築浅・既存大型物件に需要集中、新規供給も少なく大型空室は品薄に。
空室率は10期連続低下
シービーアールイー(株)の調査によると、2015年3月期の仙台市の平均空室率は、前期(2014年12月期)から0.4ポイント低下の7.4%となり、10期連続の低下となった。
市内の動きは、引き続き面積拡張を理由とした移転や館内での増床が目立った。また、コールセンターの進出も活発であり、宮城県や仙台市の手厚い助成金が功を奏していると思われる。
その他の動向としては、企業の合併やグループ企業の集約による移転、郊外エリアから市内への移転といった事例も見受けられた。いずれも駅周辺エリアでの成約事例が多く、JR仙台駅を起点とする交通網に重点を置く企業が増えているためと推測される。
今後の新規供給は
空室率の低下を牽引しているのは、2007年以降に竣工ラッシュを迎えた築浅物件と、それ以前の大型物件である。築浅物件は満床に近づいていることから、募集賃料を値上げしているビルもあるが、既存の大型物件では、築浅物件との差別化を図るため、まだ大々的に募集賃料の値上げを行っているところはない。
中小物件については、好立地の物件は順調に空室を消化しているが、駐車場に空きがないなどのウィークポイントのある物件は、空室が長期化する傾向が見られる。
今年から来年にかけては、東二番丁通沿いに竣工する「GEOビル」(5階建、1・2階がテナント貸し、3~5階が貸主自社使用予定)以外、竣工が確定したオフィスビルはない。着実に空室率が低下しているなか、稼働率の高い物件については、貸主優位のマーケットになっていくことが想定される。
特に、大型面積を確保できる物件は品薄状態であり、大きな面積を必要とする企業にとっては、早急な決断が求められる状況になっている。
オフィスビルの開発計画には具体的なものは少ないが、2016年には「JR仙台駅東口再開発の商業棟」「ヨドバシ仙台第1ビル計画」「パルコ新館」といった商業ビルの開発計画(いずれも仮称)がプレスリリースされており、JR仙台駅周辺が、ショッピングエリアとして一層盛り上がることが期待されている。
仙台支店 後藤拓己
- 現在募集中の仙台市の賃貸オフィス
- 現在募集中の郡山市の賃貸オフィス
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 12,000~15,000 円/坪 | 築浅物件は引き続き空室が少ない状況。既存ランドマークビルの空室消化も進んでおり、空室率は低下傾向。拡張移転や中心部への移転等プラス動機の需要が多く、前期同様前向きなマーケットとなっている。 | |
郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 | 一部の物件に若干の解約は見られたものの、いまだ各物件ともに稼働率は高い。引き続き内外部からの需要があるものの、マーケットは停滞している。 | - |
盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 | ランドマークビルや新耐震物件には空室が少なく、大型空室を確保できない状況が続いている。賃貸条件を見直す動きは見られない。 | - |
倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 | 今期は年度末であったこともあり、企業の動きはやや落ち着いたが、次年度へ向け準備を進める動きも目立ち始めた。供給は依然限られた状況が続き、新規空室情報への期待は高い。 | - |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。