新築ビルの空室消化と前向きな動きで、空室率はやや低下。
潜在ニーズ顕在化の可能性
シービーアールイー(株)の調査によると、2021年6月期の仙台市内の空室率は2.8%と、前期(同年3月期)より0.1ポイント低下した。新たに前期のデータに算入されたことで、空室率上昇の要因となった「JR仙台イーストゲートビル」(2021年1月竣工)で空室が消化されたことや、既存ビルにおいて、新規開設や館内拡張、立地改善などの前向きな移転が多かったことが主な空室率の低下要因と思われる。
成約賃料の動きを見ると、仙台市内の比較的高価格帯の物件については、ここ数年で成約していた水準から多少価格を下げての成約が多かった。この点については、コロナ禍がいつ収束するか不透明な中、空室の長期化を危惧する貸主側の心情が見て取れる。
しかし、仙台オールグレードの平均賃料前後で募集している物件については、コロナ禍においてもそれほど価格を下げずに成約しているケースが多い。これは、通常の企業移転ニーズのほか、コロナ禍に関連する行政からのニーズが複数あったことから、空室の取り合いとなる競争原理が働き、価格を下げることなく成約できた事例が多いためと考えられる。
7月に竣工した「ミレーネT仙台ビル」は高稼働で竣工した。そのため、今後の空室率上昇要因とはならないと思われる。しかし、今秋竣工予定のJR東北支社の建て替えに関連する仮移転先の解約が、マーケットに与える影響は大きく、一時的に、空室率は上昇するものと見込まれている。
一方、これらの空室は2018年辺りから、空室率が低下する中で潜在的に移転を検討していた企業群には、移転先の選択肢が増えることになり、動きが活発化する可能性がある。
今後の市場動向に注目
仙台において、2022年は大型開発が予定されておらず、空室率は緩やかに低下するものと予想される。しかし、2023年には中規模から大規模の開発計画が複数予定されている。築年数を経たビルから、それら新築ビルへの移転などという前向きな動きが出てくれば様々な場所で新陳代謝が起こるだろう。その後も、開発案件は数多く予定されているため、仙台の中心部が生まれ変わることが期待される。
仙台支店 山本 和良
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