神戸:空室率低下も、市況改善はペースダウン。
神戸のオフィスマーケット
2015年3月期の神戸の空室率は、対前期(2014年12月期)比0.1ポイント低下の8.1%となった。大企業を中心に、人員増による館内増床や拡張移転、ビルグレードの改善などプラスの動きが続いている点と、元町エリア物件2棟の立ち退きが進んだ点が、5期連続の空室率低下につながった。その反面、大阪など他エリアや自社ビルへの集約の動きも引き続き見られるため、市況改善ペースは小幅となっている。満室やほぼ満室となったビルでは、館内テナントの増床要望に応えられなくなってきており、オーナーサイドは、拡張によるテナント退去リスクを抱えながらのビル運用となっている。
平均想定成約賃料は、前期からほぼ横ばいの10,480円/坪となった。全国的な空室率の低下を受け、好立地・グレード感のある物件については、新規賃料の上方修正が始まっているが、引き続きコスト意識のシビアなテナントが多く、オーナー側もマーケットとテナントの様子をうかがいながら調整している状況である。立地や築年数、グレードで劣るビルについては、空室率と賃料の持ち直しにはもう少し時間がかかる模様だ。
京都:空室率は5%以下を継続。分室対応も散見。
京都のオフィスマーケット
京都における2015年3月期の空室率は、前期と同じく4.4%となった。2014年9月期以降、空室率は5%を下回り、テナントの移転先確保が困難な状況が続いている。好立地かつ築浅で設備水準の高いビルにまとまった面積の空室が発生すると、解約予告期間内に後継テナントが内定するケースが相次ぎ、幅広い業種業態で新設や拡張移転、館内増床が見られる。また、まとまった面積の空室を確保することが困難な状況が続いているため、空室発生を待ちきれず分室を新設することにより、一時的にスペースを確保するテナントも出てきている。マーケットは極めて好調だと言える。
平均想定成約賃料は、11,350円/坪。空室率が4%台の低水準で推移し、面積を拡大する前向きな需要が増加したことが、対前期比0.5%上昇した要因と推察される。
オーナー、テナントともに、マーケットの情報を常時収集し、素早く経営判断を行うことが、今後ますます重要になっていくであろう。
関西支社 松田梓 今福健一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
12,000~18,000 円/坪 | 大型の空室が限られてきており、マーケットは緩やかな動きに。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
8,000~13,000 円/坪 | 優良空室と競争力の低い物件で二極化が続く。 | |
姫路 | 7,500~13,000 円/坪 | 新築ビルによる新規供給と二次空室の発生を受け、中大型ニーズが動いてきている。 | |
明石・加古川 | 6,000~8,000 円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
阪神間 | 8,000~11,000 円/坪 | 需要は安定しているが、優良物件の供給が少ない。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
14,000~18,000 円/坪 | まとまった面積の空室については、解約予告期間中にテナントが決定するケースが散見される。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
9,000~13,000 円/坪 | 全体的に空室消化が進み、成約賃料は上昇傾向にある。特に優良物件の空室確保は難しい状況。 | |
京都駅前 | 10,000~18,000 円/坪 | 依然として空室が極端に少ない状況が続いているため、空室率は横ばい。成約賃料は上昇傾向にある。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000~4,000 円/坪 | 物流施設の新築に伴い、大型の二次空室予定が増加傾向。市街地の倉庫兼事務所は空室不足が継続。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000~4,000 円/坪 | 拠点の新設・拡張を検討する企業が多く、京都市南部エリアを中心に500坪以上の需要が多い。売買や新築の建貸事例も見受けられる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。