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賃貸オフィス・事務所の記事

東北 - 賃貸不動産市場 2019年6月期

空室率は引き続き1%台で推移。来年竣工予定ビルへの引き合いが増加。

大型面積に需要集中

シービーアールイー(株)の調査による、2019年6月期の仙台市内中心部の空室率は、前期(同年3月期)から横ばいの1.9%だった。いくつかのオフィス空室が消化されたものの、路面店舗等の空室が顕在化し、入れ替わったような形となった。

依然として、基準階の大型面積を求める企業は少なくない。それを象徴するかのように、来年竣工予定のビルの貸室を急いで確保するといった、これまで仙台では見られなかった動きが出てきている。

反対に、路面店舗については、基準階の賃料上昇を踏まえ、強気の募集賃料設定を行った結果、リーシングに手間取る状況が散見される。仙台市中心部では、利便性の高いアーケード街に人通りが集中するため、それ以外のエリアでは、高額賃料での成約はなかなか難しい状況となっている。

新規供給抑制の弊害

人気が高い仙台駅徒歩圏内の大規模ビルでは、新規募集賃料の上昇もさることながら、既存の入居企業に対しても、賃料の値上げ交渉を行っているケースが多い。これらのビルの多くは、ここ十年前後に竣工しているが、竣工時はリーシングに非常に苦戦し、想定していた賃料を大幅に下回ってでも、テナントを誘致せざるを得なかった。そのため、新規募集賃料だけでなく、既存入居テナントの賃料も増額することで、ビル全体 の平均賃料を底上げしようとする動きが多く見られている。

しかしながら、新規募集賃料を引き上げ過ぎたため、これまでは空室が出れば解約予告期間中に比較的スムーズに決まることが多かったビルが、再びリーシングに苦労するケースも出てきている。こうした状況は、やはり新規供給が抑制されてきたことが原因の一つと言えるだろう。新陳代謝が滞っているがために、既存ビルが、その想定水準を超えた賃料で募集をするという現象が起きている、とも言えそうだ。

来年竣工予定のビルは、順調に引き合いが増えており、現在の市況が続けば、竣工前にかなりの面積を消化することも予想される。こうした動きがうまく作用することで、マーケットに循環の波が起きれば、それぞれのビルが適正な価格で落ち着き、エリア全体の活性化につながるものと思われる。

仙台支店 山本 和良

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
仙台市中心部 13,500円~16,500円/坪 空室率は依然低く、賃料も上昇傾向。特に仙台駅近隣は西口・東口エリア問わず、賃料の上昇傾向が強い。また、既存賃料と新規成約賃料のギャップが大きく、既存テナントに対して賃料値上げ交渉が数多く見られる。テナントに拡張需要はあるものの、選択できる空室が少ないことと、現在の賃料と移転時の価格ギャップが大きく、実際のテナント移転数は多くない。 横ばい
郡山市 9,000円~11,000円/坪 100 坪を超える空室は少なく、大型面積の動きは鈍い一方で、小規模面積での動きは散見される。マーケットは落ち着いており、賃貸条件は横ばいで推移。 横ばい
盛岡市 9,000円~11,000円/坪 テナントの動きが鈍い。本来であれば希少な空室とされた、まとまった面積の区画が顕在化したため、空室率が上昇した。 やや上昇
倉庫・配送センター
既存
3,000円~5,000円/坪 大型マルチ施設で空室消化が進み、空室が枯渇する状況が加速。そうした中、開発計画が数件浮上してきたことで、営業床の確保や統合による業務効率化を目的とした動きが活発になってきている。
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2019年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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