神戸:立地や設備に劣るビルでも空室率低下。/ 京都:オフィスビル供給の分母自体が縮小ぎみ。
神戸のオフィス市場
神戸の2016年6月期における空室率は、対前期(2016年3月期)比0.3ポイント低下し5.9%。これで9期連続の空室率低下となった。これが調査対象である神戸エリア全域のオールグレードビル平均空室率であることを考えると、駅近のグレードAビル・Bビルに限った場合、需給ギャップの境目とされる5%を下回るタイトな状況であることは容易に想像ができる。昨年末に竣工した「三宮ビルディング北館(延床面積約18,700㎡)」や代々木ゼミナール神戸校跡の「ベルヴュオフィス三宮(延床面積約5,600㎡)」等、募集空室を純増させながら空室率低下を続けている神戸の賃貸オフィス市況は、引き続き好調が維持されているといえるだろう。2021年竣工予定の「神戸阪急ビル東館」まで新規供給が予定されていないこともあり、稼働率が高く競争力のある一部のビルでは、成約下限賃料の引き上げや継続賃料の増額改定も見られるようになっている。立地条件や設備に劣るビル群でも、空室率は緩やかな低下を示しており、これまでの借り手優位な市場から潮目は変わったものと思われる。
京都のオフィス市場
京都における2016年6月期の空室率は、対前期比0.2ポイント低下の3.0%となった。前期の大幅低下(-1.0ポイント)に続き、さらに空室消化が進んでいる。
平均想定成約賃料については、対前期比0.8%上昇して11,590円/坪となった。空室率の低下に伴い、成約賃料の上昇傾向も底堅いものとなってきている。
京都駅前は、多くの物件で満室の状況が続いている。ニーズは一定程度あるものの、新規の空室確保は難しく、エリアを変更せざるを得ないケースも少なくない。特に四条烏丸では、空室が長期化していた物件での入居率の上昇が見られるようになってきた。
京都では、オフィス床の新規供給が長期にわたってストップしている。逆に、既存オフィスビルは、観光都市京都という土地柄、オフィス以上に需要と収益が見込める宿泊施設等に建て替えられる傾向にある。つまり、オフィス市場における供給量の分母自体が縮小している状況といえる。需給バランスが逼迫したマーケットが、長期にわたって続いていくことは間違いなさそうだ。
関西支社 皆藤 誠一郎 崎山 愛子
- 現在募集中の神戸市の賃貸オフィス
- 現在募集中の京都市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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三宮~神戸 大規模ビル |
12,000~18,000 円/坪 | 大型空室が消化され、引き続きマーケットは安定している。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
8,000~13,000 円/坪 | ビルにより需要の強弱はあるものの、徐々に空室は消化されてきている。 | |
姫路 | 7,500~13,000 円/坪 | 大型空室が顕在化するも、徐々に消化していく見込み。 | |
明石・加古川 | 6,000~8,000 円/坪 |
需給ともに、オフィス市場は動きが少ない。 |
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阪神間 | 8,000~11,000 円/坪 | 新規供給もなく、優良物件の品薄状態が続いている。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
15,000~18,000 円/坪 |
まとまった面積の確保が難しく、継続して需給バランスは逼迫。満室の物件も増えてきている。
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四条烏丸 中小規模ビル |
9,000~14,000 円/坪 |
空室消化が進んでおり、優良立地の物件では空室確保が難しい状況にある。割安感のあった物件では、賃料の上昇も見られる。
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京都駅前 | 12,000~18,000 円/坪 |
空室がほとんどない状態が続いており、館内増床もままならない。成約賃料は上昇傾向にある。
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倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000~4,000 円/坪 |
市街地を中心とした100坪~300坪前後の倉庫兼事務所の需要は堅調だが、引き続き汎用性のある物件が少ない状況が続いている。
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倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000~4,000 円/坪 |
前期と比較してテナント需要に一服感があり、空室消化は停滞している。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。