グレードA空室率が6期ぶりに上昇、新築ビルのテナント需要に減速感も。
移転に慎重なテナントサイド
シービーアールイー(株)調査による、2016年9月期の東京グレードAビルの空室率は、2.7%と対前期(同年6月期)から0.8ポイント上昇した。空室率が上昇するのは6期ぶりとなる。同様に、東京グレードAマイナスについても、空室率は2.5%で、対前期比0.2ポイント上昇した。
今年竣工したグレードAビルの大多数は、満室もしくは高稼働で竣工を迎えていたが、今期以降、来年にかけて竣工するビルにおいては、テナント確保に時間を要している。その理由としては、昨今の右肩上がりのマーケットにより、オーナーサイドが賃料を非常に重視し、高額賃料での成約を期待していることが挙げられる。
一方、テナントサイドは、年初からの株価や為替の変動により、経済の先行きが不透明な状況から、賃料が高水準な新築ビルへの移転について、より慎重に検討する傾向が見られる。また、京橋・銀座・内幸町・赤坂・六本木といった限定されたエリア内において、新規供給や潜在空室が非常に多くなってきており、それぞれの成約状況について、様子を見ている状況である。今後、空室を抱えたまま竣工するビルがさらに増えてくると、グレードAビルについては、賃料の調整局面を迎えることも予想される。
割安感ある既存物件に引き合い
一方、既存物件におけるテナント需要は、引き続き堅調である。新築物件と比べると、賃料に割安感があり、空室が発生しても館内増床やテナント募集開始後6ヶ月以内に成約するなど、マーケットに募集物件として出てこないケースが多く、オールグレードの空室率が低水準である要因となっている。
今期のサブマーケットの主な動きとしては、グレードAビルの「品川・田町」エリア、グレードAマイナスの「城南」エリアにおいて、大幅に空室率が低下した。昨年竣工した「品川シーズンテラス」や、「東京フロントテラス」「品川シーサイドパークタワー」等、主要3区(千代田・中央・港)の新築や大型ビルよりも割安感があるビルに注目が集まり、成約が進んでいる。現状では、主要3区での空室率は引き続き低水準で推移し、賃料も上昇傾向にあるため、今後も割安感のある既存ビルのサブマーケットが注目されることが予想される。
ビル営業本部 明神 弘幸
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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主要3区大規模ビル | 25,000~46,000 円/坪 | 新築ビルにおいて空室消化スピードがやや低下している。 | |
主要3区中小規模ビル | 16,000~28,000 円/坪 |
築浅・好立地物件への需要は引き続き多く、空室率は低水準で推移している。
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周辺7区大規模ビル | 19,000~36,000 円/坪 |
館内増床等で順調に空室消化が進んでおり、特に割安感のある物件については引き合いが増えている。
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周辺7区中小規模ビル | 15,000~25,000 円/坪 |
需要は引き続き多いものの、築年数・立地によって状況が異なる。
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23区内大規模ビル | 13,000~20,000 円/坪 |
主要・周辺の10区で大型空室が少ないため、面積が大きく確保できる物件については需要は多い。
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23区内中小規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 |
築年数にかかわらず好立地の物件への需要は多いが、それ以外の物件については苦戦しているものも多い。
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立川 | 10,000~20,000 円/坪 |
新規出店、エリア内移転の需要は少なからず見られるが、空室在庫が少なく賃料も高止まり状態のため、物件の選択肢が少なくなっている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。