東京全体の空室率は4%を切り、賃料水準は上昇傾向で推移。
拡張、増床が増加傾向
シービーアールイー(株)の調査によると、2015年3月期の東京グレードAビルの空室率は5.1%で、前期(2014年12月期)から1.0ポイントの上昇となった。グレードAビルのエリア毎の空室率自体は低下傾向にあるものの、2月に竣工した貸床面積約4万坪の超大型物件である「品川シーズンテラス」が空室を大きく抱えたままで竣工したため、全体の空室率を引き上げる要因になったと思われる。
東京の全グレードの状況を見ると、空室は減少傾向にあり、都内23区のほとんどのエリアで空室率は低下を示し、全グレード平均で対前期比0.2ポイント低下の3.9%となった。これは拡張移転のほか、館内増床や近隣での分室設置といった動きが、最近増えてきていることが要因の一つと考えられる。しかし、今期竣工したいくつかの中規模ビルでは、竣工前のリーシングが思うように進まず、結果として空室率の低下を鈍らせる一因となった。
貸し手市場が鮮明に
賃料水準は、グレードAビルについては前期より2.3%の上昇と、依然として若干の上昇傾向にある。空室率の低下に伴う募集賃料設定の見直しが大きな要因だが、リーマンショック以後に格安の賃料設定を行った物件が再契約時に値上げを行う動きなども、その一端を担っていると考えられる。
また、賃料水準に直接反映されるものではないが、フリーレントについても、以前と比べ期間が短くなる事例が増えており、賃貸条件面全体で、貸し手側が強気に転じている状況が見て取れる。
エリアや個々の物件で差はあるものの、マーケット全体としては、空室率の低下と賃料水準の上昇傾向が、今後もしばらくは続くことが予想される。これまでは空室消化のスピードがやや鈍かったビルでも、稼働状況の改善が見られている。先に述べた「品川シーズンテラス」でも、竣工後は空室消化に向けた大きな動きが徐々に増えてきているようだ。
新築・既存を問わず、大型面積を確保できる物件は減少傾向にある。今後、優良物件への移転を検討する場合には、時期を見極め、早期に意思決定を行うことが肝要になるだろう。
ビル営業統括部 山本和良
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 25,000~45,000 円/坪 | 大型ビルの竣工により、空室率が若干上昇。優良物件では空室消化が進み、それらの賃料は微かに上昇傾向。 | |
主要3区中小規模ビル | 15,000~25,000 円/坪 | 好立地、築浅等の優良物件から空室消化が進んでおり、選択の幅が少なくなっている。一部物件は賃料が微かに上昇。 | |
周辺7区大規模ビル | 17,000~33,000 円/坪 | 大型の空室は減少傾向にあり、優良物件の空室消化が進む。賃料も若干の上昇。 | |
周辺7区中小規模ビル | 14,000~22,000 円/坪 | 駅近や複数路線利用可能といった利便性の高い優良物件は空室消化が進んでいる。賃料は概ね横ばい。 | |
23区内大規模ビル | 11,000~17,000 円/坪 | ビルスペックが良い物件であっても立地が悪い物件の空室消化は停滞気味。賃料は横ばい。 | |
23区内中小規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | 全体的に停滞気味だが、好立地、築浅等一部の優良物件については空室消化が進む。賃料は横ばい。 | |
立川 | 10,000~17,000 円/坪 | 優良物件へニーズが集中している反面、空室が長期化している物件も出てきている。一部の物件には値上げの動きも見られる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。