需要は堅調に推移するも、今後数年間は物件不足が継続。
待たれる新規供給
広島のオフィス市況は、景況感の改善と地元本社企業のマツダの業績好調を背景に、新規開設が増加する一方、既存テナントの拡張移転・増床等のプラスの動きも見られた。また、建替計画に伴う移転需要が顕在化したことにより、築浅物件を中心に、既存空室の消化が進んでいる。
賃料水準はすでに底を打っており、築浅・リニューアル工事済の新耐震基準の既存物件では、成約賃料の上昇が見られる。ただし継続賃料の値上げには至っていない。
供給面では、市内中心部に、日本生命と広島電鉄が共同で建替を計画する複合オフィスビルが、2018年1月に竣工を予定している。また、JR広島駅周辺では、南口のB・Cブロック再開発事業に加え、今年5月に、二葉の里再開発地区最後の5街区約14,800㎡の一般競争入札が行われ、大和ハウス工業と広島テレビ放送、中国電力グループ会社のエネルギア・コミュニケーションズの3社が共同で落札した。広島テレビ放送は本社ビルを、エネルギア・コミュニケーションズはデータセンタービルの建設を検討しており、大和ハウス工業は商業施設・オフィス・ホテルの複合施設を、2019年竣工に向けて計画中である。
都市再生への期待感が高まっているものの、中心部、広島駅周辺ともに、オフィスの新規供給は先になることから、今後数年間、物件の品薄状態は解消されない見込みである。
テナントの動きが活発化
岡山のオフィス市況は、今期(2014年6月期)も需要先行で堅調に推移した。新規開設需要に加え、館内増床や拡張移転、また地元企業の駅前事務所開設等、企業の攻めの姿勢が顕著に出た期といえる。そのため、主要ビルでは需要が重なり、賃料の底値低迷から脱却するビルも見られ始めた。継続賃料は、主要都市の市況を見ての判断だが、空室率が低下し新規供給がない中で、今後底上げが図られる可能性が高い。
郊外の駐車場利用の多い企業向けのオフィスも、空室は減少傾向にある。築浅の平屋オフィスで長期間空室だった物件も、堰を切ったように空室を消化している。
市内中心部、郊外とも、新規供給が待たれる。特に中心部は、今年11月、駅前に西日本最大級のイオンモールが開業するため、ビジネス街も大きく変貌を遂げる可能性がある。
広島支店 津田宏美・越智昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 8,000~10,000 円/坪 | JR広島駅新幹線口至近の立地特性から人気のエリアで、空室率は確実に低下傾向。 | |
広島駅南 | 8,000~11,000 円/坪 | JRと市内中心部の双方への利便性から、新規開設や郊外からの移転ニーズを吸収し、空室率は低下傾向。 | |
八丁堀・紙屋町 | 8,000~12,000 円/坪 | 建替計画によるテナントの受け皿として、周辺既存物件の空室が減少。特に大型空室は枯渇している。 | |
大手町 | 7,000~8,500 円/坪 | 賃料水準は依然として低いものの、あまり動きがないエリア。大幅な空室消化には至っていない。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,000~11,000 円/坪 | 岡山駅に近い物件と天満屋周辺から需要を吸収。今後、ニーズを得る範囲は広がる可能性もある。 | |
岡山市役所筋 | 8,500~12,500 円/坪 | 新設や増床など前向きな移転需要で、空室は減少。賃料上昇の兆しも出始めている。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,500 円/坪 | 大型移転に伴う二次空室はあるが、立地、賃貸条件などでテナント希望との乖離が見受けられる。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 | 新規供給は少ないものの、景気回復感に伴い借り主の要望が緩和される傾向が見受けられ、空室は減少している。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,000 円/坪 | 依然として供給が少ないため、継続的に需要はあるものの全体的には一段落している状況である。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。