050-5447-7862

平日 9:00〜17:30

物件を探す

事業用不動産のあらゆるニーズを網羅するサービスと豊富な実績で、お客様の課題を解決する最適なソリューションをご提案いたします。

お役立ち情報

CBREが手掛けた、さまざまな業種・規模の移転事例のご紹介を始め、オフィスや物流拠点の移転に役立つ資料・情報をご提供しています。

マーケット情報

独自収集したデータを元に、不動産マーケットの市況を分析予測し、市場変化をいち早く捉え、ポイントをまとめた市場レポートを配信しています。
また、物件レポート、業界トレンド情報など、事業用不動産の最新情報、トレンドを配信しています。

CBREについて

事業用不動産の分野において、世界有数の企業であるCBRE。日本国内におけるその強み、拠点、会社概要をご紹介します。

ヘルプ

物件検索の使い方や、会員サービス、よくあるご質問など、当サイトをより便利にご利用いただくための情報をご紹介します。

仲介業者様はこちら

賃貸オフィス・事務所の記事

ニッサン パビリオン|プロジェクトケーススタディ

ニッサン パビリオン

横浜みなとみらい21地区にオープンし、8月1日から10月23日まで期間限定で公開された体験型エンターテインメント施設「ニッサン パビリオン」。「人間の可能性を拡張する」をコンセプトに、日産自動車が描く未来の暮らしや社会を「街」として具現化した施設には、従来のモーターファンのみならず、自動車離れが加速する若年層も多数来場したという。ブランドロゴの刷新、新型EVや新型フェアレディZの発表など、2020年を特別な年と捉える日産自動車。パビリオンを通したブランド発信について話を聞いた。

体験を通してブランドを発信。
「技術の日産」がつくりあげた、
ワクワクがあふれる未来の街。

ニッサン パビリオン

これからの日産を打ち出す、特別な年であった2020年

電気自動車「日産リーフ」の発売から10年。EVムーブメントを牽引してきたこのクルマが生産累積台数50万台を達成した2020年、日産自動車は企業を象徴するブランドロゴを約20年ぶりに刷新し、同時に新型クロスオーバーEV「日産アリア」を世界初公開した。2020年は、日産にとって新たな企業像や次なる方向性を打ち出す、まさにメモリアルイヤーと呼ぶにふさわしい1年であった。

自動車業界は「100年に1度の大変革期」を命題に掲げて久しく、CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)を軸にした未来のモビリティ社会の実現に向けて変化の真っ只中にある。GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)を筆頭とするテック企業の台頭が著しい昨今だが、これまで「走る・曲がる・止まる」を追求し、暮らしと社会を支えてきた自動車業界は、果たして10年、20年先にどのような未来を見せてくれるのだろうか。しかも世界は未曾有のコロナ禍を経験し、東京オリンピックも延期。先行きが見えない状況下でもある。

そのようななか日産は、2019年に結んだ横浜市との連携協定のもと、「人間の可能性を拡張する」をコンセプトに、未来のモビリティ社会を体現した体験型エンターテインメント施設「ニッサン パビリオン」をオープン。メモリアルイヤーを盛り上げる期間限定の特別イベントで、8月1日から10月23日まで、本社と同じ横浜みなとみらい21地区にある約1万㎡の敷地に、「技術の日産」が思い描く近未来の街をつくり、ブランド関連のニュースを発信すると共に訪れた多くの来場者を楽しませた。

体験することを通して爆発的なインパクトを与えたい

ニッサン パビリオン

「自動車業界ではCASEを中心に変革が続いていますが、実際に未来が近づいてきたそのとき、現在、業界にいる我々がキープレイヤーでありつづけられるかどうかは、未知数です。当社自身、走りながらそのことを考える毎日ですが、他社さんとは異なる方法で挑戦し、お客様をワクワクさせるのが日産のDNAです。『クルマが移動手段を超えたパートナーになる』、まずはパビリオンで日産自動車の思い描く未来を体験していただきたいと考えました」。そう話すのは、今回のプロジェクトを主導した総責任者で、パビリオンの館長も務める日産自動車グローバルブランドエクスペリエンス部主担の松井啓太氏だ。従来の自動車業界といえば、モーターショーなどへの出展を通してモーターファンを中心に新たなクルマ像を訴求してきた。しかし近年は世界最大級の家電見本市「CES」にも出展するなど、クルマというプロダクトがもたらす価値や機能の広がりに合わせ、発信チャネルの裾野を拡大している。「人間の可能性を拡張する」をコンセプトに掲げたこのパビリオンも、その一つだ。そのなかにあって、体験を意味する「エクスペリエンス」を冠し、体験を通して日産というブランドを知ってもらうことをミッションとする松井氏の部署の意義は大きい。「ワクワクするという感情は、頭ではなく体験から生まれます。運転免許がない、クルマへの関心が薄い方にも体験いただくため、テーマパークへ遊びに行くような感覚でパビリオンに来ていただきたいと企画しました。2020年は国際的なスポーツイベントが計画され多数のインバウンドが想定されたので、世界が驚くようなイノベーションをお見せしようと、2018年の秋から計画を進めて いました」。

2020年は、本来ならばオリンピックイヤーだったこともあり、日産のみならず、多くの企業がこの年に標準を合わせてビッグイベントを計画していたことは想像に難くない。加えて冒頭に記したように、日産にとっては初代リーフ発売から10年を迎える節目の年でもあった。だからこそ、他に埋もれるような中途半端なことはできず、「やるからには爆発的なインパクトを残す規模と内容でやるべき」と、松井氏は計画をスタートさせた当時を振り返る。

参画した外部業者は約30社 急ピッチでプロジェクトを遂行

ニッサン パビリオン

2018年冬からは経営陣とも会議を重ね、本社近くにある横浜市所有の土地を開催地として借りることが決まった。一方、パビリオンの規模や内容、費用感については検討に時間を要した。経営陣からようやくゴーサインが出たのは、元号が平成から令和に変わる直前の2019年4月末だったという。「当初は2020年5月のオープンを予定していたので、予算承認時点で残された期間は1年。実にギリギリのタイミングでした。建物ができたら、新型コロナウイルス…開催そのものが危ぶまれました。地域や関係者からあきらめるなという激励もあり、イベントをデジタル化し、自治体のガイドラインに沿って来場者とスタッフに万全の安全体制を敷くことで、予定を3ヶ月遅らせて8月オープンに漕ぎつけることができました」。

プロジェクトには日産社内の15の部署が携わったほか、建設やコンテンツ制作などを担当した外部業者はプロジェクトマネジメントを手掛けたCBREをはじめ30社近くにのぼる。さらにはそれぞれの組織に50人規模のスタッフが集まったというから、プロジェクトの大きさはもちろん、急ピッチで進行するスケジュールやコスト管理、コミュニケーションなど、プロジェクトの遂行に向けたハードルの高さが窺いしれる。「経営に直結する事由でプランに変更が生じたり、魅力を磨き上げるために数々の修正を加えるなど、社運を賭けたプロジェクトということで、関係する皆さんに歩み寄っていただいた場面も多々ありました。とにかく時間がない。その上、仕事の手順や思考が異なる、モノづくり(ハード)とコトづくり(ソフト)を同時進行する前代未聞のプロジェクトでしたが、リアルタイム3DツールやVRなどテクノロジーを設計に導入して完成形を共有し、意思決定を進めました。効果は効率化にとどまらず、こんな世界観を実現させたいというチーム全体のモチベーションにつながったと思います」。

パビリオンの建築工事は2019年8月から始まり、2020年4月に完成。その後、国の緊急事態宣言が解除されるタイミングで引き渡しになった。延期した一般公開予定日、8月1日を目前に、世間では新型コロナウイルスの感染者数が急激に増加。「開幕を祝う気持ちと不安が入り混じる中で初日を迎え、その後も手探り状態が続きました」と、松井氏は当時の胸のうちを語る。

クルマではなく、コンテンツで“技術の日産”を訴求

ニッサン パビリオン

一般オープンに先立ち、7月31日には、日産自動車社長兼CEOの内田誠氏をはじめ、横浜市長や神奈川県知事列席のもとでオープニングセレモニーが開催された。時系列を遡ることになるが、日産は1933年に現在の横浜工場(横浜市神奈川区)で創業し、2009年にグローバル本社を横浜みなとみらいへ移転。その後、横浜市とは電気自動車の普及をめざすプロジェクトや自動運転技術を活用した交通サービスの実証実験、さらには横浜マラソンなどのスポーツイベントや文化事業で連携し、2019年8月には本社移転10周年を機に、横浜市と連携協定を締結するに至った。今回のパビリオンもその一環として開催され、横浜市からは市の所有する約1万㎡の敷地を期間限定で借りたほか、地域発のイノベーションの創出を目的に、多数の地元企業や団体がこのプロジェクトに協力したという。

芝生の緑が映える敷地に誕生したパビリオンは、鉄骨造1階建で延床面積約4,000㎡。デザインは日産のグローバルデザイン本部が担当し、新しいブランドロゴをモチーフに円形状に組まれたETFE膜のファサードが、来場者に未来的なイメージを抱かせる。

パビリオン内では、エンターテインメントやアート、メディアなどの世界で活躍するクリエイターたちが、パビリオンのコンセプト「人間の可能性を拡張する」をテーマにして手がけた各種コンテンツやインスタレーションなどを展示。プロテニスプレイヤー大坂なおみ選手とバーチャルテニスをプレーできる「NAOMI BEATS」では、見えないものを可視化するインビジブル・トゥー・ビジブル(I2V)と呼ばれる日産の技術がプレー中の行動予測に使われ、来場者たちはeスポーツを楽しむ感覚で日産の技術を体験できる場となっていた。

また、パビリオン内に併設されたカフェ「NISSAN CHAYA CAFE」では、地元神奈川県産の野菜を使った料理やオリジナルスイーツ、横浜ビールとコラボした日産オリジナルビールなどを提供し、客のテーブルへ料理をサーブする際には、日産の自動運転支援技術を応用した無人給仕ロボット「プロパイロットウエイター」が活躍。このカフェには日産のエネルギーエコシステム「NissanEnergy」が導入され、太陽光で電気を作り、日産リーフが電気を蓄え、夜間はカフェの照明に電気を供給する。カフェの野菜の水耕栽培には、リーフの使用済みバッテリーから電源が供給される。さらに、世界初の試みとして、EV来場者が現金の代わりにパビリオンに給電することで、電気で駐車料金を支払う体験を導入した。移動する蓄電池とも呼べる電気自動車が、未来の暮らしに寄りそうシーンを大いに予感させるものとなった。

満足のいく手応えを得られた若年層に向けたアプローチ

ニッサン パビリオン

クルマではなく、技術の日産が思い描く近未来の街や暮らしの体験を目的にしたこのパビリオンは、10月23日にその役目を無事に終えた。コロナ禍での開催ではあったが、来場者は6万6千名を超え、デジタル体験は1000万を超えた。特に9月のシルバーウィーク以降は客足が伸びたという。そのなかで注目したいのが来場者属性だ。驚くことに来場者の7割以上は日産車のユーザーではなく、さらにその4割はクルマを所有していないことが判明した。これは当初掲げた狙い通りだったと、松井氏は語る。「クルマの展示を中軸にした空間設計のショールームでは、クルマや技術がパートナーになって未来の暮らしが変わることを想像していただくには難しさがありました。クルマを持たない若い世代に対しては、そもそものアプローチができていないという課題もありました。そのため、パビリオンは若い世代の方と接点が持てるようにエンタメ、フォトジェニックを前面にこれまでは出会えなかった方にも、日産の技術が支える未来の社会や暮らしを発信できたと感じています」。

期間限定を惜しむ声も寄せられたが、常設となると場所や投資検討に時間を要し2020年を逃してしまう。期間限定であっても、日産にとって節目となる2020年に社員や家族、メディア、ビジネス関係者や周辺地域など、日産を応援するすべての人々に同社がリードする最先端のイノベーションに触れもらう機会創出を最優先したという。

「自動車業界は100年に1度の大変革期にあり、加えて世界は新型コロナと共に歩まなければならない状況です。誰もが想像し得なかった環境変化の最中で、パビリオンで未来の街づくりに参画できたことは貴重な経験です。また、日産の底力を具現化することで、社員一同が改めて自信を培う機会にもなりました。これからも日産に注目して、未来の答え合わせをしてください」。

日産創業者、鮎川義介氏の言葉に「他がやらぬことをやれ」というものがある。生活様式や環境の変化など、先行きが予測できない時代だからこそ、技術の日産が切り拓くこれからの未来に注目したい。

ニッサン パビリオン

プロジェクト概要

企業名 日産自動車株式会社
施設 ニッサン パビリオン
所在地 神奈川県横浜市西区みなとみらい6-2-1
オープン 2020年8月1日~10月23日
規模 敷地約1万㎡、延床面積約4,000㎡
CBRE業務 基本計画・プロジェクトマネジメント

ご移転計画のあれこれ、お気軽にご相談ください

CBREでは事業用不動産のプロフェッショナルチームが、お客様の経営課題や不動産にかかわるさまざまな課題解決をサポートします。

上記内容は BZ空間誌 2020年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

記事を探す

物件をお探しのお客様専用窓口

CBREの記事をお読み頂き誠にありがとうございます。
ご移転のプランニングや優良未公開物件の仲介をご用命の際は右記のフォームからお問い合わせください。

物件相談フォーム