プラス要因の移転が目立つが物件により誘致は苦戦
神戸のオフィス市場
今期の神戸市の空室率は、9.4%となり、前期(2014年3月期)の9.6%から0.2ポイント低下した。テナント動向としては、事業所の立地改善・増床移転や、サービス業テナントのオフィスビルへの大型新規出店など、プラス要因の動きが目立ち、撤退や縮小などマイナスの動きを上回った。内訳を見ると、三宮駅前の中大型空室の消化が進む一方、元町・神戸ハーバーランドエリアや、築年数や立地、ビルグレードで劣る物件はやや苦戦している。
想定成約賃料は、対前期比0.2%下落の10,310円/坪となった。需給バランスは改善傾向であるものの、満室のビルが依然少なく各ビルが一定の空室を抱えている。また、テナントのコスト意識も引き続き高いことから、当面、賃料水準は横ばいで推移するだろう。
さらなるマーケット復調のためには、駅前物件は館内調整による中大型の面積提案、立地・ビルグレードの劣る物件は駐車場確保や受け入れ業態の柔軟化など、オーナー・仲介側の調整力により、移転・出店の動きを具体化させられるかが重要となる。
すでに京都駅前では、まとまった面積確保が困難に
京都のオフィス市場
京都市における2014年6月期の空室率は5.5%となった。前期3月期の6.4%から0.9ポイント低下したが、2013年12月期の7.3%と比べても、半年で1.8ポイントと大きく低下したことになる。
前期に引き続き、面積拡張といった前向きな動機の移転や、開発に伴った必要性の高い移転が空室率低下の要因である。
エリア別には、「京都駅前」周辺では引き続きワンフロアでまとまった面積を確保することが難しい状況である。「四条烏丸」周辺では、館内・館外問わず移転により徐々に空室を消化する動きが見受けられた。一方「烏丸御池」や「五条」周辺では、テナントの動きが少なかった。
京都市内において、分譲マンションやホテルの開発は旺盛であるが、オフィスについては好立地でハイグレードなビルに依然根強い需要があるものの、マーケットに影響を与えるような大型オフィスビルの新築計画が見られない。その結果、効果的な移転のために、既存ビルに対し柔軟性を持って移転を検討する事例も、見受けられるようになってきている。
関西支社 松田梓・名越正幸
- 現在募集中の神戸市の賃貸オフィス
- 現在募集中の京都市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
10,000~18,000 円/坪 | 三宮駅周辺の大型空室がなくなりつつある。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
7,000~13,000 円/坪 | 需給とも変化が少ない。 | |
姫路 | 7,500~12,000 円/坪 | 新規空室の発生と空室消化で一進一退。 | |
明石・加古川 | 6,000~8,000 円/坪 | 需給とも変化が少ない。 | |
阪神間 | 6,500~10,000 円/坪 | マーケット全体として需要が伸びず、空室の長期化が目立つ。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
13,000~18,000 円/坪 | 新築の供給がないため、既存の好立地物件などの空室が徐々に消化されている。まとまった面積の確保は非常に難しい。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
9,000~12,000 円/坪 | 比較的グレードの高いビルから稼働率が上ってきている。 | |
京都駅前 | 9,000~18,000 円/坪 | もともと供給が少なく空室率は低かったが、開発関係の需要で一気に空室消化が進んだ状況。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000~4,000 円/坪 | 大面積の空室は希少で、3,000/坪台前半での募集であればすぐ契約に至る。市街地の事務所兼倉庫の需要も多いが、空室は極端に少ない。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000~4,000 円/坪 | 新規出店や拡張移転等、前向きな需要が多く、好立地高機能物件においては、貸し手優位の状況となっている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。