市内全エリアで空室率が低下。名駅エリアの需給はさらに逼迫。
名駅空室率は1%台に
名古屋のオフィス市場では、新規供給が抑制されている中、業容拡大による新規開設・館内増床等、積極的にオフィス床を確保しようとする企業の動きが見られる。
2015年6月期の空室率は、名古屋市全体で5.0%となり6期連続で低下、間もなく5%を下回る勢いとなっている。
対象オフィスゾーンの全エリアで空室率は低下しているが、特に「名駅」エリアの今期の空室率は1.8%と、対前期(同年3月期)比0.4ポイントの低下。テナント側から見ると、選択肢がほぼない状況と言える。「栄」と「伏見・丸の内」エリアの空室率も対前期比0.1ポイント低下し、それぞれ6.3%、5.8%となった。
「名駅」エリアの大型新規供給、「大名古屋ビルヂング」「JPタワー名古屋」の竣工が目前に迫っている。設備スペックや基準階面積の広さは、東京のグレードAビルと比較しても遜色なく、リニアの開業等でさらに利便性が増すと考えられる同エリアにおいて、多くの注目を集めている。
グレードA・Bビルの市況
名古屋グレードAビルの需給は、依然として逼迫している。空室在庫が少ない中でも、郊外からの移転、来客型テナントの新規開設、同グレードビル間の移転等、空室在庫を消化させる動きが「名駅」エリアに見られ、今期のグレードAビルの空室率は対前期比0.7ポイント低下の2.1%となった。一方、想定成約賃料は、対前期比で0.9%下落して21,250円/坪。グレードAビルの高稼働は継続しているものの、「名駅」エリアに動きが集中していることや、大型新規供給を来年に控えたタイミングであることにより、各ビルは、賃料設定には特に慎重な対応を見せている。
名古屋グレードBビルについても、空室率は低水準で推移している。今期については、移転後の空室顕在化、合併に伴う集約移転、館内減床等による空室が発生したビルもあり、対前期比0.1ポイント上昇して4.6%と2013年12月期以来6期ぶりの上昇となったが、新規開設、立地改善、自社ビル企業の分室等、新規需要は継続的に発生している。想定成約賃料は、前期と同額の11,850円/坪であるが、築浅ビルの中には、空室消化に伴い下限値の引き上げを行い、竣工時よりも高い水準で成約に至る事例が出てきている。
名古屋支店 武田稔
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
名駅 | 14,000~21,000 円/坪 | 市況は堅調に推移し、マーケットとしては一層タイトとなっており、館内増床もままならない状況である。 | |
名駅西 | 9,000~12,000 円/坪 | 名駅エリアと比較すると動きは緩慢。来客系のテナント需要は引き続き強いが、土日入館可能な対象物件は少ない。経年物件は継続的に空室が長期化。 | |
伏見 | 9,000~14,000 円/坪 | 伏見駅へのアクセスのよい経年物件や、コスト圧縮が可能な物件を中心に空室消化。一方で、会社合併に伴う大型空室が顕在化。駐車場確保可能な物件の需要は依然高い。 | |
栄 | 9,000~13,500 円/坪 | 館内の増減床の動きが活発。大型空室の確保可能な物件が市内全体で希少化しているため、栄エリアの大型ビルへの引き合いが増加。 | |
丸の内 | 8,500~13,000 円/坪 | 築浅物件が多く、かつ名駅に比べてコストメリットも出やすいエリアとして需要がある。比較的築浅の物件の稼働率が高まり、空室率は安定傾向。 | |
周辺都市(岐阜) | 7,000~9,000 円/坪 | 岐阜駅前では徐々に空室消化が進んでおり、駅前の大型空室は確保が困難な状況。 | |
周辺都市(三河) | 8,000~12,000 円/坪 | 刈谷市は需給が逼迫した状況が継続。岡崎市・安城市・豊田市は需要が増加するも空室消化には至らず。築年数が浅く設備水準を満たす物件が減少傾向。 | |
周辺都市(三重) | 8,000~11,000 円/坪 | 近鉄四日市駅周辺への引き合いが継続、駅至近物件は空室を消化。津駅至近の築浅、設備水準を満たす物件への需要も継続的。駐車場確保が懸案となり始めている。 | |
周辺都市(静岡) | 8,500~11,000 円/坪 | 市内で再開発の動きが見られる。テナントの増床等により、静岡中心部の空室が少なくなってきている。 | |
倉庫・配送センター | 2,700~3,400 円/坪 | 需要は引き続き活発。来年以降に新規供給予定はあるが、現状の供給不足は変わらず。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。