新築グレードAは高稼働率で竣工。 二次空室も含め大型空室は品薄状態。
働き方改革で移転需要増
2018年9月期の東京グレードAビルの空室率は0.9%で、対前期(同年6月期)比0.5ポイント低下した。今期竣工した「大手町プレイスイーストタワー」は90%以上稼働、「日本生命浜松町クレアタワー」はほぼ満室、「渋谷ストリーム」は満室で、それぞれスタートした。
2018年に竣工するグレードAビルと、2019年の竣工予定も含めた14棟の総賃貸オフィス区画のうち、すでに85%以上がテナント確保に目処がつきそうな状況である。グレードAビルへの移転による二次空室も、館内テナントの旺盛な増床ニーズでマーケットに出る前に消化されるなど、後継テナントの確保は順調に進んでいる。大型の移転では、2020年以降竣工のビルも検討対象とする必要が出てきた。
企業の移転ニーズは、好調な企業業績を背景に、引き続き業容拡大やビルのグレードアップを目的としたものが多く、拠点統合による集約移転も目立つ。業種では、ⅠT関連企業による集約や拡張、コワーキングスペースやレンタルスペースのオペレーターの新規開設需要が前期に続き多く、IT関連や人材サービス関連企業の大規模な新規開設も見受けられる。
ここ数年、人材確保に課題を抱える企業が多くなり、働き方改革の一環で移転を検討したり、タッチダウンオフィスとしてコワーキングスペースを契約したりする企業が増えている。需要増の一方で全てのビルグレードで空室が少ない状況が続いており、選択肢がかなり限られているため、物件によっては複数の企業で取り合いになることも珍しくない。
成約賃料の動向
全体的な品薄感は、想定成約賃料にも反映されている。グレードAビルは、ここ数年の大量供給で一時的に選択肢が増え、対前年同期比でわずかな上昇に留まった。しかし、空室率1%前後で、新規供給も限られるグレードAマイナスおよびグレードBビルでは、想定成約賃料が対前年同期比で3~4%ほど上昇している。
2019年は、グレードAビルの新規供給は谷間となり、二次空室を含め空室が少ない状況は続くだろう。一方、2020年以降の大量供給に備え、それまでの空室には堅実にテナントを誘致しておきたいビルオーナー側の心理が働くとするならば、賃料の大幅な上昇はなく、横ばいもしくは微増で推移するものと考えられる。
ビル営業本部 畠山 康行
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 35,000円~50,000円/坪 | 好立地の物件は賃料が高くても引き合いは多い。多少立地を妥協できれば、数は少ないが値ごろ感のある物件も。 | |
主要3区中小規模ビル | 27,000円~30,000円/坪 | 大手オーナーがシリーズで展開しているハイスペック物件は、賃料が高くても引き合いが多い。 | |
周辺7区大規模ビル | 25,000円~38,000円/坪 | 渋谷駅は再開発が進み、引き合いが非常に多い状況。その他のJRターミナル駅でも引き合いが多く、まとまった面積の空室は少ない。 | |
周辺7区中小規模ビル | 18,000円~27,000円/坪 | 物件の動きが多く、条件の良い物件は複数の引き合いが重なり、取り合いになることもある。 | |
23区内大規模ビル | 17,000円~24,000円/坪 | もともと物件数が少なく、動きも少ない。駅から近くても、中心エリアの物件と比べて賃料上昇率は低い。 | |
23区内中小規模ビル | 12,000円~16,000円/坪 | 物件の動きは少なく、エリア内のニーズが中心で、引き合いも少ない物件が多い。賃料の上昇もほとんどない。 | |
立川 | 11,000円~18,000円/坪 | 大型空室が分割されて成約となったため、空室率はやや低下した。賃料水準については横ばいが続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。