海エリアだった。東京都による公募の末に落札したのだが、都は2020年に開催される東京オリンピックに向けて、ベイフロントをインターナショナルなイメージに演出したいと考えていた。BMWの進出は、その意向にもマッチしていたことが奏功したのかもしれない。約2万7000㎡の広大な土地は、都との12年間の定期借地契約だが、当然、長期継続使用を前提に考え、地下40mの硬い岩盤に111本の杭を打つことで、災害に対する堅牢性を高めている。

同社は、ブランド戦略の一環として、いち早くCI(コーポレート・アイデンティティ)を導入したことでも知られている。創業当時の事業である飛行機のプロペラをモチーフとした、お馴染みのエンブレムが商標登録されたのは、1917年のことである。ちなみにそのデザインは一見、同じに見えるが、時代に合わせて字体などが微妙に変化しているという。CIである以上、世界中のショールームが同じコンセプトに基づき建設されているのは当然である。それを厳格に守るために、ドイツ本社には、工場担当やショールーム担当などの特定分野に特化した、80名以上の専門のデザインスタッフがおり、世界中でプロジェクトを進めている。

「ですが、今回は土地の所有者である東京都から、敷地の使い方から建物の形態まで、いくつもの要請がありました。その要求に応えるため、建築コンペによって、デザイン会社を選定したのですが、クリエイティブなアイディアとCIを、どのように融合させ、本社スタッフと調整するかに苦労しましたね」(伊集院氏)。

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また、BMW Japanには建築や設計、開発の推進に精通し、プロジェクトを束ねる人材がいなかったため、外部のプロジェクト・マネジメント(PM)会社を参加させる必要があった。コンペの末、CBREに決定し、BMWサイドは伊集院氏とアシスタントの計2名に、随時CIやIT、購買などのスタッフが加わったほか、CBREスタッフが2~4名という陣容でプロジェクトが本格スタートした。CBREが評価されたのは、英語のレポーティング力、ゼネコンをコントロールするノウハウに長けていたからだという。「プロジェクトの週ごと、月ごとの進捗状況はもちろん、変更点があればその都度、ドイツ本社にレポートを提出して、情報を共有する必要がありました。特にコストの変更は、メンバー全員が把握していなければならなかったので、コストコントロールシートの活用が、大きくものをいいました。43億円という巨額の投資で、しかもドイツとの情報交換を行いながらという手間のかかる作業でしたが、スケジュールも予算も計画通りに完遂できたのはCBREのおかげです」(伊集院氏)。

CIプラス、ジャパンオリジナル旗艦店にふさわしい風格

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今回の「BMW GROUP Tokyo Bay」の開発にあたっては、いくつかのテーマがあった。戦略面では、コーポレートショールームのようなブランドショップを作るのではなく、あくまでも販売拠点にブランド要素を加味したものであること。機能面では、BMW全モデルを見て、試乗できること。できれば公道では試せないテスト走行が可能なこと。ブランド体験型と呼ばれる所以である。またデザイン面では、世界標準であるCIを重視しながらも、ジャパンオリジナルを表現することだった。

こうしたテーマに基づいて建設されたショールームを、実際に見てみよう。場所は新交通ゆりかもめ「船の科学館」駅から徒歩3分。「青海」駅からも徒歩5分という恵まれた立地にある。近づくとまず目に入るのは、お馴染みのロゴマークをあしらった大型のパイロンだ。敷地北側にはフェンスがなく、隣の敷地へと続く開放的なプロムナードが続いている。賑わいの創出を目的に、都が要望したものだ。前面道路を背に立つと、右手にBMW、左にMINIのショールーム、その間にエントランスであるセンター棟、奥のドライビングエリア脇に設置されたサービス棟という4棟構成の配置になっている。

カフェを併設したエントランスから、右手に広がるBMWのショールーム。開放感にあふれた、奥行きのあるガラス張りの壁面に沿って、ずらりと展示された車の眺めは、まさに壮観の一言。「ドライビングギャラリー」と名付けられた展示スペースから通路を隔てて、接客用の「セールス・コンサルタントワークプレイス」がある。ドライビングギャラリーのグレーと、通路のベージュのタイル、そして白の壁面はCIに基づいたデザインだ。

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90%がCIに基づいたデザインや仕様だが、残りの10%にジャパンテイストが盛り込まれている。その1つが、随所にちりばめられた日本人が好む木素材の床や壁だ。天然木をあしらった和のテイストが、無機質になりがちな空間に、落ち着いた雰囲気を醸し出している。

壁面を黒に統一したMINIのショールームでも、同様のテイストを取り入れている。

接客ブースの手前には、BMWの関連書籍を揃えた「ブックシェルフ」、その奥には自分好みに仕立てられる内外装の例を示した「インディビジュアル・コーナー」、小さなカフェブースの「イセッタ・バー」、BMWブランドの自転車や小物を集めた「BMWライフスタイル」の展示販売コーナー、二輪車を展示した「モトラッドコーナー」などのスペースがある。

このショールームでは、すべての車種の試乗ができる。通常の試乗は、周辺の公道で行われ、15分、20分、30分のコースがあり、最長のコースは晴海、銀座、レインボーブリッジを経由して最高の景色を体験しながらのドライビングが楽しめる予定もある。

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そしてもう1つの目玉が、ショールームの奥に設けられた「ドライビングエリア」だ。ただ単にインフィールドの試乗スペースのみならず、公道と同じアスファルトを敷いたコース上に水を流し、滑りやすくした上での緊急時のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を体験できるフルブレーキングテストが行えるほか、様々なデモンストレーションが可能だ。周囲には、安全性に配慮し、屈強なクラッシュバリアが設置されている。

さらにもう1つ特筆すべき存在がセンター棟だ。都から土地を借りる条件として、MICE(マイス=ミーティング・インセンティブ・コンファレンス・エンターテインメント)の要素を盛り込むことが盛り込まれていた。そのために作られたのが、300名が収容できるイベントスペースである。世界的にもハイクオリティな6m×3.5mの大型スクリーンを設置したこの空間は、ディーラー会議や社内のスタッフミーティング、プレスを集めた新車発表会といった社内イベントのほか、外部にも貸し出されている。すでにドイツの薬品会社のワークショップが、年内に15回計30日分も予約されているほか、今年末までの70%はスケジュールが埋まっているという盛況ぶりだ。

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「今回のプロジェクトは、『ライトハウスNL(LH・NL)』と名付けられました。ライトハウスは灯台、NLは直営店のことで、つまりは全国に広がる直営店186、ディーラー60社のショールームすべての新基準を作りたいという願いが込められています。幸い、「BMW GROUP Tokyo Bay」は、BMWのTHE NEXT 100YEARSを彩るにふさわしい完成度で仕上がったと自負しています。舞台は整いました。あとはステージに見合った実績を残すことが、我々の課題でしょう」。そう語る伊集院氏の言葉には、確固たる決意が込められていた。

プレミアム・カーのトップブランドの、さらなる躍進に注目したい。

プロジェクト詳細
企業名 ビー・エム・ダブリュー株式会社
施設 ショールーム、試乗エリア、認定中古車展示、簡易整備用ワークベイ、電気自動車用充電設備、
ライフスタイルショップ、カフェ、会議ホール等
所在地 東京都江東区青海2-2-15
展示 BMW 28台 MINI 11台 BMWモトラッド 10台
試乗車 60~70台(最大100台)
開設時期 2016年7月9日グランドオープン
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上記内容は BZ空間誌 2016年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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