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賃貸オフィス・事務所の記事

横浜 - 賃貸不動産市場 2020年6月期

大型解約の発生で空室率が上昇。 市場に新型コロナウイルスの影響も。

横浜駅周辺で大型解約

シービーアールイー(株)の調査によると、2020年6月期の横浜市オールグレードの空室率は1.8%となり、対前期(同年3月期)比1.1ポイント上昇した。これは、2017年9月期以来の空室率上昇である。今期は、新型コロナウイルス感染拡大で、4月の緊急事態宣言による外出自粛や経済の停滞が影響し、新規出店やオフィス移転の中止・延期等が散見された。

エリア別に見ると、「横浜駅周辺」エリアの空室率は、前期から3.0ポイント上昇の3.9%となった。これは、横浜駅近くで数千坪の大型解約が発生したことが大きな要因である。ただし、解約の動きは、現時点では限定的であり、引き続き、テナントが検討できる物件数は少ない。また、大型の空室区画は限られており、まとまった床が確保しにくい状況が続いている。

「みなとみらい」エリアの空室率は前期から0.1ポイント低下し、0.5%と、ほぼ横ばいだった。グループ会社の集約や、館内テナントの増床が見られた。

「関内」「新横浜」「川崎」の各エリアでは、今期の空室率が上昇した。もともと、同エリアの空室率は「横浜駅周辺」「みなとみらい」と同様に低水準で、今期の空室率上昇も、市場に影響を与えるほどのインパクトはない。これまで3エリアとも、順調に空室消化が進んでいたが、前述したとおり、企業の出店中止や延期が大きく影響した。

企業は新しいオフィスのあり方を模索

新型コロナウイルスの影響により、“三密”や“ソーシャルディスタンス”、“新しい生活様式”といった新たな考え方が、一般に普及することとなった。各企業は、その考えをもとに、オフィスの在り方を模索しており、テレワークの普及、オフィス不要論、コミュニケーション問題等、さまざまな情報や知識を得ながら、自社に合ったオフィス環境を構築していくと思われる。

大規模なオフィスほど、働き方の要件が複雑で、時間もかかる。実際、神奈川県では、6月下旬以降、100坪未満の相談は少しずつ増えてきているが、100坪以上の動きは引き続き鈍い。今後、大手企業は、働き方の要件が整理でき次第、縮小や分散、または拡張等で動き出すことが予想され、オフィスマーケットへ新たな影響を及ぼすだろう。

横浜支店 髙橋 秀男

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
横浜大規模ビル 19,000円~28,000円/坪 大型解約が出たため、空室率は上昇。緊急事態宣言後、テナント動向は鈍っており、大型の需要はほとんど見られない。 上昇
横浜中小規模ビル 14,000円~17,000円/坪 空室として顕在化する前に決まる予定だった区画が、新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなり、空室が顕在化した。 やや上昇
関内大規模ビル 12,000円~16,000円/坪 需給ともに大きな動きはなし。ただし、今後は大型解約による影響が出てくる可能性がある。 横ばい
関内中小規模ビル 10,000円~13,000円/坪 新型コロナウイルスの影響により100坪未満のキャンセルが一部に見られたが、マーケットへの大きな影響はなかった。 横ばい
新横浜大規模ビル 12,000円~15,000円/坪 需給動向に大きな動きなし。昨年まで見られた100坪以上のテナント需要について、現時点では停滞している。 横ばい
新横浜中小規模ビル 10,000円~14,000円/坪 20~30坪程度の空室消化が進んでいるものの、空室率を下げるほどのインパクトはない。 横ばい
川崎 大規模ビル 16,000円~23,000円/坪 空室がほぼないため、エリアの需給に大きな動きはない。一部、別用途からオフィスへ変更したことにより、多少空室が出た。 横ばい
川崎 中小規模ビル 13,000円~18,000円/坪 「川崎大規模ビル」同様、空室がほぼないエリアのため、需給に大きな動きはない。 横ばい
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2020年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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