空室率は過去最低の0.5%まで低下。潜在的な大型空室にも引き合い集中。
希少性高まる大型空室
シービーアールイー(株)の調査によると、2017年6月期の札幌市の空室率は、前期(同年3月期)から0.2ポイント低下し、0.5%となった。今期も当社調査開始以来の最低値を更新し、全国主要都市の中でも低水準で推移している。
空室の品薄状態が続いており、今期も100坪以上のまとまった面積の動きは鈍かった。50坪前後の中小規模の館内増床や新規開設、自社物件からの移転等、二次空室が発生しないケースによる成約が散見されたのが、今期の空室率低下の要因となった。
テナント需要は、200~300坪以上の大型面積を求めるニーズが多いが、マーケットには大型空室がほとんどない。そのため、テナントサイドでは、移転せざるを得ない状態になるまでの間、館内増床や分室でしのぐなど、暫定的な対応をするケースが増えている。
これまで、空室予定の大型区画は、外部に募集される前に館内増床で消化されることが多かった。しかし近頃では、フロア分散による業務の非効率さ、オーナーサイドによる募集賃料の引き上げ等を理由に、以前よりも館内増床の動きは落ち着いてきたようにも見受けられる。
ただし、マーケットでは、潜在的な大型空室区画の希少価値は依然高い。最近、大型解約により外部募集が開始されたビルでは、コールセンターやIT関連等のアウトソーシング系のテナントを中心に早々に引き合いが集中し、また解約予告期間中に後継テナントが内定するケースも見られた。
テナントサイドは、希少性の高い物件を確保するためには、スピード感ある意思決定が求められる。将来的な移転等を、早期に計画しておくことも重要であろう。
待たれる新規供給計画
今年1月に竣工した「札幌フコク生命越山ビル」は満室で稼働している。注目される二次空室は限定的であったため、当面は、現在の需給が逼迫したマーケットが続くものと予想される。
今後の供給では、基準階面積約400坪、貸室総面積4,000坪以上の大型供給となる「さっぽろ創世スクエア」が、2018年3月に竣工を予定し、すでにテナントからの引き合いが強まっている。今後も需要の受け皿となる新築・建替計画や再開発事業の動向には、多くの注目が集まることだろう。
札幌支店 眞田 基
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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札幌中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
テナント需要は多く、特に大型空室が少ない状況は継続している。中小規模の空室消化も順調に進んでいる。
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地下鉄西11丁目 | 9,000~11,000 円/坪 |
札幌中心部での品薄な空室状況により需要が流入し、一部のビルで成約が確認された。
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創成川東 | 9,000~10,000 円/坪 |
大型空室が少ないため、中小規模の面積を中心とした動きが見られた。
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札幌駅北口 | 12,000~15,000 円/坪 |
依然として空室が少ないエリア。中小規模の面積で空室消化が見受けられた。
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琴似 | 7,000~8,000 円/坪 |
エリア全体として、新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。
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白石 | 7,500~8,500 円/坪 | エリア全体として、新規需要は少ないが、築浅ビルでは大型面積の空室消化が確認された。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000~3,000 円/坪 | 大型需要は堅調だが、依然として物件が少ない状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。