空室率は一時的にやや上昇するも、マーケット全体では好調を維持。
仙台駅東口大型物件で空室消化
当社の調査による2016年9月期の仙台市の平均空室率は、前期(同年6月期)から0.2ポイント上昇し、6.9%となった。空室率の上昇は、2015年12月期以来となる。
上昇の主な要因としては、リニューアル工事のため募集をストップしていた物件が、工事完成に伴い募集を再開したことが挙げられる。競争力のある物件であり、今後の空室消化が予想される。その他の物件は、前期同様、小規模ではあるが、館内増床・新規開設等により空室消化が進んでおり、マーケット全体としては好調を維持している。大型空室の確保も難しい状況となってきている。
特に好調なエリアとしては、「仙台駅東口」エリアが挙げられ、大型物件の空室消化が目立った。テナント需要はこれまで同様、「仙台駅西口」エリアに集まる状況に変わりはない。しかし、西口エリア周辺では、築浅物件を中心に空室消化が進み、テナントが希望する面積を確保できる物件は限られてきている。そのため、大型空室がある東口エリアに、今まで以上に目が向けられるようになったものと考えられる。また、仙台駅の東西自通路が拡張され、東口エリアへのアクセスが容易になったことによって競争力が増し、同エリアでの成約案件が増えてきたことも、好調の要因と思われる。大型面積の成約情報も出てきており、同エリアの空室消化はさらに進むものと予想される。
築浅物件で賃料引き上げの動き
オーナー側の動きとしては、一部の空室消化が進んだ築浅物件で、新規募集賃料を引き上げる動きが出てきている。その影響もあり、仙台市全体の成約賃料も上昇が見られる。既存物件でも、引き続き空室消化が進んでおり、賃料の引き上げまでには至っていないものの、決して悪い状況ではない。新築物件の供給は、2017年に1棟予定されているが、それ以降は、計画中の物件は見られない。
仙台以外の東北主要都市については、需要・供給共に安定した市況となっている。移転集約等の潜在的なテナント需要はあるが、まとまった面積の確保は難しい。今後は新築案件等もあり、これらが成約につながっていくようになると、各エリアで動きが出てくるだろう。仙台支店 岩城 和利
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
一部の大型空室の顕在化により、空室率は若干上昇。ただし、拡張移転や館内増床などテナントの前向きな動きが多く見られ、空室率は緩やかに下降に向かうものと予想される。
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郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 |
いくつかの物件で解約の動きが出てきている。テナント需要は停滞気味であるが、潜在的な需要は多いため、空室は徐々に消化されると予想される。
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盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 |
新設・移転の動きは散見される程度。主要ビルに空室は少なく、大型面積の空室はより希少性を増している。
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倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 |
大型二次空室(予定)も消化され、空室が希薄な状況が続いている。そうした中、新規の開発案件情報が出てくるようになり、供給側にも積極的な投資を検討する企業が見られる。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。