プラス目的の移転が依然活発、空室率は低下傾向で推移。
大型物件の確保が困難に
シービーアールイー(株)の調査では、2016年6月期の仙台市の平均空室率は、前期(同年3月期)から0.5ポイント低下して6.7%となった。
今期は、築浅ビル、既存ビルに関わらず、館内での増床事例が散見された。依然として、テナント需要が供給を上回り、空室率は低下傾向で推移している。仙台のオフィスマーケットは、引き続き好調であり、今後もこの状況は続くものと思われる。
テナントの移転動向を見ると、一部で縮小や撤退等の話が聞こえてくるものの、拡張移転やグループの集約移転、オフィス利用の効率化を図った移転等、前向きな動機のニーズがそれらを上回っている。そのため、市中心部の空室率は今後も緩やかに低下していくものと考えられる。大型のコールセンターやバックオフィス機能の移転の動きも見受けられるが、こうした状況下で、それらの需要に対応するような大型面積の確保は、依然困難となっている。
オーナーの動きとして、一部の築浅物件においては、稼働が安定してきていることを背景に、新規募集賃料を引き上げる傾向が見られる。築浅物件の人気は依然高いが、これらの賃料の上昇や空室が少なくなってきている状況から、需要は既存物件へとさらに波及していくものと予想される。
仙台駅周辺の活性化
仙台では、7月1日に「PARCO2」(地上9階・地下2階、延床面積約25,000㎡)がグランドオープンした。JR仙台駅の西側からペデストリアンデッキで直結しており、シネコンを兼ねた商業ビルとなっている。今後も、駅西口エリアでは、複数の商業ビルの開発が予定されている。
JR仙台駅周辺は、仙台市営地下鉄東西線の開通や「エスパル東館」の新規オープン、ホテル需要増といった景気の良い話題の多いエリアである。今後についても、駅周辺の新たな人の流れの創出や、インバウンド需要の喚起による、さらなる発展に期待したい。
仙台以外の東北主要都市の空室率は、安定して推移している一方、引き続き、大型面積が確保しづらい状況となっている。郡山においては、一部の大型空室が新規にテナント募集され、若干の動きが見受けられた。
仙台支店 相原健二
- 現在募集中の仙台市の賃貸オフィス
- 現在募集中の郡山市の賃貸オフィス
- 現在募集中の盛岡市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
拡張・新設の需要が多く、空室率の低下が続く。空室の消化に伴い、賃貸条件の引き上げを行う事例も見られる。
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郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 |
いくつかの物件で解約の動きが出てきている。テナント需要は停滞気味であるが、潜在的な需要は多いため、空室は徐々に消化されると予想する。
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盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 |
耐震物件を中心に高稼働を維持しており、募集区画が少ない状況が継続。エリア全体として需要・供給共に大きな動きはなく、安定した市況となっている。
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倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 |
昨年から予定されていた大型二次空室は消化の目途が立ち、引き続き物件は希薄。多賀城市に大型の新規空室が出ており、また2017年竣工予定の大型マルチ物件も着工し、今後の動向が注目される。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。