プラス要因の需要が堅調に増加し、空室率は5%台まで低下
大型需要が活性化
シービーアールイー㈱の調査によると、2014年6月期の札幌市中心部の空室率は、対前期(同年3月期)比で0.5ポイント低下して5.7%となった。札幌で空室率が6%を切るのは、2007年以来である。
テナント動向としては、新規開設や館内増床、拡張移転、立地改善等、プラス要因での動きが非常に多く、今後も堅調に需要が増加していくことが予想される。
「札幌中心部」では、引き続きテナント需要が多く、とりわけ、コールセンターの拡張移転や館内増床等が複数見られ、空室率が低下している。2年ぶりの大型新規供給として注目されている「札幌三井JPビルディング」も、ほぼ満室に近い状態で7月末の竣工を迎えた。
その他のエリアでは、「創成川東」で立地改善移転による大型空室の消化が見られ、空室率が低下した。「札幌駅北口」「地下鉄西11丁目」では、一部大型空室が顕在化したものの、すでに引き合いも来ている。
これまで品薄状態だった大型空室だが、現在は「札幌三井JPビルディング」への大型テナント移転に伴う二次空室が募集に出てきており、潜在化していた大型テナント需要が活性化しつつある。すでに館内増床等で消化される見込みの空室もあるようだが、これらの大型空室が、いつ、どれくらいの賃料水準で成約するかが、今後の市場動向を左右する大きなポイントとなってくるものと思われる。
また、中小規模面積への需要も堅調だが、同程度の空室を抱え競合するビルも多い。テナントは築浅や好立地のビル、フリーレント等の賃貸条件に柔軟に対応するビルを選択する傾向が強く、空室消化に苦戦するビルも散見される。
今後の新規供給
今後の新規供給としては、2015年1月に竣工予定の「明治安田生命札幌大通ビル」がある。しかし、ビルの規模は大型ではないため、新たに発生する二次空室も大型面積ではないことが予想される。
その先は少なくとも約2年間、 オフィスビルの新規供給がないことから、現在ある大型空室が消化されると、来年以降の大型需要が潜在化する可能性が懸念される。一部では、成約賃料の上昇も見られ始めていることから、テナントにとっては、よりスピーディーな意思決定が必要になってくると考えられる。
札幌支店 金子拓史
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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札幌中心部 | 10,000~13,000 円/坪 | 一部で大型空室の顕在化が見られたが、それを上回る需要により空室消化が進んでいる。一部では成約賃料の上昇も見受けられる。 | |
地下鉄西11丁目 | 7,500~9,000 円/坪 | 一部で大型空室が顕在化した影響で空室率は上昇。大型空室への引き合いはあるものの、小規模な空室の消化までには至っていない。 | |
創成川東 | 7,500~8,500 円/坪 | 一部で大型空室が消化された影響で空室率は低下した。ただ、エリアとしては動きが少なく、成約賃料の上昇には至っていない。 | |
札幌駅北口 | 9,000~12,000 円/坪 | 一部で大型空室の顕在化が見られたが、需要も多く、依然として 空室率は低水準で推移している。 |
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琴似 | 7,000~8,500 円/坪 | エリアとしての動きが非常に少なく、空室消化に苦戦している。 | |
白石 | 7,000~8,500 円/坪 | エリアとしての動きが非常に少なく、空室消化に苦戦している。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000~3,000 円/坪 | 消費税増税前の駆け込み需要の影響による空室率の低下は一段落したが、依然として中大型空室は少ない状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。