空室率は過去最低の1.1%を記録。大型面積確保の動きは建設中物件へ。
貸し手優位の状況続く
シービーアールイー(株)の調査による2016年9月期の札幌市の空室率は、前期(同年6月期)から0.4ポイント低下して1.1%となった。札幌市は他都市と比較しても、特に低い空室率を示しており、調査開始以来の最低値を更新し続けている。昨今、100坪以上のまとまった面積の空室消化が順調に進んでおり、築年数、ビルグレード、立地等を問わず、今期も大型空室が着実に成約に至っている。
主なテナント動向としては、事業拡大等による拡張移転、自社ビルから賃貸ビルへの移転といった動きが確認された。また、札幌駅・大通駅周辺エリアでは、建て替え計画が進んできたビルもあり、立ち退きの移転先として、同エリア内のビルで成約する事例もあった。
中小規模面積の需要としては、人材派遣業や教育関係等のサービス業の新規開設が見られ、設備水準や立地条件の良い物件で空室消化が進んでいる。また、大型空室が非常に少ない状況から、大型ビルでの解約があると、拡張ニーズを抱えた館内テナントの増床等で、早期に消化されるケースが増えている。
一方、オーナーサイドでは、高稼働を維持しているビルを中心に、新規募集賃料や成約下限賃料を引き上げる動きが増えている。また、入居テナントに対しては、再契約や更新時に、増額改定を打診する動きも見受けられる。テナントサイドは、移転を選択してもコストアップを回避することは難しい状況であるため、オーナーとの協議に応じるケースが多い。このようなオーナー優位のマーケットは、まだしばらく続くものと思われる。
新規供給に引き合い集中
今後の供給としては、2017年1月末に「札幌フコク生命越山ビル」の竣工が予定されているが、すでにテナントは内定しており、満室稼働予定である。
2018年3月末には、「札幌創世1.1.1区北1西1地区第一種市街地再開発事業」の竣工が予定されている。大通駅と地下通路で直結し、オフィス・ホール・放送局・図書館等で構成される大型複合施設となる。オフィスは、フロアプレートが約400坪あり、すでに大型面積を求める企業からの引き合いが多く見られる。こうした大規模な新規供給に、周囲からの期待と注目が日々高まっている。
札幌支店 眞田 基
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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札幌中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
テナント需要は多く、特に大型空室が少ない状況が継続している。
また、中小規模の空室消化も順調に進んでいる。 |
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地下鉄西11丁目 | 9,000~11,000 円/坪 |
札幌中心部での空室の品薄な状況により需要が流入し、一部のビルでは成約が確認された。
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創成川東 | 9,000~10,000 円/坪 |
大型空室が少ないため、中小規模の面積を中心とした動きが見られる。
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札幌駅北口 | 11,500~14,500 円/坪 |
依然として空室が少ないエリアではあるが、館内増床等によりさらに空室消化が進んだ。
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琴似 | 7,000~8,000 円/坪 | エリア全体として、新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。 | |
白石 | 7,000~8,000 円/坪 | エリア全体として、新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000~3,000 円/坪 | 大型需要は堅調だが、依然として物件供給が限定的な状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。